ネグレクトされた少年がトレセン学園で幸せになる話 作:山吹色ノ大妖精
お出かけ当日、俺は集合場所で三人にまじまじと見られている。何故かって?
「み、ミノルさん、その格好は・・・?」
「か、かわいいよ!ミノル君!」
「・・・・・・」
「殺してくれ・・・」
俺は今、女の子の格好になっています。発端は昨日の晩、母さんにお出かけの服について相談しようと思ったら、これを着せられたのである。鏡を見ると知らない自分を見ているようで背筋がゾワゾワした。マックイーンさんは俺の格好に驚いていて、キタちゃんは戸惑いながら間違ったフォローをしている。ダイヤちゃんは何故か無言だ。ちょっ、何で近づいてくるの!?目が怖い!?
「ミノルちゃん」
「え、ダイヤちゃん?俺は男だよ?ミノルちゃんとかじゃないよ?」
「ミノルちゃんはミノルちゃんだよ?俺って言っちゃダメですよ?」
「ちょっと?ダイヤちゃん?」
ダイヤちゃんが少しかかり気味になってしまった。ダイヤちゃんに肩をがっしりと掴まれてしまった。
「ミノルちゃん、あっちの服屋さんに行きましょう?きっとミノルちゃんに似合うお洋服がありますよ?」
「ダイヤちゃん落ち着いて!」
「え?・・・アッ!?」
ダイヤちゃんに連れてかれそうになったが、キタちゃんがダイヤちゃんを揺さぶったお陰で正気に戻ってくれた。
「ご、ごめんなさい!ミノル君!」
「ま、まぁ着せ替え人形にならなかっただけでよかったからいいよ」
ダイヤちゃんはちゃんと謝ったのですぐに許してあげた。そしてちょっと気まずい流れを変えるために話題を変える。
「それじゃあ、先ずはマグカップとか買いに行かない?」
「マグカップ?私はいいよ!」
俺の提案にキタちゃんがいの一番に賛成して他の二人も頷いてくれた。そしてやって来た雑貨店で物色してみたが本当に凄い。色んなカラーに模様など、バリエーション様々でとても夢中になれた。
「マックイーンさん、これどうかな」
「それは・・・時計のレリーフですか?」
そうだ。何故かこのマグカップが気になってしまってついつい手を出してしまった。試しにマックイーンさんに聞いてみると意外な顔しながら少し微笑みながら
「いいと思いますよ」
「ありがとう。俺はこれを買うよ」
「それじゃあ私も同じのを買いますわ」
「ねえねえミノル君!これどう?」
この後に二人のマグカップを選んで全員分のマグカップを買った後は遅めの昼食兼おやつでカフェに行くことになった。俺は頼んだのはスパゲッティであるが、他の三人は大盛りにんじんハンバーグを頼んでいた。最初は普通に食べていたが、問題が起こった。
「うーん・・・!おいひい!」
「ミノル君、はい、あーん・・・」
「グフッ!?」
「だ、ダイヤさん!?」
そう、ダイヤちゃんがハンバーグが刺さったフォークを片手に「あーん」をさせて来たのだ。これにはマックイーンさんも驚きである。
「・・・えっと、ダイヤちゃん?」
「あーん」
「あ、あーん・・・んぐぅ」
ダイヤちゃんの物言わぬ圧力に負けた俺はダイヤちゃんのハンバーグを一口食べた。それを見ていた二人は
「「ミノル君(さん)、あーん」」
「〜ッ!?〜〜〜ッ!?」
一口とは言え案外大きかったので口がいっぱいになったにも関わらず、キタちゃんもマックイーンさんにも大きめのハンバーグであーんをさせられてしまったので、スパゲッティを含めてお腹がぱんぱんになってしまった。そうしてる内にも二人のメニューを考えたりした。そして他にもいろいろあって夕方になった。これ以上は外にはいられないので今は帰路についている。
「あー!楽しかった!」
「それは良かった」
キタちゃんの楽しかったという声に良かったと返す。今日のお出かけで親睦が深まったと同時に予想より良いトレーニングメニューが出来たことに安堵している。
「今日は楽しかったですわ。また誘ってくれると嬉しいです」
「そうか、それなら今度はアイツらも混ぜて行かないか?」
「アイツら・・・?」
「おい!隠れているのはわかってるんだぞ!」
マックイーンさんにそう言ってとある場所に指を指す。三人も釣られてそこを見る。誰も居ないと思っているだろうが、実は最初の集合の時、羞恥心で気づかなかったが、ずっと俺たちを追跡しているウマ娘たちがいたのだ。しかも彼女にとっても見慣れた顔である。
「・・・誰もいませんよ?」
「テイオー!はちみーいるかー!?」
「わーい!はちみー・・・あっ」
「て、テイオーさん!?どうして!?」
「ゴルシもいるだろ?早く出てこいよ」
「ご、ゴールドシップさんも!?」
テイオーが現れたことにキタちゃんは驚いている。ゴールドシップは未だ無言で居ない様にしているが・・・まだ甘いな。
「ゴルシ!明日、母さんにお前が隠蔽しているやらかしをバラしとくからな!」
「やめろー!たづなさんにだけは・・・ハッ!?」
「・・・ゴールドシップさん?」
「へへへ・・・じゃあな!」
「逃がしませんわ!」
「何!?ぐ、ぐわああああああ!?」
マックイーンさんの覇気に当てられたゴルシはすぐに逃走したが、マックイーンさんにあっという間に捕まってプロレス技を掛けられてしまった。
「えーっと、ミノル君、私たち・・・」
「あぁ、この二人に尾行させられていた」
「そ、そうだったんですか・・・」
自分達が尾行されていたという事実に何とも言え無さそうな様子になるダイヤちゃん。それは兎も角
「もう暗いし、こんなことしている暇は無いから、そろそろ帰ろ?」
「そ、そうですね!」
「ま、マックイーンさんとゴールドシップさんは?」
「二人は俺がなんとかするよ。二人は先に帰ってて」
「え?ボクは?」
キタちゃんとダイヤちゃんを先に帰るように促すとテイオーが割って入って来た。
「お前は俺と一緒にマックイーンさんとゴルシをなんとかする。発端はゴルシを誘ったお前だろうから、ちゃんと後処理しないとな」
「ぐぬぬ・・・」
テイオーは図星で何も言え無さそうなので、そのままテイオーの腕を掴んでマックイーンさんの方向へ引っ張る。
「おーい、マックイーンさん」
「ピャアアア!?み、ミノルさん!?」
「ゴルシはテイオーが運ぶから、マックイーンさんはキタちゃん達と一緒に帰ってください」
「・・・わかりましたわ」
「ま、マックイーン!?」
後ろにテイオーがいるからわからないが、恐らく助けを求める目をしていたのだろう。しかし、マックイーンさんは断ってキタちゃん達の方へ歩いて行った。
「それじゃあな、テイオー。明日のトレーニングには遅れるなよ」
「ちょっ、やっぱりミノルはボクに対して扱い雑だよねぇ!?」
後のことをテイオーに丸投げして俺は自分の家に帰った。