気づいたらジョニーでした。   作:タコベル

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お待たせしました。


第14話

 危ないところだった。万が一のことを考えてオタコンの元へ来たら、正に万が一の状況だった。

 一方、助けられたオタコンはこちらを見定めるような視線を投げてくる。

「・・・本当にジョニーだよね?」

「どういう意味だ?」

「いや・・・ミラーって人が本当はリキッドだったってことがあったからさ、不安になっちゃって」

 君で良かったと未だに青い顔で微笑もうとする。確かにミラーが偽物だと言うのは初プレイの時も衝撃的だった。突然知り合いが現れたら疑いたくなるのも無理はない。

 それを本人に直接聞いても意味がないとは思うがね!オタコンは妹を(かた)られたり、ナオミに利用されたりするからもう少し疑り深くなってもいいかも知れない。

 まぁ、その人の良さがオタコンのいいところでもあるのだが。

 

「よくここが分かったね?」

「システムにアクセスするならここだと思ってきただけさ、ゲノム兵(こいつら)も騒いでたしな」

 そう言って倒れたゲノム兵を見やる。オタコンはと言えば死体を見てまた青ざめていた。

「・・・通信棟の死体もきみがやったのかい?」

「・・・そうだ」

「どうして嘘を?」

「言わなかっただけだ。()()()来てなかったからな、嘘はついてない」

「なんだよそれ」

「下手に教えて、奴らに俺の情報が漏れるのを防ぎたかったのもある。事実、スパイがいた訳だしな」

 言わなくて良かったと時計を確認しながら言うと、オタコンが表情を曇らせる、何かあったか?

「そのことなんだけど・・・」

「どうした?」

「・・・リキッドに君のことがバレちゃったんだ・・・」

「・・・そうか」

 ついにバレてしまったか。遅かれ早かれ気づかれるとは思っていた、寧ろよく今までバレなかった方だと思う。

「・・・それだけ?」

「いつかはバレると思っていたしな。それに、リキッドは今スネークの相手でスパイの1人や2人気にする余裕はないだろう。今のうちに脱出の準備だ」

「脱出?メタルギアを止めるんじゃないのかい?」

「今から行っても間に合わん、それよりスネークがメタルギアを壊した後が問題だ」

「壊した後?メタルギアが使えなければリキッド達は何もできないんじゃ?」

「だからだよ、核発射という切り札が無くなれば政府(ホワイトハウス)は強硬手段に出かねない」

「強硬手段って、ここを爆撃するってこと!?」

「そうだ、お邪魔虫のハインドももういないしな」

 政府というよりは国防省長官の独断なんだけどね。結局、愛国者達に止められるとはいえ万が一ということもある。退避の準備はしておこう。

「退避するなら格納庫の近くに搬出路と駐車場があったはずだよ、セキュリティを解除していこう」

「スネーク達の分も車があるといいがな」

「スネーク()?他に誰かいるのかい?」

「・・・メリルも近くに捕まっているはずだからな、助け出さないと」

「そうだ、彼女も捕まってるんだった。なおさら急がないとね」

 うっかり口を滑らせてしまった、これではオタコンのことを責められないな。時計を確認して、先を急ごうと誤魔化す。

 セキュリティを解除して2人は目的地を目指す。近くの倉庫でヘルメットとボディアーマーを回収した。カールグスタフと弾を置いて身軽になっていたがまた重装備になった。

 長時間着ていると重さで嫌になるが、もうすぐ決着だ。

 

 道中、隠れながら進むのではなく、オタコンを連行しているように堂々と進むことにした。オタコンは気が気でない様子だったが、その様子がかえってリアルに見えたのか怪しまれることはなかった。

 途中、スネークから無線が入り、オタコンがREXの弱点を説明していた。

 ゲノム兵達の様子を見るに、俺がスパイだとは伝わってないようだ。安堵しながら時計を確認する。

「さっきから時間を見ているけどどうして?」

「ん?そろそろ仕掛けは上手くいったか気になってな」

「仕掛け?」

 上手く行けばラッキーぐらいの仕掛け、果たしてどうなったか?

 

 ※※※

 

 リフトが上がりきって、スネークはREXと対峙した。リキッドは既に操縦席だ。

 いよいよ戦闘だ、だがどうやって?

 REXのことを誰よりも良く知るオタコンへと無線を飛ばすと、左肩部のレドームが弱点だという。弱点がないと可愛く無いとは、兵器開発者としてどうなのかと思うがその美学に一筋の希望が見える。

 武器庫の位置も教えてくれた。弱点のレドームとは言え、重火器がなくては対応できない。

 

 REXの攻撃をなんとか避けながら武器庫へと飛び込む。スティンガーの入ったケースを見つけたが、その横に剥き出しで置かれたカールグスタフM3と弾が入っていると思しきバッグの方がスネークには気になった。明らかに何者かが準備したものだが、今は都合が良かった。

 バッグの中身を確認すると弾はHEDPが2発、本体にも1発入っている。合わせると相当な重さになるが、持ち運びを考えるとスティンガー2発よりはよっぽどマシだ。

 他に物がないことからわざわざ持ってきたようだ。明らかに仕組まれているように感じるがそうも言っていられない。今はメタルギアを止めるのが先決だ。

 

