IS~ドイツの黒き皇帝~改訂版   作:鈴木颯手

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第二十三話

 IS学園ではISを専門に扱っているがだからと言ってそのほかを疎かにしている訳ではない。理数系に加えて文系、外国語として英語も教えている。そのほかにも数は少ないが家庭科や音楽なども行われる。

 しかし、授業の大半がIS関連の授業である。故にISの専門的な知識は必要不可欠である。そして、もしISの知識を持っていない者が授業を受けたらどうなるのか?それは……

 

「……」

 

必読と表紙に書かれた参考書を開きながら格闘する織斑一夏を見れば一目瞭然だろう。山田教諭より放たれる専門用語の数々は一夏が脳内で処理をしきる前に次の用語が脳内に入って来る。

 既に一夏の頭をパンク寸前だ。とは言え処理落ちしないで喰らいついているだけマシとも言えるだろう。必読と書かれた参考書を予め読んでいなければ今頃パンクしていただろう。

 

「……と、ここまでで何か分からない人はいますか? 織斑君は大丈夫ですか?」

「は、はい。何とか……」

 

 山田教諭が一度話を止めて生徒たちに聞く。特に強制的に入学が決まりISの知識に乏しいと思われる一夏は名指しで言うがそれで何かを思う者はこのクラスにはいない。誰だって一月、二月で全てを覚えろと言われても難しいのだから。むしろたったそれだけの期間でここまでくらいついている一夏に感心すら感じていた。

 その後も参考書を高速でめくりながら授業を受けている内に終了のチャイムが鳴り一夏はこの地獄とも言える時間から解放された。一夏はリラックスするように机に突っ伏して息を大きく吐く。そんな様子を横から見ていた箒は少し労いの言葉をかけてやろうと席を立とうとした時だった。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 真っ白に燃え尽きそうな一夏に声をかける人物がいた。その人物はこのクラスでは珍しい外国人であり長い髪をロールにしてIS学園の制服を膝下まで伸ばした何処かドレスを思わせる作りにしているその人物は一夏を見下ろしながらそう言った。

 

「え? はい?」

「まあ! 何ですのそのお返事は? 声をかけられた以上きちんと返事をするのが常識ではなくって?」

「え、あ……。そ、そうだな。ごめん……」

「……まぁいいですわ」

 

 その人物は一夏の態度が気に入らなかったのか何処か説教する口調で言う。箒はいきなり一夏に説教を行った女に怒りを覚えるも彼女が言った指摘は間違ってはいないので一応は堪えて様子を見守る。クラスメイト達も同じ意見なのか何処か固唾をのんで見守っていた。

 

「そ、それで? 君は……」

「あら? 私の事をご存じないのですか? これからISに携わる者としては不合格ですわよ。まあいいですわ。私はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生をしておりますわ」

「セシリア・オルコット……。そうか。俺は織斑一夏だ。よろしく」

「……」

 

 その女性、セシリア・オルコットは一夏が差し出した手を取る事は無くどこか冷たい視線で見ていた。それは女尊男卑主義者が男を見る目に似ていたがそれとはまた別の感じがすると一夏は思う。

 

「……どうやら見込み違いだったようですわ」

「え?」

「世界で唯一ISを扱える男性且つ初代ブリュンヒルデ織斑千冬の弟。それだけの称号を持っている方ですのでどんな偉人かと思いましたが期待外れにも程がありますわ」

「いや、俺に何かを期待されても困るんだが……」

 

 セシリアの棘のある言葉に一夏は苦笑する。彼としてはISを扱えてしまった姉が凄いだけの一般人と思っている。そんな自分に一体何を期待しているんだと一夏としては思う他なかった。しかし、それは目の前の人物には通じない。テレビでしか知らず人権保護の為に詳細な事は何一つとして出回らずに憶測ばかりが世界中を飛び回っていた。そんな状態で期待するなと言う方が難しいだろう。期待に沿えずに勝手に失望して暴言を吐くのは違うとは思うが。

 

「兎に角、貴方のような素人がいていい場所ではありませんわ。ここはISの将来を担う実力者がその力を磨き高めていく場ですわ。ISを動かせたからと言って入学していいはずがありません」

「……ああ、なるほどな」

 

 一夏は理解した。セシリア・オルコットの性格を。彼女は実力主義且つエリート主義。実力とやる気を兼ね備えたエリートの育成学校を凡人に土足で踏み入れられたと思っているという事であろうと。そして本人もそれに誇りを持つエリートと呼ぶにふさわしい人物であろうことも。一夏は女尊男卑主義者とは違った厄介な相手に内心困り果てた。とは言えこういう相手に対して有効なのは実力を見せつける事だがセシリアが見ていた部分では一夏は最悪の結果を出していた。

 

「俺は確かに強制的に入学させられたと思うがそれでも俺が出来る事はしっかりとやっているつもりだぞ?」

「そうですか? 確かにあなたの努力は認めます。授業の内容も理解は出来ていたようですし僅かな期間で頑張ったというのは分かります。ですが、それに対して貴方からは信念が感じられませんわ」

「信念、ね。確かに俺はそう言うのは持っていないよ。それは認める」

 

 強制的に入学させられた自分にISに関わる信念があるわけがない。起動させられなかったらこんなに深く関わる事なんてなかっただろうから。とは言えセシリア・オルコットはISに関わったからにはそう言った信念を持っているものだと思っているのだろうという事が一夏には予測できたがそれでも難しいものは難しい。

 どうしたものかと思っているとチャイムが鳴る。セシリア・オルコットは冷ややかな視線を一夏に向けた後「精々無様な結果を残さないでくださいね」と言って自分の席に戻った。一夏は厄介な相手に絡まれたとため息を吐き、箒は一夏と喋れなかったと諦めのため息をつくのだった。

 




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