気づいたらジョニーでした。   作:タコベル

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 35周年に間に合わなかった・・・。


幕間 〜ジョニーは戦場(有明)に行った〜

 吾輩はジョニーである、仕事はもう無い。

 

 シャドー・モセス事件は終結した。そもそも、政府は事件があったことすら認めていない。あらゆる事実は隠蔽され、虚構(カバー・ストーリー)で塗り固められた。

 国防省長官ジム・ハウスマンは事件の数日後に自宅で拳銃自殺した。が、自殺に見せかけて『愛国者達』の手によって殺された、という方が正しいだろう。

 大統領のジョージ・シアーズについても任命責任を追求され、さらにタイミングを狙ったかのように政権内のスキャンダルが相次いで発覚し、退陣へと追い込まれた。

 FOXHOUNDは事実上解体され、オセロットは行方不明、とされている。出来ればもう2度と会いたく無い、思い出すだけで腹が痛くなりそうだ。

 ゲノム兵達、次世代特殊部隊は訓練と称して基地に拘禁され、尋問を受けた。洗脳を受けていたとはいえ、遺伝子治療(ジーン・セラピー)を受けたエリート兵士達が蜂起したという事実は彼らの扱いを難しくした。

 

 一方で、1人ゲノム兵達と戦ったジョニーも複雑な立場に立っていた。何故途中で仲間を裏切り、アームズ・テック社の研究員を助けたのか。

 "原因は分からないが洗脳が解けた、バレないように従っているふりをしていたが、旧知の友人がゲノム兵達に危害を加えられそうになってるのを見て耐えられず、仲間を撃った"。ジョニーの用意した答えはこうだ。

 嘘はついていない。都合の良い事実のみを抽出した結果である。

 しつこく尋問を受け、背後関係も捜査されたが当然何も出てこず、ハル・エメリッヒ博士と友人だという事実だけが確認された。ポリグラフ検査、いわゆる嘘発見器まで使用されたがジョニーの主張を覆す結果は出なかった。

 また、ゲノム兵全員を洗脳するほど強力なサイコ・マンティスの力にどのようにして対抗したのか調査の対象になったが結局何も分からず、原因不明のまま片付けられた。(なお、ジョニーは捕虜の女兵士に殴打されたのが原因かもしれないと証言した)

 最終的にゲノム兵達は軍の中で閑職に追いやられるか、さもなくば除隊を迫られることとなった。

 ジョニーは除隊を選んだ。軍を辞めることへの抵抗がなかったわけではないが、仲間を手にかけた自分が受け入れられるとは思えなかった。

 

 シャドー・モセス事件からジョニーの除隊までの数ヶ月の間にも動きがあった。軍事アナリストとして参加していたナスターシャ・ロマネンコが『シャドー・モセスの真実』を公開し、話題を呼んだ。政府は当然内容を否定したが、ソリッド・スネークの名前は現代の英雄(ヒーロー)として広まった。

 当のソリッド・スネーク本人がどうしているのかは分からない。オタコンも脱出の時別れて以来会っておらず、音沙汰もない。

 まるであんな事件があったのが嘘みたいだ。事実は当事者としてあの場にいた人間と政府の一部、そして『愛国者達』が知るのみである。

 

 除隊して家に帰ると両親はとても驚いていた。拘禁され外部との連絡も遮断されていたため、ひどく心配させたようだ。2人ともジョニーを抱擁し無事を喜んでいた。軍を抜けたことを話すと、父、パパジョニーは思うところがあったようだが何も聞かず黙っていてくれていた。

 さて、これからどうしよう?

 原作(ゲーム)のジョニーはプラント編でゴルルコビッチの私兵部隊に参加していた。ゲノム兵達はまとめて引き抜かれたのか?そうだとすると、それを仲介したのは間違いなくリボルバー・オセロットだろう。

 なんとしてでも関わりを断ちたいところだが、ジョニーがいないことによる結果が読めない。MGS2におけるジョニーの役割(ロール)とは?

