ソードアート・オンライン 〜君と共に〜   作:楽々亭

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この章だけでもう9話目……。ここまで長いのは2章以来です。



第69話 掃除屋と二刀流

 

 空を舞うサラマンダーの集団に仕掛けるために地上から飛び立った瞬間、カイトは耳を(つんざ)く咆哮に反応して視線を発生源に移すと、そこにはどこか見覚えのある巨大な悪魔型モンスターが鎮座していた。まるで怪獣映画のような光景に場が膠着するが、突如現れた悪魔の正体が何なのか、カイトにとっては考えるまでもなく明らかだった。

 

(あいつはNPCに置き換えてもやる事がぶっ飛んでるなぁ……)

 

 キリトの戦闘データを抽出してAI化した《黒の剣士》は、スプリガンお得意の幻惑魔法を用いてその姿を巨大なモンスターに変化させたのだろう。見た目の強烈なインパクトもさることながら、本物と見間違うプレッシャーは離れた場所にいても肌を刺激された。

 カイトが悪魔に意識を注視していたのはほんの僅かだったが、周囲のプレイヤーは突然の大型モンスター出現にどよめき、戦場が一時凍結する。放っておけばいずれ元に戻るだろうが、生憎その様子を眺めて待つほどカイトは優しくない。

 いまだ意識を悪魔に向けているサラマンダーに狙いを定めると、先手を取るべく一気に距離を詰める。カイトの接近にサラマンダーが気付いた時は、既に剣を振るって一撃目を見舞う直前だった。

 

「うおっ……らあっ!!」

 

 1撃目をサラマンダーの右腕に当てると、止まることなくそのまま流れるような動きで剣を疾らせる。2撃目を左腕に当て、3・4撃目は腹部を横一文字に断ち切った。身体に染み付いた水平4連撃技が、空中で正方形の軌跡を優美に描いた。

 

「くっ、そ……」

 

 HPゲージを全て吹き飛ばすには少々火力不足だったが、残り体力は全体の数パーセントしか残っていないため、風を薙ぐように剣を振れば簡単に消し去ることが出来る。カイトは単発の巣直斬りを追加で繰り出すと、サラマンダーはエンドフレイムと化して蘇生待機状態となった。

 仲間が討たれたことで他のサラマンダー達も我に返り、各々の武器でカイトに斬りかかる。敵は複数な上に立ち位置はてんでバラバラで、常人なら全てを捌いて凌ぐのは不可能だ。

 それもそのはず、地上戦は前後左右に気を配らなければならないが、空中戦だと上下を加えた周囲360度から敵が襲ってくる展開を考慮しなければならなくなる。1対1なら兎も角、複数人のプレイヤーが同時に攻めてきたら、1対多の展開に馴れていないプレイヤーは対処の仕方と判断に迷い、脳が状況を処理しきる前に斬られてしまうだろう。

 しかし、SAO時代に幾つもの死線をくぐり抜けた経験と培った技術に助けられ、カイトにとっては焦りを感じるほど切羽詰まった状況ではない。最速で最適解を導き出し、敵との間合いや立ち位置から最善の策を脳内で練ると、すぐさま実行に移した。

 最初に攻めてきたサラマンダーの攻撃を前方宙返りで優雅に躱し、頭上を飛び越えた後、敵の首根っこを掴んで強引に位置を左方向にズラす。そして次の瞬間に起こったのは、たった今首元を掴まれたサラマンダーが、別方向から攻めてきた仲間に斬りつけられる光景だった。

 

「うぐっ…………」

 

 カイトが盾代わりに利用したサラマンダーは、仲間の大槍に腹を穿(うが)たれた事で呻き声を漏らす。一方、大槍がサラマンダーの身体に阻まれたため、槍の穂先はカイトの腹部から数センチ先で止まった。

 

「はあっ!」

 

 盾に利用した敵を今度は自分の初動が悟られないための壁として利用し、仕掛けてきた大槍武装のサラマンダーの横をすり抜けざま、単発の斜め切りでダメージを与えた。

 カイトは飛び出した勢いを殺さずに距離をとると、反転し、急制動をかけ、直線上に並ぶ敵2人目掛けて猛スピードで突っ込んだ。

 彼我の距離、5メートル。完全に必中の間合いであり、翅の生み出した推進力に背中を押され、アバターはぐんぐん突き進む。

 

