あ、あの……初めまして。私は下位ハンターのレンザと言います。まだ集会所ではHRが☆2にしかなっておらず、村クエストも☆5で上には上がってなくて他のハンターには滅茶苦茶追い越されまくって、ジタバタしている40代半ばのオッサンハンターです。周りはどんどん上位に、G級に、HR解放と私は置いてけぼり……。ま、焦ってもろくな事がないのはなんとなく分かってはいたのでゆっくり行こう……なんて思っていたらこの始末。
いやぁ、どうしましょう?ってどうにもならないんですけど。
でも、地道にクエストをクリアしていくしか無いんですよね。そこは私も理解はしてます。採取、採掘、モンスターの討伐、捕獲、撃退……。そのクエストの要求に合わせてクリアしていく、ハンターって命懸けで過酷です。どうにかこうにか生きてます。
でも、こんなオッサンに奇跡が舞い降りる事になるなんて誰が思うでしょう?私すら思ってなかったし。
「誰と……話して……る!?」
「い、いや、誰とも話してないよ!」
「そう……か……。」
武具を装備した私に寄りかかって来る女性が……。
凄く甘えた艶やかな顔で、私の顔に近づけて来るもんですから思わず生唾を音が出る程に飲み込んでました。恐らく私の顔は照れて真っ赤……。
彼女は紫色の髪のポニーテールに白基調の着物で、和風な感じの女性用のお召し物。ちょっと違うのは、大胆にもそのスカートの一ヶ所に、縦に切れ目が入っていて時折、綺麗なフトモモが!上の着物も、胸のラインがくっきりと!!しかも、ナイスバディの超美人!と来たもんだっ!!……失礼しました。
でもね……今の今まで、女性の女の字も無かった私ですよ。周りの女性ハンターや、村の女性、龍暦院の研究員、受付嬢は勿論一切モテた事のない私……そんな対象に見られた事すら無い私……何故に今頃突然!?こうなったのか……お話ししましょう…………。
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私はユクモ村のハンターをしています、村長さんはそれこそ心の広い人なので、☆が低くても私を村に置いてくれているんです。その村長さんのクエストで、ある竜の討伐をするために渓流に来ていました。
水源や川の流れるエリアも多く、緑に恵まれた土地の1つでもあります。その渓流のエリア6に目的の竜が居ました。滝があり、隣のエリアまで流れています。しかし、勢いはそれほどなく浅く広くエリア全体に近い程に川幅が。動き回るにはさほど問題は無いんですがね。まずは千里眼の薬によって大型モンスターの居るエリアが特定します。有難い物で、けして美味しいとは言いませんがお得なお薬です。但し一時的な効果しかないので、早めに辿り着いてペイントボールを対象に当てないと見失ってしまう……。なので、早速移動していた訳です。
で、その通りに居ましたソコに……。
全体に白っぽい体躯で、細面な顔つき…角の代わりに耳!?の様な膜が3枚ずつあり、4足歩行で翼はなく胸から尻尾に掛けて紫色の体毛に覆われた、綺麗な竜……我々、人間側では“泡狐竜タマミツネ”と呼んでいる竜です。
今の所私に気付いてはいません。上手く尻尾を使って水浴びをしているようで、何とも優雅な……と思ったのは私だけでしょうか?
とにかく、ペイントボールだ!と思った私は気付かれないようにボールを当てられる距離まで近寄って行きます……。ところが、今だっ!っと思ってボールを投げつけようとしたその時です!周りの空気がピリピリと静電気が走るような感覚……エリア8の滝の中からゆっくりと歩いて登場したのは、タマミツネとよく縄張り争い!?をしているというあのモンスターが……。
立派な四肢に前脚は後ろ脚より発達していて筋肉質で大きめ。狼のような顔つきに緑色の体躯、脚は黄色いですが2本の短い角と足の鋭い爪……しかも、御大層に雷光虫を背中に纏わせた状態でやる気満々で登場してきたんです!