 ・・・ダメだ、トイレに篭ってるところと腹痛に苦しんでいるところしか知らない。もう別に居なくてもいいんじゃないかな!?

 

 うだうだと悩んでいるところをどう勘違いしたのか、両親がとても優しい。急ぐ必要はないとかいつまでも居ても良いとか温かい言葉をかけてきて、却って居心地が悪い。そんな様子を見て更に優しくなる悪循環に陥った。

 謎の罪悪感から逃げるのと気分転換を兼ねて、旅行に出ることにした。ただの現実逃避とも言う。

 行き先は日本、魂の故郷である。

 行くと決まってからは早かった。僅かな貯金を崩して準備し、各種手続きを済ませた。事件の影響で出国できないかと思ったが杞憂だった。歯牙にも掛けない存在だと思われたか、そもそも存在を認識されていないか。いずれにせよ好都合だった。

 飛行機を乗り継いで日付変更線を越える。

 

 夏真っ盛りだが、東京は曇り空だった。エアコンの効いた電車から見る日本の街並みは薄れつつある転生前の記憶と変わらないように見える。

 スカイライナーを降りて日暮里で上野方向の山手線に乗り換え、ホテルのある東京駅を目指す。車内アナウンスの日本語がひどく懐かしかった。

 東京駅で降りてホテルを目指す。外から見た改修前の東京駅は逆に新鮮だった。早くホテルにチェックインして荷物を下ろしたい。フロントでは英語で話しかけられた。今は国籍も姿もアメリカ人なのだから当然といえば当然だが、不思議な気分になる。

 荷物を下ろしたらすぐ外へ出かけた。時差ボケなんて気にしていられない。ユーは何しに日本へ?日本を満喫するためさ!

 

 まずは秋葉原を目指す。シャドー・モセスではオタコンに苦労させた。次に会う機会があるか分からないが、埋め合わせをすると言った手前何か買っていってやろう。しかし、ロボットアニメが好きと言っていたが何が好みなんだ?

 駅は工事中で自分の記憶とはかなり違っていた。新しく路線が開通するのに合わせて中央改札口が開設される直前だった。

 電気街口を出て見ても駅前の風景は自分の知る姿とは大きく違う。正面の大きなビルはまだオープンしていないし、出てすぐ右にはアイドルカフェやアニメのカフェは姿形もない。

 想像と違う景色にショックを受けながらもショップを巡ることにした。夏休みに入っていることから若者が多い。久しぶりの人混みに目を回しながら店を回る。

 え、F○te発売が去年!?アニメ放送来年!?ハル○もまだ!?

 なんてこった、そんなに昔じゃないと思っていた。確かに前世からすると精神年齢は還暦に迫るが、自分が知るアニメがまだ放送されてないのは複雑な気持ちだ。

 そう考えると、ある意味では未来人的立場なのか。街の風景が違うのも当然か。

 

 ふと、思いつきでゲームショップへと入った。

 DSとPSPが去年発売!?PS4はおろか、まだWiiもPS3もXbox360も発売されてねぇ!衝撃の大きさに目眩すら覚える。ゲームソフトの方を見ても懐かしいというべきタイトルしかない。だが、見ていくうちに気づいてしまった。

 ステルスアクションゲーム、置いてなくないですか?

 流石にこの世界で原作(メタルギア)シリーズが発売されているとは思っていなかったが、それ以外の有名シリーズの名前がない。

 メタルギアがなかったからステルスアクションが発展しなかった?バタフライエフェクトもビックリである。ショックで腹痛を覚える。おぉ、神よ。あなたはどこに居られるのです?

 腹痛に耐えながら他のゲームを探す。太陽アクションRPG、ロボットアクション、青春アドベンチャー・・・。そこに、とある会社(KCE ジャパン)の名前を確認した。

 おぉ、(監督)よ!貴方は確かに存在するのですね!