「うおおぉぉっっ!!!」

 

 左腕を前にし、右腕を後ろに引く構えから繰り出されるのは、SAO時代に愛用していた剣技の1つ。片手剣スキルにしては珍しい単発の突き技だったが、その一撃で戦況を引っ繰り返せるほどの威力を誇り、かつて何度もカイトの危機を救ってきた。

 右腕が霞むほどの速さで剣を突き出すと、ジェットエンジンめいた轟音が周囲に響く。クリムゾンレッドの眩い光芒が剣を包む、といった演出までは流石にないが、かつての姿を強くイメージし、ただただ敵を貫く事だけに特化した剣技を放った。

 大槍で仲間を穿ち、穿たれた双方のサラマンダーは、カイトの片手剣に肩口を貫かれ、HPゲージが大きく減少した。突進の威力に押されて串刺し状態となり、そのまま地上に向けて急降下する。剣でアバターを貫き、発生した貫通継続ダメージでHPを減らしつつ、残ったHPは地上に叩きつけた際のダメージで根こそぎ奪う算段だ。

 2人のサラマンダーは串刺し状態のまま、カイトと共に重力に逆らって急降下する。そこから数秒後には落下した際の大音響と土煙を周囲に撒き散らし、カイトは出来上がった巨大クレーターの中心部に新たなリメインライトを作り出した。

 片膝をつき、剣を地面に突き立てて身体をほんの少しだけ預ける。対集団戦は彼の十八番だが、ここまでの間、一息つく暇もなく向かってくる敵を屠ってきた。久しぶりの連戦で精神的に疲労しているのが、肩で息をしている様子から容易に伺えた。

 

(なまってんなぁ……)

 

 生と死が隣り合わせの世界で戦っていた頃、今と同じ状況なら間違いなくこんな姿は一時たりとも見せなかっただろう。敵に弱っている姿を見せれば、必ず相手はその隙をついてくるのはわかりきっていたので、どれだけ精神的疲労が溜まっていても気丈に振る舞うようにしていたのだ。

 たった2ヶ月程で虚勢を張る元気が無くなってしまったのを少々情けないと思いはすれど、戦闘のカンが衰えていないのは救いだった。まだ全盛期とまではいかないが、身体は動く、周りは見えてる、状況判断も問題ないし、頭は至って冷静だ。もしそうでなければ、今頃彼の身体にはもっと多くの傷が刻み込まれていただろう。例えば――――。

 

 ――シュバッ!

 

 うっかりしていると聞き漏らしてしまいそうな、遠隔攻撃型の魔法が発する発射音に気が付く事もなかっただろう。

 音の発生から2秒と掛からず、カイトが立つクレーターに《単焦点追尾(シングルホーミング)》型の魔法が立て続けに着弾した。

 色は燃えるような紅蓮。属性は火。球数は3発。

 晴れかけていた土煙が再び発生し、周囲を茶褐色に染め上げる。

 

「よっしゃあっ!」

 

 ガッツポーズを決めているのが見ていなくても想像できるような上向きの声色は、魔法を放ったサラマンダーの内の1人だ。背中を向けた状態のカイトに放ったものなので、回避は不可能、攻撃がヒットしたのを微塵も疑っていない。

 普通ならその考えでも通用するが、相手がカイトなら話は別だ。ここで気を緩めていい相手ではないことを、彼らはまだ理解出来ていない。

 発生した環境エフェクトの中から蒼い弾丸が飛び出してきたのを見て、サラマンダー達の表情は再度険しいものとなる。魔法の存在を認知していたカイトは、すんでの所で回避し、サラマンダーに反撃の剣を振るため飛び出したのだ。

 カイトの行動に虚を突かれたサラマンダー達だったが、すぐに次の手を打つべく魔法の詠唱を開始した。カイトの飛行スピードなら魔法を使われる前に斬り込めるが、せいぜい1人が限界だ。1人を斬り伏せている間に、他の2人から手痛い攻撃を喰らうはめになるだろう。