そうです、”雷狼竜ジンオウガ” 威風堂々と言った登場の仕方で。
でもちょ~っと待って!!私もびっくりしてその場に立ち尽くしちゃいましたけど、モンスター乱入は聞いてないっ!!何故このタイミング!?あ、ペイントボール投げるの忘れた……。あ~あ、気付かれちゃったよ……責任取ってくれよジンオウガ……と言っても聞いちゃいないだろうけどね。
タマミツネが私とジンオウガの存在に気付き、少し慌てたようですが動きが止まりました??
んんっ!?私の方をじっと見てる!?え”……ジンオウガより私を警戒してるとか?いや、こちらこそ2頭のモンスター相手にするには私には酷なんですけど!どっちを攻撃したらいいの!?上位になれば2頭同時に戦う事も多々あるんでしょうけど、全然その技量は今の私にはありません!なんで下位の村クエストに~~っ!
でも、次に起こったのは私にも想定外でした……。突然タマミツネがその視線をジンオウガに向けて咆哮を上げたんです!それに対抗するかのようにジンオウガも咆哮を上げます!ジンオウガがノーモーションで飛び上がり、右前脚を振り上げて爪を目一杯に突き出してタマミツネに襲い掛かります!しかし、身軽さはタマミツネも負けてはいない。体躯を捻らせながら後方にジャンプしてジンオウガの前脚を躱してました!そのまま着地と同時に大きな泡を放ってジンオウガに反撃します!ジンオウガも負けじと体躯を捻らせて泡を躱していました。
私の方はディノバルドの防具一式にユクモの太刀という装備ですが、その戦いを避けるのに手一杯……。
ジンオウガが私にも攻撃を仕掛けて来ます!体を横に捻らせながら何度もジャンプし、ライトニングボールを放って来ます!3つのボールがカーブを描いて飛んで来ます!
私も2つはかわしましたが、残りの1つが間に合わないっ!電撃がっ………!?
うわっ!!横から水圧ブレスがっ!?ボールを相殺してました、凄い……。でも今、助けてくれた感が?何故……。
そう考えてる内に、私の前に来てジンオウガを威嚇するタマミツネの姿が……!?
一体何が起きてますか?私にはさっぱりです!!
そのまま私を庇うようにジンオウガと戦っていくタマミツネ……どうして……私はお前さんを討伐に来たんだよ……何で助けてくれるんだ……!?
私には全く理解出来ませんでした。でも、私を庇ってくれているのはその行動から間違いなさそうで、私の方を気にしながらジンオウガと向かい合ってます。明らかに私を意識しながら戦ってる……参ったな……クエストの目的と違ってきてるし……。
ええいっ!めんどくさいっ!考えても仕方がない、まずはジンオウガを追い払らわないと!タマミツネの事はそれからだ。この状況だと、タマミツネは私に加勢してくれそうだし……。
私も、太刀を構えジンオウガの横に回り込み斬りつけていきます!しかし、太刀のレベルもそこそこで早々致命的には至らない、その時ジンオウガが背中を反らせて空を見上げますっ!マズイ、帯電放出だっ!吹き飛ばされるっ!上手く避けたとしても川の水を伝って電撃が来るっ…………!?
「こ、これは……。」
私を帯電から守ってくれた物……地面からはふわふわと浮いてましたが、大きな泡に包まれている……。
ダメージを受けずに済んだ……タマミツネの大きな泡……助かった……。ホントにタマミツネは私を守ってくれようとしている……これじゃクエストをクリアしたくてもできないじゃないか……。
だが、そうも言ってられないか……今はジンオウガの方が先だね、何とかしないと。泡から出た私は再度、ジンオウガに太刀を振るっていきます!狩技も駆使するものの、少しずつしかダメージを与えられずに回復薬や回復薬グレートで体力を回復するばかり……こんな情けないオッサン守っても良い事ないよ……。自分でもオイオイと思いたくなるんだから。でも、さすがに1対2は相手も分が悪いと思ってくれたんでしょうか……。ジンオウガが身を翻してエリア5の方へ走って行ってしまいました。クエストには関係のないモンスターなので、追いかける事も無いな……取り敢えずは、ホッとしました……。
でも、私のクエストの目的でもある竜がまだ残ってます……。ジンオウガを追い掛けるかもと思いましたが、そうでもない。
その方を振り向くと、その竜もずっと私の方を見つめていました……何故か”ドキリ”としたのは誰にも内緒……って皆さんにはバレバレ!?
