生存戦争 ~転生者バトルロイヤル~   作:セリカ・シルフィル

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第六話 『願望』

 メルティアの背後を無言で歩いているセヴンスはセリカが気になっていた。

 目覚めた時に一緒の布団に入っていたハプニングで軽くパニックを起こしたが、それ以外では全くと言っていいほど会話をしていない。

 セリカがどのような人物なのか。

 戦女神では、何度か見てきたが、実物が同じとは限らない。

 さらに、女神アストライアと分離したことで大半の記憶は消失しているらしい。

 もしかすると、セヴンスの知っているセリカではない可能性も十分にあるのだ。

 

 ここまで前にいる彼について思ってみたことを言葉にしてみたが、言ってみれば憧れの存在が目の前にいることに興奮している。

 セリカの容姿は間違いなく、女性のそれと同じである。

 身体と能力の大半を置き去りにしてこようとも、神殺しをご所望したセヴンスの要望通り、独特の髪型をしている黒髪の美男子はセリカだった。

 

 最初など見知らぬ美少女が同じベッドに入っていると勘違いしていた自分が恥ずかしい。

 容姿も、声も、女性ソックリで、自分が男であると主張しなければ気づいてもらえないほどの美貌を持つ神殺し。

 セヴンスの内なる感情では黒い靄のようなものが、広がっていく。

 これはもう、自分の物だ。どんな欲望に塗れた行為をしても許される。

 思わず、手が伸びそうになり――。

 

「ついたぞ、若造。初々しいところ悪いが先に此方の用事を済ませてからにしろ」

 

 メルティアの声が聞こえてきて我に返る。

 自分は今、何をしようとしていたのだろうか。

 自分自身というものが言うことを聞かないなど今までに一度もなかった行為に愕然としながらも、それを表に出さないよう気配りをする。

 そうでもしなければ、自分が保てそうになかったからだ。

 

 セリカも、後ろを歩いていた主である黒髪の青年の異変に気づいていたが、一度だけ横目で確認した後、興味を失くしたような顔をして、再び、メルティアの背後を追った。

 

 セヴンスのたどり着いた場所は『第七位(セヴンス)』のプレートが貼り付けられている扉の部屋だった。

 部屋の中は、ベッド、風呂、トレーニング機材等が揃っている。

 

「ここが貴様達の割り当てられた部屋だ。用意されているトレーニングの機材は此方から貴様の転生特典に合った物を選んできている。他にも風呂に入れば、上位世界と同等の湯船に肩をつけられるだろうが、それで上位世界の自分が綺麗になったとでも思わんことだな。ベッドで寝れば、上位世界で目覚められるだろう。出来る限り、上位世界にある貴様のベッドと似せて作ったのだ。これだけメアに貢がせたのだから、大いに感謝するがいい!」

 

 幸先のいい報告ばかりだが、言ってみれば他の転生者候補生にも同じような待遇を受けているのだろう。

 そう思ってしまうと素直に喜べないのはゆとりのサガという奴か。

 

「メアからは以上だ。用事があってもこれからは呼ぶことは出来ないからな。聞きたいことがあるなら今の内に好きなだけ聞くがいい。メアだって鬼じゃない。存分に答えてやろう」

「いや、結構です」

 

 本当は聞きたいことは山ほどあったが、先程から収まらないセリカに対する衝動が強いせいか、メルティアの好意を蔑ろにした。

 

「じゃあな、人間。メアがいなくなるからってハメを外しすぎるなよ」

「とっとと帰れ!」

 

 妙に腹立つようなドヤ顔を叱って、メルティアを部屋から追い出した。

 そして、二人っきりになったところで改めてセリカを見た。

 先に部屋へ入った筈のセリカは何もせず、無言で立ち続けていた。

 普通なら座ればいいとか、立ってないで寛げばいい、と言うだろう。

 しかし、少し前の異常と、今も食いるようにセリカの美貌を覗き込むセヴンスは、見とれていた。

 

「…………?」

「っあ!? 悪い」

 

 夢中になってセリカを眺めていたことを不思議に思われたことを隠すこともできなかった。

 慌てて顔を背けるセヴンスは内心で何処かのラブコメ主人公を気取ってるつもりか! と自分に意味の分からない説教をする。

 暫くして、再びセリカを横目で確認してみるが、部屋に入ってきた位置から一歩も動いていなかった。

 

「あー……セリカ、別に無理して立ってる必要はないから。ここはもう、俺達の部屋だから汚さない程度に自由にしてていいからな?」

「……別に、俺はこれでも自由にしているつもりだが」

 

 全然そうは見えないんですけど。

 そう思いながら、セヴンスはあることを思い出した。

 この世界ではセヴンスのような転生者候補生という例外を除けば、束縛されるようなものは何もない。

 逆に言えば、セリカは理由がなければ、何もしないし、何もできない。

 座る必要がなければ、座らないし、自由にしろと言われても、自由にしているからこそ、動くことすら必要としない。

 

 ――そう、セヴンスが命令を与えない限りは、セリカは自分の意思というものを主張しないのだ。

 

 セリカの飼い主。

 少し前に聞いたその言葉が、セヴンスの欲望を高める。

 それだけでもなく、セヴンスは初めてセリカを見た時から、いや、それ以前から気になってたことがある。

 それは、セリカが本当に男なのか? という疑問だった。

 今のセリカは少なくとも女神アストライアと分離した状態であり、絶対に女神化等のバッドステータスは存在しないだろう。

 しかし、現物で見るセリカは男であることは分かっている筈なのに、どうしても確証が得られない。

 この疑問をどのように解決するか?

