気づいたらジョニーでした。   作:タコベル

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 大変お待たせしました、展開にめちゃくちゃ悩んでました。


第10話

 スネークは独房で脱出の機会を探っていた。どうにかしてここを出なければならない。見張りの兵士はトイレに入って出てこないが、そのチャンスは生かせずにいた。

 先程無線をしたオタコンがなかなかやってこない、スネークは焦れていた。

 トイレから見張りが出てきてしまった、思わず悪態を吐きそうになる。見張りはスネークの方を確認すると安心したように巡回を続けた。

 このままでは埒があかないと焦っていると、拷問器のある部屋のエレベーターの方へと続くドアがひとりでに開いた。だがそこには誰もいなかった。見張りは興味も示さなかったがスネークには心当たりがあった。

 オタコン、少し遅かったな。

 いくら姿が見えない(ステルス迷彩)と言えども見張りがいては会話もままならない。すぐ近くにいるのにと歯噛みするスネークだったが、すぐ予想だにしない光景に目を見張ることになる。

 見張りが突然、見えない何かに襲われ昏倒したのだ。後ろからの一撃に加え、頭を押さえながら振り返ったところを強烈な一撃で脳を揺らされたように見えた。鮮やかなコンボにスネークは呆然と立ち尽くす。独房のドアの方からの呼び声で気がついた。見ると、ステルスを解除したオタコンがいた。

「スネーク!僕だよ!」

「オタコン!よくやった!早くここから出してくれ!」

「待ってくれ、今やってるところさ!」

 倒した見張りから取ったと思われる鍵で独房のドアを開ける痩身の技術者を見て、スネークはある種の感動を覚えていた。

「開いたよ!」

「まさかお前がここまでやるなんてな、見直したぞオタコン」

「そうでもないよ、無我夢中だったし」

「そうなのか?こうも上手く無力化できるやつはそういない。しっかり監視カメラの死角に入ってからやつを倒していたしな」

「た、たまたまだよ。当たりどころが良かったのさアハハ・・・」

 謙遜して恥ずかしそうに頭をかくオタコンの横で、スネークは気絶した兵士の傍らで話しながらまとめられていた装備を身につけていく。

 反撃の時だ。

「オタコンはこれからどうするんだ?」

「僕はまたこいつで隠れてるよ」

 そう言ってオタコンはステルスを再び起動した。

「そうか、まぁいざという時は身を守れそうだし大丈夫か」

「そんなことないよ、僕は隠れて引きこもるのがお似合いさ」

「運も実力のうちだ。一度はできたんだ、自信を持て」

 スネークにはその姿は見えなかったがオタコンが照れてはにかんだように感じた、実際には苦笑いだったが。

 オタコンのおかげで運が向いてきた気がする。スネークはメタルギア整備基地を目指してエレベーターへと向かった。

 

 ※※※

 

 ・・・そろそろ気絶したフリやめていいかな?

 全く体を動かさないのはかなり苦痛だった。スネークがいなくなってから更に5分ほど待ってようやく体を起こす。気絶から目を覚ました風を装って無線でスネークの脱走を通報した。

 一応警戒体制には入るがそこまで厳しくはならないはずだ。今のままでは核を撃つことはできない。彼らこそスネークにPALキーを入力してもらわなければならないのだ。

 それにしても我ながらなかなか上手くできたのでは?侵入に気づかないまま物陰で気絶させられる兵士を演じ切った。

 オタコンが忍び寄ってきたのはすぐ分かった。何せ緊張のあまり息が荒くなり、はぁはぁと息を吐くのが丸聞こえだった。少しぐらい当たってもいいかとも思っていたが、ちょっと怖くなって勝手に始めてしまった。結果上手くいったのでよしとしよう。

 カメラの死角に入ったのも、異常に気づかれて増援が来るのを防ぐためと、殴られたフリがバレる可能性を少しでも下げるためだ。

 スネークにも気付かれなかったようだ。オタコンの株が爆上がりしてしまったが、尊い犠牲ということでオタコンには頑張ってもらおう。

 上官にも2度目の脱走報告をした時は、1度までならず2度までも脱走を許したとあっては流石に険しい表情を向けられた。しかし、姿が見えなかったこと、監視カメラの映像にも映っていないことから相手はステルスであると分かってからは、よく殺されなかったなと同情的であった。

 サイボーグ忍者の凶行がゲノム兵の中にトラウマとして深く根付いてしまったようで、ゲノム兵はストレスで不安定になっている。一方で、スネークを逃したことを非難するような目をジョニーに向けてくる者もいた。直接は言ってこないが少し動きには注意すべきか?

 オタコンが動きにくくなっていなければいいが。

 