 

(だったら……)

 

 間に合わないと判断したカイトは、ウンディーネ領を出る際にあらかじめ買っておいた店売りの革製ホルダーに手を伸ばす。腰に装着されているホルダーから3本の鉄製ピックを指の腹で挟むと、素早く抜きとって詠唱中の敵目掛けて投擲した。完全習得(コンプリート)済みの《投剣》スキルが発動し、命中精度の補正が最大限に働いたおかげで、ピックは寸分違わずカイトの狙った先へと向かう。

 

「くっ……」

「かっ……!」

「……っ!」

 

 詠唱途中だった敵は、それぞれ肩、胸、腹といった部位にピックが突き刺さった。ピックで与えられるダメージは微々たるものだが、カイトの目的はHPを削ることではなく、魔法の詠唱を阻止することだ。

 そして狙い通り、敵はピックが刺さった際に短い声を漏らしたため、詠唱中だったスペルをファンブルし、ぼふん! と周囲に黒煙がたち込めた。

 

「うらあっ!」

 

 ファンブルした隙をつき、最も近くにいた敵を横薙ぎに一閃。眉間に皺を寄せた敵の顔を横目に、流れるような動きで2人目目掛けて突進技を仕掛けた。上段から振り下ろされた剣が敵の鎧を深々と斬りつけ、真紅のダメージエフェクトを散らす。

 するとここで、ファンブルから立ち直った敵の1人がカイトの背面から忍び寄り、不意打ちを仕掛けるために剣を上段に高く掲げた。完全に背中をとったと思ったサラマンダーは笑みを浮かべ、渾身の力で振り下ろす。

 しかし、ここでサラマンダーにとって予期せぬ出来事が起きた。

 突然自分の身体が淡青色の光に包まれたかと思いきや、振り下ろした剣が途中で止まり、全身を2本の鉄鎖で縛り上げられる。プレイヤーの動きを阻害する魔法がかけられたのだと瞬時に理解したが、カイトがスペルを詠唱した素振りは一切なかった筈だ。渦巻く疑問が脳の半分を占め、混乱する。

 一方、カイトは敵の不意打ちが失敗するのをわかっていたのか、慌てる様子もなく振り返り、単発斜め切りを繰り出した。下段から跳ね上がった剣が身動きの取れない相手の胴を斬り裂くと、敵は物言わぬ炎と化した。

 

「ありがとう、アスナ。おかげで助かったよ」

 

 カイトが剣を下ろして斜め上を見上げると、そこには両手を胸の前でかざしているアスナの姿があった。先ほど敵を拘束した魔法は、アスナがカイトをサポートするために使ったものだったのだ。

 

「どういたしまして。……ところでカイト君。もしかして、私が魔法を使うのに気付いてた?」

 

 敵がアスナの魔法に虚を突かれたのは兎も角、彼女は声や目でカイトに合図を送ったりしなかったので、本来なら味方である彼も表情や動きに何かしらの反応を示す筈なのだ。

 しかし、実際には動じることもなく、まるでアスナのサポートがあるのを最初からわかっていたかのような振る舞いだった。それでつい、アスナは疑問が口をついて出てしまったのだ。

 

「あぁ。オレが土煙から飛び出した時、魔法を詠唱してるアスナの姿が一瞬だけ見えたからな」

 

 真顔でさも当たり前のように言ってのけたカイトだが、敵目掛けて高速飛行していた彼にしてみれば、敵の位置、数、状況から取るべき行動を選択して実行に移す事に、脳で行う処理の大部分を割いていたはずだ。

 となれば、余計な情報は取り込まないよう、脳が無意識の内に視界を狭め、周囲の様子にまで意識が行き届かなくなるのだが、彼に関して言えばその理屈は通じないらしい。

 視界の広さは積み上げられた戦闘経験の賜物でもあるが、相手の位置関係や状況を瞬時に、かつ的確に判断出来るのは、誰よりも秀でていると茅場に指摘された『空間認知能力』によるものだった。

 カイトにしてみれば、自分の周囲360度のどこにプレイヤーがいようとも、一瞬でも彼の視界に入れば正確に位置関係を把握する事が可能だ。自分とプレイヤーの距離は勿論、プレイヤー同士の間隔やオブジェクトとの距離などを目算でも正確に言い当てられる。