 近くにあったチャフを持てるだけ身につけ、バッグを背負いカールグスタフを肩に担ぐ。効果があるか分からないが、チャフを投げて炸裂と同時に武器庫を飛び出す。一瞬遅れてREXの攻撃が追いかける。少しはチャフが効いているらしい。

 物陰から物陰に隠れるスネークを追い立てるように攻撃が続く。その気になれば直ぐ殺せるにも関わらず、リキッドは明らかにスネークの逃げる様を楽しんでいた。

 その油断を後悔させてやる。

 コンテナの陰に隠れて再びチャフを用意する。大きなコンテナもREXの武装の前には余りに頼りない。案の定、コンテナごと吹き飛ばそうと放たれたミサイルに追い立てられるように飛び出しながらチャフを投げた。チャフの炸裂で一瞬動きを止めた隙にレドームを狙ってカールグスタフを撃った。

 レドームが爆発に包まれ、REXがその巨体を揺らして片膝をつくように停止した。

「やったか?」

 スネークはバッグを下ろして弾を装填し直す。煙が晴れると、スネークの期待を裏切るようにREXが動き出す。

「甘いぞスネーク!」

 弾を装填するのに片膝をついていた為反応が遅れた。スネークを潰そうとREXが迫る。

 慌てて逃げようとするが巨体の割に素早いREXの動きには間に合わない。

 もうダメか。

 

 スネークを潰さんと迫った脚が止まる。見ると、強化外骨格に包まれたサイボーグ忍者がREXの巨体を押し留めていた。あまりにも信じ難い光景、スネークは呆然としてしまった。

「早く逃げろ!」

 フォックスの声でようやく思考が戻り、REXの脚の下から逃れた。フォックスの体の強化外骨格から火花がスパークする。

「グレイ・フォックス!」

「懐かしい名前だ、ディープ・スロートよりは聞こえがいい」

「やはりお前だったか」

「見ていられないぞスネーク、年をとったな」

 モノ・アイのついたバイザーが外れ、皮肉げな笑みを浮かべる懐かしい顔があった。

「死に損ないが!」

 REXが勢いをつけて潰さんと足を上げる。その隙を逃さずフォックスは跳躍し、人間離れした動きでREXを翻弄しながら右手のレーザーガンでレドームを攻撃した。レドームが炎に包まれ動きが変わり、混乱が生まれた。この隙に物陰に隠れて態勢を整えることができる。

 フォックスもスネークの元にやってきた。

「フォックス、なぜだ。何故俺にこだわる?」

「俺は死の囚人だ、お前だけが俺を解放してくれる」

 フォックスは何故ここにいるのか。そして、ナオミが復讐のために何をしたのか知っているか。聞きたいことは多かったが、ナオミの両親を殺したというフォックスの真実の告白に言葉を失くす。

 ナオミが拘束されてこの会話をモニターしていないのが幸いだった。

 ナオミに真実を告げて欲しいというフォックスの言葉は、余りにも残酷な願いのように感じられた。

「そこか!」

 隠れた物陰にREXの攻撃が迫る。

「そろそろ決着をつけるときだな。ディープ・スロートからの最後のプレゼントだ、俺がやつの動きを止める!」

 そう言って飛び出したフォックスに攻撃が集中する。援護しようとするが、フォックスの動きに徐々に適応していくREXのレドームを狙うのは余りにも困難だった。徐々にフォックスに攻撃が当たり始める、このままでは―

 

 余りにも突然のことだった。レドームが爆発し、激しく燃え始めた。REXが動きを止める。まるで何が起きているのか分からず、混乱しているように見えた。フォックスもスネークも同じく混乱していた。

 炎が消えるとレドームは完全に破壊されていた。すると、REXの操縦席が開き、苦々しい表情のリキッドの姿が現れた。

「ふざけた真似を・・・これもスパイの仕業か?」

 そう言ってスネークにREXを正対させた。

「遊びは終わりだ、死に損ない共々殺してやる」

 そう言ってバルカンを撃ち始めるが、グレイ・フォックスが間に入り弾丸を弾く。

 その一瞬、スネークはREXの操縦席を照準し、引き金を引いた。

 操縦席から爆炎と煙が上がる。REXは奇妙な挙動を見せた。だが、煙が晴れて傷だらけのリキッドはまだ諦めている様子ではなかった。

「スネーク!踏み潰してやる!」

 覚束ない動きで徐々にスネークへと迫りながら、必死に操縦を取り戻そうとしていた。

 だが、そこまでのようだった。

 突然、REXが痙攣のような動きを見せ安定を失い、壁に激突する。関節などからスパークをし、内部プログラムに誤作動が起きたのかバルカンが乱射され、ミサイルが放たれる。その爆風に巻き込まれてスネークは壁に叩きつけられた。強かに打ちつけられ、意識が遠のく。

 薄れゆく意識の中で炎上するREXを見る。だが、操縦席から影が降り立ち、こちらに近づいてくる。

 リキッドだ。

 そこまで見届けて、スネークの意識はブラックアウトした。




 名言キャンセル
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