 なんとか気を持ち直すことができた。神がいるならまだ望みはある。トイレを探しながらジョニーは確かに救いを感じていた。

 午後から雨に降られ、早めにホテルに戻って休むことにする。色々あって疲れてしまった。時差ボケもなんとかしたい。気は昂っていたが横になるとすぐ夢の世界へと誘われた。

 

 次の日も東京巡りに費やす。ついでに前世の家族を確認しに行った。

 結論から言うと、そこに自分の知るかつての家族はいなかった。さほどショックは感じなかった。昨日のゲームショップでの衝撃で麻痺してしまったか?

 それに、自分にとっての家族は今は違う。どちらかと言えば、転生したこの世界の最終確認、2つの記憶を持つ男のアイデンティティの確認のようなものだ。

 俺はジョニーだ。

 

 3日目、この日は待ちに待ったイベントの日である。

 コミックマーケット、そう、夏コミである!

 行こうと思ったのは計画してる時に思いついただけ、前世では行ったことがなかったイベントに物見遊山に行って見たくなった。

 人、人、人!これが戦場(コミケ)か。

 朝から小雨がぱらついたにもかかわらず、会場は人で溢れんばかりだ。特に目的もなく来てしまったことを後悔し始める。遊びで来るような場所ではなかった・・・!ここまで来て帰るのも癪なので見てまわろう。何せ初めてだ、雰囲気は味わおう。

 色んなジャンルがあるんだなぁ、てっきりアニメとかそういうものしかないと思っていた。何気なく見ていたジョニーだがある一角でひっくり返りそうになる。

 まさか、『シャドー・モセスの真実』もジャンル化しているとは・・・。

 考察本から2次創作、成人向けまである。本人が見たら驚きそうな筋肉モリモリマッチョマンなスネークが描かれていたり、FOXHOUNDがアメコミのヴィランのような格好をしたやつもある。あながち間違ってないのか?オタコンが実力を隠してる強キャラ扱いされてるやつは吹き出しそうになった。

 中にはなかなか鋭い考察をしているものもある。成人向けは興味本位で見てはいけないと本能で察した。個体×液体か液体×個体で議論するのが聞こえた気がしたが気のせいに違いない。日本の暑さで幻聴でも聞こえたんだろうHAHAHA

 

 せっかく日本に来たのだからと、ジョニーは京都、大阪にも足を伸ばした。旅行間、日本語を流暢に喋り、やたら日本人じみた仕草を時折見せるのでいく先々で驚かれた。長いんですかと聞かれて、観光で初めて来たというとさらに驚かれる。流石にこれはやってしまったと反省した。

 すっかり日本を満喫したジョニーは帰国の途に着いた。お土産も買ってある。

 飛行機を降りて空港を出ると帰ってきたという感じがした。そう、帰ってきたのだ。やはり今の故郷はアメリカだ。ジョニーはグッと背伸びした。表情もどこか清々しい。

 両親が迎えに来ていたがやたらと無事を喜んだ。つい先日、ギリシャで飛行機事故があったせいだろう。テロを警戒してギリシャ空軍は撃墜の準備もしていたという。

 世界は9.11(あの日)以来トラウマを抱えたままだ。

 

 ※※※

 

 日本 某所

「おい、聞いたか?」

「何を?」

「例の『N313』のことだよ!」

「ああ、『INTRUDER』のことか?何も聞いてないが?」

「なんと原作者とコンタクトが取れたらしいぞ」

「本当か!それで、どうだったんだ?」

「ゲーム化の了承が貰えたそうだ。限りなく忠実に、という条件付きらしいが」

「やったじゃないか!ようやくプロジェクトが進む」

「うん、監督も張り切ってるみたいだ」

「『敵との戦闘を避けるゲーム』かぁ、どう思う?」

「分からん。全く新しい試みだし、どんなふうになるのかも想像できん」

「そうだよな・・・そういえば名前はどうなるんだ?そのままいくのか?」

「いや、あくまで『INTRUDER』は仮題だったからな。ただ原作のままだと堅苦しいから上はキャッチーなものにしたいらしい」

「キャッチーねぇ・・・まぁ最終的には監督が決めるんだろうな」

「多分な。とにかく、これから忙しくなるぞ」




 書きたいものを詰め込んだせいで、幕間なのにいつもより文字数やや多め
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