 だからこそ、彼は立ち位置を計算して同士討ちを狙ったり、敵を盾代わりに利用するといった芸当をやってのけるのだ。もし彼を出し抜こうと思うなら、ネズミ1匹たりとも逃げられない包囲網を敷いて一斉攻撃するか、彼の反応速度を上回る技術で追い込むしかないだろう。

 

「それにしても、敵さんの数が大分減ってきたなぁ」

 

 アスナがカイトのサポートに回れるようになった事からも想像がつくが、最初は50を超える大群だったのに、今となっては2パーティーいるかいないかにまでサラマンダーの数が減ってしまっていた。そのほとんどを蹴散らしたのはカイトとアスナのバーサークっぷりなのだが、本人達にその自覚はない。

 

「ここまでくれば、なんとかなるだろ。アスナはまだ戦ってるシルフとケットシーの援護に行ってくれないか?」

「わかった。……カイト君はどうするの?」

「オレは……」

 

 カイトは少しだけ考える素振りを見せると、離れた場所で戦っている黒衣の剣士と猛炎の将を一瞥した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隙のない二刀の構えから発せられるプレッシャー。

 それを余すことなく肌で感じとったユージーンは、警戒レベルを一段引き上げ、より一層気を引き締めた。

 左右の手に剣を1振りずつ装備する二刀流は、物珍しくはあれど、概念としては新しいものではない。両手に剣を装備すれば単純に考えて手数と攻撃力が2倍になる計算だし、その実用性と見栄えの良さ、加えて《二刀流》という響きに陶酔して挑戦した者は多いからだ。

 しかし、二刀流を実戦で使いこなせるレベルにまで達したプレイヤーがどれだけいるかというと、おそらくALOのどこを探してもそんなプレイヤーはいないだろう。両手で握った剣を高度な連携で操るのは、それだけ難しいのだ。

 《黒の剣士》が二刀装備状態にパターンを移行するのは、4段あるHPバーの1段目、すなわち全体の25%が削られた時に解放するようプログラムされている。さらに言えば、《黒の剣士》をここまで追い込んだのはユージーンが初めてであり、かつ、二刀流の相手とこれから繰り広げられる実戦は、ユージーンにとってもALO史上にとっても初めての出来事だった。

 

 そんな前代未聞の一戦、その火蓋は《黒の剣士》によって切り落とされた。

 ユージーンの重撃で突き飛ばされ、大きく開いた距離を埋めるべく、《黒の剣士》は敏捷値全開で肉薄する。晴天の下で漆黒の弾丸が宙を疾り、そのスピードに負けず劣らずの速度で右の剣が閃いた。上段に振りかぶった剣で単発の垂直斬りを見舞う。

 並のプレイヤーなら反応が間に合わないだろうが、ユージーンは咄嗟の判断で剣を身体の前で立て、防御姿勢をとった。接触の瞬間に甲高い金属音と橙色の火花を散らし、ユージーンの腕に衝撃が伝わってくる。

 しかし、攻撃はまだ終わっていない。右の剣が閃いたのなら、今度は左の剣が閃く番だ。

 上段から繰り出された初撃に対し、2撃目は下段からの斬り上げだった。

 

「く、おぉ…………」

 

 右の剣を防ぐのに手一杯だったユージーンが間に合うはずもなく、右腕を深々と斬りつけられて苦悶の表情を浮かべた。眉間に刻まれた皺の深さからも、その様子がハッキリ見てとれる。

 だが、やられっぱなしで大人しくするユージーンではない。《黒の剣士》を剣で押し返して少し距離を作ると、魔剣を大上段に構えて小細工なしに真正面から撃ち込んだ。

 そんなユージーンの圧力に臆することなく、《黒の剣士》は迎え撃つ。雷光の如き速度で剣を振り抜き、あろうことかエセリアルシフトが発動するよりも早く、魔剣の側面を撃ち抜いて弾き返したのだ。

 

(――馬鹿なっ……!)

