生存戦争 ~転生者バトルロイヤル~   作:セリカ・シルフィル

4 / 28
第四話 『準備完了』

 セヴンスの選んだ転生特典『神殺し、セリカ=シルフィル』を手に入れる為、狭間の世界から『下位世界』に干渉し、戦女神の世界ディル=リフィーナで『神殺し』セリカ=シルフィルを討ち取った最強の天使、メルティア=アークエンジェル。

 その結果、セリカと女神アストライアは分断され、大幅に弱体化し、白髪となった神殺し、セリカ=シルフィルはメルティアに連れられて『上位世界』と『下位世界』の狭間の世界の天界にある神殿へ戻った。

 そして、物語は現在へ遡る。

 

「セリカを転生特典として選んで発生する制限、デメリットはどの程度なんだ?」

「セリカ自身を縛る制限はないわ。既にセリカは当初の計画よりも大幅に弱体化してるもの。これに制限なんて加えた日には『公平』という言葉が生存戦争で使われなくなるわ」

「つまり、そこで白髪になって寝ているセリカには制限はない。掛けられないということか?」

「察しがいいな、人間。当然、強くなった者の能力は自ら勝ち得たものだ。それをメアの独断で奪うことは生存戦争の『公平』に反する」

「なるほどな。それを聞いて安心したぜ」

 

 運ばれてきたセリカが白髪になっているのは、女神アストライアの身体と能力の大半を失った証だとメルティアから説明をセヴンスは受けている。

 何故、そのようなことをしたのか。

 セヴンスが説明を求めるとメルティアは拒否した。

 詳細は語れないが、簡単な説明を受けるとその全貌も明らかとなる。

 メルティアにセヴンスが転生特典として要求したものは『神殺し、セリカ=シルフィル』だ。

 当初、下位世界からセリカを捕獲する為に出撃したメルティアはそこでセリカの中と外に不純物が紛れ込んでいると気づいた。

 すぐに、女神アストライアを不純物と見たメルティアはセリカ=シルフィルから切り離した。

 これが、簡単な説明を受けてセヴンスがまとめた事件の全貌である。

 

 流石のセヴンスもこれには戸惑いを隠せなかった。

 女神アストライアの身体も能力も持たないセリカといえば、ZEROに出てくる初期魔神ハイシェラと同等、それ以下の戦力しかない。

 虚ろな器時代のセリカならまだ希望はあったかもしれないが、すげぇ気持ちよく寝ている姿を見ただけでも、彼が健康体であることは間違いなかった。

 しかし、これもセヴンスの見当違いだと思い知らされる。

 セヴンスが求めていた転生特典はあくまでも『神殺し、セリカ=シルフィル』であり、ただのセリカ=シルフィルではない。

 つまり、セヴンスの目の前で寝ているセリカは神殺しではあるが、女神アストライアの能力を持たず、身体も言ってみれば残香に等しい。

 だが、今は弱いだけで育て上げればそれなりの成果は挙げられるだろう。

 でなければ困る。

 

「それで、さっきから全然起きそうにない此奴はどうすれば目覚めるんだ?」

 

 セヴンスが最も気になっていたのは、そこだった。

 戦力であるセリカは頬をつついても、引っ張っても目を覚ます気配が微塵もない。

 というか、近くにいるだけですげぇ良い匂いがする。女の子って不思議。あれ、こいつ男だったよな。

 

「今日目覚めることはない。女神の身体、それも残香にも等しいほどだけど、それでも秘めている能力は相当高いわ。疲労も明日になれば消え去ってるでしょうね」

 

 それじゃあ、これからどうすればいいって言うのだろうか。

 このまま生存戦争とやらに参加しても、戦力が爆睡している以上は戦闘にすらならない。

 最悪、叩き落とすことも視野に入れるが、生憎とセリカの頬が予想以上に柔らかいことを知ってしまったせいか、躊躇してしまう。

 

「生存戦争は今日、明日で始まるものでもないわ。そんなに警戒しなくてもいい」

「――お前、意識を読む事でもできるのか?」

「貴様の不安そうな顔を見ただけで察せるわよ。メアは人間とは違うからな」

 

 最悪の事態は免れた。

 しかし、これから何をすればいいのだろうか。

 そもそも、神殿と言っても部屋があるわけでもない。

 まさか野宿!?

 

「人間。これ以上、天界に用がないようなら眠れ。さすれば上位世界への扉は開かれるであろう」

「いや、こんな場所で睡眠が取れるわけないだろう」

「全く、仕方がない人間だ。今回は特別にメアが眠らせてやろう。感謝するのだな」

 

 眠らせる? 呪文でも唱えるのだろうか? それとも、膝枕で――。

 

「歯を食いしばれ! 人間! メアの一撃はちょっとばかり響くぞ!」

「おい! ちょっと待て! まさか! やめ――ぐはぁ!」

 

 目にも止まらぬ速さで顔面を殴られたセヴンスは、強制的に眠らせられた。

 そして狭間の世界から抜け、『上位世界』、現実で目を覚ました。

 無論、ベッドから転げ落ちたセヴンスはいつも踏み歩いている床と接吻する羽目になったのだとか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告