IS~ドイツの黒き皇帝~改訂版   作:鈴木颯手

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第九話・第2回モンド・グロッソ

 モンド・グロッソとはISを用いた各党競技である。格闘・射撃・近接・飛行及び総合からなり各部門の優勝者には”ヴァルキリー”と呼ばれる称号が与えられ、総合優勝者には最強の称号である”ブリュンヒルデ”が与えられる。第1回はIS発祥の地とされている大日本帝国で行われ、第2回は超大国ドイツ帝国で開催される事となった。

 その為、帝都ゲルマニアはその巨大さゆえにたくさんの人がいたが今はその二倍以上の人々が詰めかけていた。モンド・グロッソの為に大幅な拡張と改装工事が行われたゲルマニア・オリンピアシュタディオンですら許容範囲を超える人数が集まった。とは言えそれは予想できたことであった。元々会場のチケットは前売りのみであったため手に入れられなかった人は少しでも近くで見たいと会場前にたむろしていたのだ。それらは軍隊すら導入された警備の為に追い払われる結果となったが。

 とは言え付近の飲食店ではモンド・グロッソの様子が生中継で放映されている為入場券がない人たちはそう言った店に集まっていった。

 

「どうだ? これがドイツ帝国が総力をあげて今日を迎えたモンド・グロッソだ!」

「す、すごいです……」

「……」

 

 フリードリヒは自らの特等席、4つある席の内北側の席から自信満々に言った。特等席には彼のほかにクロエとラウラ、妻であるエリザベートがおり目をキラキラさせて会場を見ている二人を微笑ましそうに見ていた。そんな彼らの反対側、フリードリヒの隣には彼の弟でありニューギニア王家に婿入りしたルートヴィヒが座っていた。その隣には彼の妻が座っており同じくゲルマニア・オリンピアシュタディオンに圧倒されていた。

 

「元々デカかったがモンド・グロッソという一大イベントを行うには少し手狭だったからな、最新技術も加えて大幅に大改装を行ったんだ。おかげで予算の一部が吹き飛んだがな」

 

 まさに国家総力を上げた出来事だったとフリードリヒは遠い目をしながらつぶやいた。これのせいで仕事に忙殺されていたのだから二度とやりたくないと内心では思っていた。

 

「でもこれだけの規模なら前回の東京よりも上回るんじゃない?」

「そうでもないさ。日本らしい演出は中々見ものだっただろ?」

 

 栄えある最初のモンド・グロッソで日本は何をトチ狂ったのかネタに走ったような事を大量に行っていた。詳しく言う事は無いが国内外で賛否両論が起こったが実際に見たフリードリヒは終始爆笑していた事だけは記す。

 そんなある意味では日本らしいとすら言える第1回とは違いドイツ帝国は格式ばりつつも気品を感じるまさに戦いに相応しい様相を呈していた。それが素晴らしいと感じるかつまらないかと捉えるかは人の感性次第だが少なくとも目の前の光景を見れば成功しているとは言えた。

 

「さぁ、クロエにラウラ。そろそろ開会式が始まる。席につくんだ」

「「はーい!」」

 

 開会式が始まる演奏が流れた事を確認したフリードリヒは防弾ガラスに顔を押し付けて会場を見ている二人にそう言って席に付かせる。ISの銃火器すら耐えうる防弾ガラスで出来ている為問題はないと思うがそれでも当たった際の衝撃があっては大変だとフリードリヒは感じていた。

 そして、クロエとラウラが席に座ると同時にモンド・グロッソの開会式が始まり選手が入場してくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第2回モンド・グロッソに出場した国は20を超えていた。更に企業として参加を申請した者達もいる為選手の数は軽く100名を超えていた。それぞれが国家代表、企業代表という形で会場に入場をしていく。中には観客に手を振るなどのファンサービスををする者も板がそんな中で一人、観客の注目を一身に受ける人物がいた。

 初代ブリュンヒルデにして公式戦無敗を誇る女性、織斑千冬は一切観客に手を振るような事もせずに凛々しい顔つきで進んでいた。その姿はまさに王者と呼ぶにふさわしくそれは何処か凱旋パレードとさえ思わせるような圧倒的な光景だった。

 

「相変わらずチフユは硬いわね」

「……リリーか」

 

 織斑千冬に声をかけたのは隣を歩いていたドイツ帝国の総合部門代表のリリー・フォン・シュトラウスをちらりとだけ見た。そんな様子の千冬にリリーは苦笑する。第1回モンド・グロッソの準決勝で織斑千冬に負けたリリーはこの日の為に努力を重ねてきて”打倒織斑千冬”を掲げていた。ISの訓練に費やすためにメディアの取材や雑誌の写真撮影などと言った行為を全て断わって練習に明け暮れた。その様子をメディアは好感を覚えた。取材を断られたのは痛かったが代わりに「二代目ブリュンヒルデを目指し練習を行う我らがドイツ代表! 彼女の努力は織斑千冬に届くのか?」と大々的に発表されドイツ帝国臣民は彼女の勝利を願っていた。

 

「今回は負けないわよ」

「……そうか。お前が努力してきたのは知っている。だ、だからと言って負ける気はない」

 

 リリーは千冬の言葉に好戦的な笑みを浮かべ離れた。入場は終わり選手宣誓が近づいていた。

 

『選手宣誓。大日本帝国総合部門代表織斑千冬』

「……」

 

 初代ブリュンヒルデ故に選手宣誓が行われる事は事前に知らされていた。千冬は壇上に立つと軽く息を吸い言った。

 

「宣誓、私たちは全ての選手の名において調和と平等、フェアプレーの精神に則り、競技規則を尊重し、これを守り、ともに連帯して、スポーツがドーピング、不正行為や、あらゆる差別のないものとなることを目指します。

そして、この素晴らしい会場で戦える事に誇りと感謝を持ち相応しい試合をモンド・グロッソを見ている全ての人々に見せる事を誓います」

 

 千冬の凛とした声はマイクを通して会場の外にまで届き終わると同時に拍手の嵐を作り出した。千冬は壇上を降りて自分のいた場所に戻った。

 ここに第2回モンド・グロッソ、ゲルマニア大会が開催された瞬間だった。

 




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