 拠点がわりの部屋に戻って軽食を取る。残しておいたプレッツェルとマフィン、ココアで一息ついた。

 これからどうするべきか。正直、このまま何もしなくても事件は解決するだろう。ゲームのままのエンディングを迎えるだけだ。

 (ジョニー)の真価が生かされるのはMGS4を待たないとなぁ・・・とどこか他人事かのように考える始末であった。

 そういえばオタコンは今どうしているのか、連絡してみよう。

「オタコン、聞こえるか?」

「ジョニー?」

「どうやら無事なようだな、今どこに?」

 ステルス迷彩を着ているから大丈夫だとは思っていたが、無事を確認できてホッとした。今何をしているのだろう?その疑問はオタコンによって遮られた。

「無事だって?君のせいでスネークに勘違いされたじゃないか!」

「そう熱くなるな、奴らに気づかれるぞ。上手くいったからいいじゃないか」

「君はいいさ、変な期待をされて苦労するのは僕なんだ!」

 どうやらスネークの脱出劇に一躍買った英雄殿は結果がお気に召さないらしい。

「悪かったよ、ここから無事に出れたら何か埋め合わせするさ」

「・・・次はもう少し僕向きの仕事にしてくれよ全く」

「善処しよう、それで今どこに?」

「僕の研究室に向かってるところさ、スネークにもステルス迷彩をあげようと思って」

「そうか、どこで合流するんだ?」

「うーん、通信棟になるかな」

 通信棟で合流する流れは原作通りらしい。

「分かった、奴らステルスに過敏になってるから気をつけろよ」

「そう言う君こそ大丈夫なのかい?」

「俺か?まぁ、上手くやるさ」

「気をつけてくれよ、君にまで助けてくれなんて言われても何もできないからね」

「分かってる、じゃあな」

 オタコンに上手くやるなんて言ったが、ここからはゲノム兵達に気付かれずに動くのは難しい。傍観を決め込むならまだしも、動くとなるといよいよ無茶をしないといけなくなってきたかもしれない。

 

 ※※※

 

 モニターの前でリボルバー・オセロットは映像を眺めていた。モニターにはスネークが脱走した前後の映像が流れている。

 開く扉、監視カメラの死角に入った後映らなくなるゲノム兵、しばらく後に乱れる映像、復旧してまた何分か後に頭を押さえてカメラに映るゲノム兵、一部始終が記録されていた。

 勝手に扉が開いたのは、ステルス迷彩で姿を隠した何者かが通過したためだろう。その後、映像が乱れる直前にはチャフが舞い散るのが見えた。間違いなくチャフ・グレネードによる妨害だ。その隙にスネークは部屋を出たに違いない。

 侵入、制圧、解放、離脱。全てが鮮やかに行われた。救出者はかなりの手練れだ。自分の腕を斬ったあの忍者(グレイ・フォックス)なら納得もいく。

 だが、オセロットはこの脱走劇に言語化できない違和感を感じていた。何かが違う、何かがおかしい。その正体を突き止めるべく映像を繰り返し見ているが、なかなか掴めずにいた。

 今のところ計画は順調だが、不確定要素は無くしておきたい。オセロットは1人映像の前に思案に耽っていた。

 

 ※※※

 

 例によってスネークを追って核弾頭保存棟に向かった。今回は車を使えたので大分楽ができた。通信棟でスネークを待ち構えるのに兵を集めたらしく、警備の隙ができているところに補充が必要だったらしい。こちらとしては好都合だ。

 無線が入り、通信棟で戦闘が始まったようだ。先ほどハインドも飛び立っている。リキッドのヘリまで出れば哀れな侵入者はもうおしまいだと、ゲノム兵達は楽観的だ。普通に考えれば間違いない。

 だが相手は伝説の英雄だ。

 戦車格納庫の地下で見つけた爆薬とカールグスタフM3を持って通信棟へ向かう。1人だけデカい荷物で車に乗った時は変な顔をされたが、万が一スネークが現れたらこいつで撃ってやると、勇ましくアピールしておいた。

 一緒に来る奴もいない、目に見えてゲノム兵の士気は下がっていた。リキッドに殺されるだろうし、ハインドの攻撃に巻き込まれたくないと言っていた。

 マンティスの洗脳も解け始めているようだし、離反者が出てきてもおかしくない。いい流れだ。

 

 エレベーターで地下に降り、所長室を抜けて氷河の洞窟を通り抜ける。背中のカールグスタフと弾、それに爆薬の重みがズッシリとくる。雪原を歩かなくて済んだだけマシだが、重いものは重い。

 戦車格納庫の地下1階の倉庫には、ゲームでは登場しなかった重火器が大量にあった。カールグスタフのみならず、ジャベリンやAT4、最新のNLAWといった対戦車兵器、Mk46やMk48のような機関銃、狙撃銃もPSG-1の他にバレットM82もあった。

 更にはRPGやAK、PKMと言った東側兵器も集積されていた。おそらく、ゴルルコビッチ大佐からハインドと一緒に引き渡されたものだろう。

 カールグスタフを持ってきたのは万が一のREX対策だ。ゲームではスティンガーを使っていたが、実際のところシーカーがロックオンしてくれるか怪しい。ロックできたところで動き回るREXをずっと捉えるのも難しいし、隙を見つけてヒットアンドアウェイを狙うしかない。

 AT4を使うのも考えたが、弾種がHEATのものしかなかった。かなり悩んだが、レドームの中の各種センサーを叩くのにはHEDP弾の方が良さそうだと思った。流石にレドームは装甲化されてないよな・・・?

 そもそも、REXを起動させなければこいつの出番はない。なんとかしてPALキーの入力を止めなければ。でもどうやって?核発射を止める為に入力するのが本当は逆だなんてどうやったら信じてもらえる?

 

 ジョニーが悩んでいるうちに通信棟の入り口まで着いた。入ろうとすると上から爆音と衝撃波を感じた。

 マズイ!ハインドの攻撃だ!

 慌てて中に入ると、さっきまでいたところに衛星用アンテナの残骸が降り注いできた。これ建物ごと崩れたりしないよな?ジョニーは不安になるが、今は上に登るしかない。エレベーターを使おうとしたが、さっきの攻撃で上の機械室にダメージが入ったか動かなくなっていた。

 さっきの爆発はリキッドが攻撃して最上階の橋を壊したものだ。スネークはこれから懸垂降下(リペリング)で中間層まで降りるところだろう。

 地上の出入り口は氷河で塞がれ、中間層の橋への扉は溶接されている。そのための爆薬だ。しっかりブリーチング用の爆薬も持ってきた。27層も登ってられないぜ!

 とは言っても、中間層までは15層ほどある。スネークと鉢合わせする心配は無いだろうが、この大荷物で階段を登ると思うと気が遠くなりそうだった。

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