 いや、こんなことは理由でもなく、既にやり方など決まっている。

 人間は信じられないものを信じられるものに変える唯一にして、絶対の方法は行動で証明するのだ。

 この手で、セリカの華奢な身体を隅から隅まで余すことなく自身の欲望で包み込む。

 想像するだけで黒い欲求は高まり、自分でも気づかぬ内に口元が笑っていた。

 彼を止める為のメルティアは消え、残っているのは彼のどんな命令でも忠実にこなす駒だけである。

 

「……なぁ、セリカ。お前は本当に『俺の物』なんだよな」

「ああ、どうやらそうらしい」

 

 曖昧な返事だったが、異常なセヴンスの様子に臆することなく、平然と返答する。

 その回答は、セヴンスの汚れた牙を尖らせ、剥き出しにさせる。

 

「……俺さ……疑問だったことがあるんだ……だから、それを解決する為に協力してくれないか?」

「俺は主様の物だ。勝手に命令すればいい」

「っ……そうか……」

 

 後戻りできる最後の警告を発信したつもりだったが、払い除けられ、自由にしてもいいと許可すら出してきた。

 

 ああ、もう我慢できない。

 もう、相手が了承しているのだ。我慢する必要は何処にもない。

 

 何処にでもいる小物臭を纏う下衆のような笑い声を上げながら口元を歪める。

 

「服を脱げ」

 

 セリカが女性なら拒絶するであろう言葉を吐き捨てる。

 例え、男だったとしても、いきなり同性に『脱げ』などと命令されれば躊躇する筈だったが。

 しかし、セリカの答えは違った。

 

「わかった」

 

 腰のベルトを手馴れた手つきで外し、紅黒いコートを脱ぐ。

 そこにはシャツだけのセリカが、男性とは到底思えないような健康的な肌が見えていた。

 セヴンスに見られながらも、動きを緩めることなく、下着も脱ごうとして――。

 

「待て、そっちは後でいい。許可を出すまで下着は脱ぐな」

「……わかった」

 

 男性なのか? 女性なのか?

 それだけを確かめるだけなら、そもそも上服だけを脱がさず、下服を脱がして見ればいい。

 それをしなかったのは、常にセヴンスの頭の中には男女を見極めるという目的が抜けているからである。

 セリカの従順で、無防備な姿は、セヴンスを駆り立てる。

 

「これでいいのか」

「ああ、十分だ。許可を出すまでそのまま動くな」

 

 上着のみを脱ぎ終えた姿は、とても男性とは思えない綺麗で華奢な上半身がそこにはあった。

 胸元は膨らんでおり、胸の大きさに固執するような男でなければ、その魅力的な姿に虜にされていたかもしれない。

 胸の善し悪しなど分からないセヴンスにとっては、セリカが男性であると内心では考えているので、最後の一線だけはしっかりと引いている。

 ただ、これ以上セリカに魅了され、男でも構わねぇぞ! と思わされたが最後、セヴンスは男としての大切な掛け替えのないものを失ってしまうと理解していた。

 

「……ん……ぁ……」

「……や、柔らかい……」

 

 恐る恐る指先で胸に触れるが、その感触は男性のものとは思えない弾力があり、指先を滑らせるように触れていくと病みつきになるほど心地良い感覚がセヴンスを支配しようとしていた。

 途中から焦れったくなったセヴンスは、両手で胸を集めるように揉みだした。

 揉めば揉むほど止められず、男のものということすらも忘れかける。

 

「は、ぁ……ぅ……ぃ……」

 

 触り方は次第に激しくなり、漏れてくるようになった色っぽい声が耳元まで届く。

 その声が聞こえてくる毎に虐心が牙を出し、二人の距離も前を踏み出せば触れてしまうほど近く、吐息すら感じられる。

 

 ついに耐えられなくなったセヴンスは震えながら顔を胸まで近づけると、一度だけ、ペロリと舌で乳首を舐めた。

 

「くっ……ぁ……」

 

 興奮していたのか。小さい悲鳴が聞こえるが、そこには拒絶の色は見られない。

 最早、頭では何も考えられず、体温は高まり、沸騰しているように、顔が赤くなっていることは鏡で見なくとも十分に理解できる。

 

「ああ、もう……セリカ、俺、我慢できねぇ――がぁ!?」

 

 遂に、同棲という最終防衛ラインまでもが突破されそうになり、しかし、その時はやって来なかった。

 口を胸で埋めようと考えていたが、セヴンスが顔を近づけるよりも速く、セリカが両腕をセヴンスの後頭部へ回し、必死になって胸に押し付けているのだ。

 視界は真っ暗になり、息継ぎのできない状態が続く事に苦しみに苛まれる。

 そして、我慢できなくなったセヴンスは意識までも手放した。




これ、18禁に入らないですよね(焦り)?
だって胸だけだし、DxDでもセーフだし、だってセリカは男だし……。
ま、まあ俺のような描写の下手な奴だし、問題はないといいなぁ。
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