 

 これには流石のユージーンも予想外だったらしく、驚愕に見舞われて大きく両眼を剥いた。そして彼の動揺は波紋となって内から外へと広がり、わずかではあるが思考が停止する。

 人は様々な状況に応じて対応出来る高い適応能力を有するが、それはあくまで予想を大幅に逸脱しない範囲に限った話だ。想像の範疇を超えた、言い換えれば『思考の死角』を突かれると、ユージーンのように一種の膠着状態を生み出してしまう。

 とは言っても、膠着状態はコンマ数秒の世界の話で、平常時ならさしたる問題はないし、立ち直るのはあっという間だ――――が、高速戦闘時にはそのわずかな隙を突いた結果、勝利を収める場合があるし、その逆もまた然りだ。

 《黒の剣士》はさらに1歩分踏み込むと、左の剣で斬り払い、連動して右の剣をユージーンの水月目掛けて突き出す。連続剣技は止まることを知らず、切り払った左の剣が左下から跳ね上がり、同じ軌道をもう一度なぞるように刃が戻った。ユージーンは大きく飛び退いて離れようと試みるが、相手がそれを許さず、追随して距離を詰めてくるので逃れようがなかった。

 天上の頂に鎮座する太陽の光を反射しながら撃ち出される剣技は、夜空を駆ける流星群のよう。怒涛の高速剣技を間近で見たユージーンは、誰も到達出来ていない二刀流の完成形を目の当たりにしていた。

 

(今の俺では、こいつに勝てん……)

 

 そう悟ると同時に、連続剣技最後の一振りがユージーンの胴を突き、重々しい音と共に貫いた。

 その一撃がわずかに残っていたHPを完全に削り、爆発して巨大なエンドフレイムを巻き上げる。ユージーンのアバターは跡形もなく燃え崩れた。

 敵を屠った《黒の剣士》は、左右の剣を払って背中の鞘に収める。淡い炎と化して蘇生猶予時間を消費するしかないユージーンが、ただただ黙ってその様子を眺めていると、戦闘を終えて静寂を取り戻しかけた《黒の剣士》の瞳が、再び鋭い光を帯びた。収めた二刀を抜剣して見つめる先に何があるのかユージーンが気にかけていると、耳慣れた風切り音が聞こえてきた。その音はみるみる大きくなり、いつしかエンドフレイムとなったユージーンの真横をすり抜け――――《黒の剣士》に強烈な突進技をかましたのだった。

 突如現れた蒼い弾丸は、二刀十字の構えで防御姿勢をとっていた黒衣の剣士を突き飛ばした後、急制動をかけて突進の勢いを殺し、次いで大きく後退した。

 青色を基調とするウンディーネがユージーンの横まで下がると、腰のポーチからブルーの小瓶――《世界樹の雫》と呼ばれる蘇生アイテム――を取り出す。小瓶の栓を抜いてリメインライトに注ぐと、蘇生魔法を使用した時と同じ魔法陣が浮かび上がり、瞬く間にユージーンは復活した。

 復活したユージーンは、現れたウンディーネのカイトを一瞥すると、彼の真意を図りかねて目を細めた。

 

「貴様、どういう……?」

「剣1本なら兎も角、二刀で挑まれるとどう転ぶかオレ自身にもわからないんでね。一時休戦、そして一時協定だ」

 

 カイトは右肩を大きく回すと、隣に立つユージーンを見た。

 

「あんたも、やられっぱなしで終わるのは嫌だろう?」

 

 幼さを残す少年の口許に、不敵な笑みが浮かぶ。

 『あいつを倒すのに協力しろ』。

 こう言いたいのだろう。

 

「……ふん、良いだろう。だが、一筋縄ではいかんぞ」

「心配ご無用。勝算はあるさ。だって――」

 

 細身の片手剣を握る右手に自然と力が込もり、カイトは倒すべき敵を見据えた。

 

「あいつの事を1番理解しているのは、オレなんだから」

 





カイトは勘を取り戻し中。
一方ユージーンは瞬殺されました。二刀流になった途端やられるのは、ある意味原作通り……?

次回は偽キリトVSカイト・ユージーンのコンビ(?)です。
なぜ(?)をつけたのかは次回で判明します。
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