で、”蛇に睨まれた蛙”の様に何故か動けなくなった私にゆっくりと近づいて来ます。ちょちょちょちょっと待って!私どうなる!?このままパクリ!?い、いや、嫌だっ!彼女も出来ないままに死にたくないっ!!私の身体よ!動け、動いてくれっ!!うわぁっもうダメだぁっ!!!……………………!?!?!?
もう、完全に覚悟して力一杯目を瞑ってました!でも、嚙まれない!?何もされない!?どして!?
ゆっくりと目を開けていくと、目の前には今の今まで居なかった筈の女性が立っていました……は!?
容姿は先に話した通りです、で、肝心のタマミツネが居ない!?待って、今目の前まで近づいてたよね?どうなってんの!?
「お前……。」
「へっ!?」
突然話しかけられたので、私も驚いてしまいました。どう理解すればいいのこの状況……。
「私は……お前……好き……。」
「はっはいっ!?」
素っ頓狂な声を上げてしまいました。あの……お嬢さん……今なんと……!?
「お前の……番に……なりたい……。」
と、顔を赤くしてうつ向いちゃった……って待て!!今、番って言ったか!も、も、も、もしかしてそれって……。で、でもこのお嬢さん何処から現れたの!?何で初対面なのに急にそんな事を!?
「だ……ダメか……?」
「い、いや、そんな事は無いよ!急だったもんだからちょっと驚いてて……。」
待て待て、この状況を整理してみよう。私は体が金縛りの様になってて動けずにいた……しかも、正面からタマミツネがゆっくりと近づいてきた……そのままではネコタク送りかあるいは……と思って、覚悟をして力一杯目を瞑った……だが、何もされず目を開けて見れば美女が代わりに居る!?と言うことはまさか………。
「あの…貴女はもしかしてタマミツネ……いや、目の前に居た竜さん……ですか?」
……う、頷いた~~~っ!!
ホ、ホントニ!?……私って……人以外に好かれるんですね……。
確かによく見れば要所に面影がある……間違いないのかな。これは俗に言う“擬人化”って言います!?
相手は竜だけど……こんな美女から番になりたいなんて誘惑をされたら断れるはずがない……私には、一生こんな事は2度と無いことでしょう!!クエストはクリアにはならないでしょうけど。しかし、彼女が出来るかどうかは私にとって死活問題です!それが例え竜だとしても……。
なので私が優先するべきは……やはり……。
「私なんかで良いのかな?頼りないロートルなハンターだよ。こんな美人さんに誘われたら誰も断れないだろうけどね。」
「いい……お前……優しい……後ろから……私を……攻撃……しなかった……そこも……好きになった……。」
い、いやその照れた顔も可愛い……うぐっ、私も完全に彼女にハマり掛けてるなこりゃ。駄目だわ、私も1発KOされた感じ……。
「はは…どうやら私も君の事が好きになったみたいだ……私で良ければ。」
私もハニカミながら返事をしました。彼女が破顔になって、ゆっくり抱き着いて来ます…………って、えっ!あ、ちょっ、ちょっと、胸の感触が……ご、ごほん!
え゛、うっ!?……………。
あ、あ、あ、あの、く、く、唇が……私の唇に……す、凄く柔らかい……い、いや、そうじゃなくてっ!キスキスキス!初接吻です!!………き、奇跡だ……奇跡が起きた……大丈夫だろうか私……。夢じゃないだろうね?抱き着かれて、キスをされて……いつの間にか体が自由になっていて……キスをしたまま私も彼女を優しく抱き締めていました……。はは……私の方が逆にクエストにされてたような感じだね。
ゆっくりと蕩けるような甘い口づけの後、頬をピンク色に染めた彼女に話し掛けます。
「よし、一緒にユクモ村に戻ろう、私の家に行こうか。これからの事はそこで話そう。良いかい?」
「分かった……そうする……嬉しい……愛してる……♪♪」
そうして、私のハンター生活は意外な方向へと向いて行くのです。でも、初体験が有りすぎて良いのかどうかがちょっと不安……でも彼女と居れば幸せさ♪♪ってねWW……かっこつけ過ぎました……。
読了ありがとうございます。続けて次話をよろしくです。