ネグレクトされた少年がトレセン学園で幸せになる話 作:山吹色ノ大妖精
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「・・・やっとだ」
「やっとだね」
あれからあっという間に二ヶ月が経ち、今日はキタちゃんのデビュー戦である。今は控室にてキタちゃんの様子を見ているが、気負った様子も無く、寧ろ絶好調である。
「ミノル君、私勝ってくるよ。だから・・・観ていてね」
「当然だよ。今はもうお前は俺の愛バだからね」
「・・・えへへ、よし!行ってくるね!」
「あぁ!行ってこい!」
そうしてパドックに行くキタちゃんを見送り、ダイヤちゃんのもとへ行く。
「ミノル君、どうだった?」
「調子は絶好調、絶対勝てる」
距離は中距離の2000mで良馬場である。その上でのキタちゃんの状態だ、負けるはずが無い。そう思っていると、パドックにキタちゃんが現れた。
「おぉ・・・」
「あの黒髪の娘、かなり仕上がっているな」
観客からいい感じの評価を貰い、他のウマ娘のお披露目が進んで、各々がゲートへ入っていく。
『さあゲートが開きました!!各ウマ娘、スタートを切りました。ハナを取ったのは一番人気キタサンブラック。凄い勢いで前へ進んでいます!』
ゲートが開いた瞬間、誰よりも早くスタートダッシュを決めたのはキタちゃんだ。作戦が逃げのキタちゃんにとっては絶好のスタートである。
『キタサンブラック独走!後方のウマ娘との距離をグングンと突き離す!真っ先に第一コーナーから第二コーナーに入っていきます!』
キタちゃんの強みは頑丈な身体だ。俺はそれを活かすために、他のウマ娘よりもハードなトレーニングを課した。そのお陰で他のウマ娘よりも仕上がった状態でいる。
『一方二番人気ヴィオラリズムと三番人気ブレイブリーコウが競り合っている。ここで第一コーナーから第二コーナーに入っていきます!そしてキタサンブラック!未だにグングンと飛ばしていきます!ゴールまでに持つと良いですが!?』
キタちゃんはトレーニングを始めた時点で既にスピードとパワーがメイクデビューを制するレベルの状態だったので、俺は彼女のスタミナを重点的に鍛えた。長距離までは流石に無理ではあるが、中距離なら2200Mまでなら余裕でペースを保てるのである。
『ここでヴィオラリズムとブレイブリーコウが上がっていきます!そして後ろのウマ娘たちも上がっていきます!』
キタちゃんの逃げに焦ったのか、全体が前へ進んでいる。そこに俺は不安を感じたが、それを掻き消すように大声で応援することにした。
『後方のウマ娘たちがキタサンブラックに迫っている!ここでキタサンブラック、第三コーナーから最終コーナーへ入っていきます!』
「キタちゃーん!頑張れえぇー!」
「キタちゃん!もう少し!」
『キタサンブラック独走!後ろとの距離は7馬身程か!直線に入ります!後ろはようやく最終コーナーに入ります!キタサンブラックの脚色は衰えない!ヴィオラリズムとブレイブリーコウも上がっていきますが、しかし間に合わない!キタサンブラックが今、一着でゴオォール!これは凄まじい!他のウマ娘を寄せ付ける事なく、見事逃げ切りました。二着はブレイブリーコウ、三着はヴィオラリズム!』
「〜〜〜ッ!!ヨッシャアッ!!」
「やったねミノル君!」
「ああ!」
見事な大勝利に俺とダイヤちゃんはハイタッチを交わした。そして二人でキタちゃんの控室に向かう。控室に入るとキタちゃんは俺に抱きついてきた。
「やったよ!ミノル君!私、私!」
「キタちゃんおめでとう!」
「凄かったよ。キタちゃん、その・・・嬉しかった。君が一着でゴールするところを見れて、すっごい嬉しかった」
「え、えへへ・・・」
「キタサンブラックさん、ウイニングライブの時間です」
「よしッ!私、ウイニングライブも頑張ってくるね!見ててね!ミノル君!ダイヤちゃん!」
ドアがノックされ、ウイニングライブの時間だと伝えられてキタちゃんは目をキラキラさせながらそう言って控室から出て行った。俺たちもライブ会場でキタちゃんのウイニングライブを最後まで見届けたのであった。