気づいたらジョニーでした。   作:タコベル

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 お待たせしました。
 実は前の幕間がプロローグとなる予定だったんですが、量が多くなったので分割しました。


第2章 サンズ・オブ・リバティ
Prologue


 帰国してすぐ、ハリケーン・カトリーナが発生、合衆国に深い爪痕を残した。特にニューオーリンズの被害が著しく、米軍約5万人が動員されるというが復興には時間がかかりそうだ。旅行の日程がもう少し遅ければ、日本から帰れなくなるところだった。

 今年はハリケーンが多い。アラスカの吹雪も辛かったが、ハリケーンも勘弁して欲しい。

 

 オタコンから電話が来たのはそんなある日のことだった。場所を指定してきて、会いたいと言ってきた。ちょうど渡したいものもあるので了承した。あれ?なんで俺の電話番号知ってるんだ?

 待ち合わせの時間に場所に向かうと誰もいない。時間を間違えたかなと確かめようとすると、車が止まって窓が開きオタコンの顔か現れた。

「やぁジョニー、久しぶりだね。待たせちゃったかな?」

「いや今着いたところだ、今日はどうしたんだ?」

「まぁ立ち話もなんだから車に乗ってくれよ」

 促されるがままに車に乗り込むとオタコンは車を走らせる。

「どこに行くんだ?」

「君に会わせたい人がいるんだ」

「俺に?一体誰を?」

「それは会ってのお楽しみだよ。それより、日本は楽しかったかい?」

「・・・どうして知ってるんだ?」

「僕を誰だと思ってるんだい?」

 こいつ、またクラッキングを・・・!

「事件の後、何度か連絡したんだけどね。出なかったから心配だったんだ」

「外部と隔離されてたからな」

「やっぱりね、電話回線やメールも監視されてるみたいだった」

「監視?連絡取ろうとしたんだろう?大丈夫なのか?」

「安心してよ、もうそんなヘマはしないさ」

「今日だって大丈夫なのか?」

「君も意外と心配性だね?任せてくれよ。念には念を入れて、こうして尾行がいないか確かめてるんだ。どうやらいなさそうだ」

 さっきから変なところで曲がったり、同じ道を通っているのはそういうことか。そこまでする必要のある用とは一体?

「悪いけど寄り道させて貰うよ」

「構わんが、どこに?」

「そんなに身構えないでくれ、ただの買い物だよ」

 普通のスーパーに寄って、すぐ終わるから待っててとオタコンが買い物に行く。しばらくすると結構な量を買い込んで戻ってきた。

 これを持ってどこに行くんだ?

 疑問を重ねながら再び目的地を目指す。次に車が止まったのは郊外の古い建物だった。

 

 車を降りて荷物を持って家に入る。中はあまり家具がなく、少し殺風景なぐらいだ。奥から男が出てきた。

「オタコン、帰ってきたのか。そいつは?」

 精悍な体つきと鋭い眼差し、いつものスニーキングスーツとトレードマークのバンダナはしていないが間違いようがない。予想しなかった人物の登場に思わず声に出てしまう。

「スネーク?」

 だがこれは悪手だったようだ、男は警戒を強めた。

「待たせたね。紹介するよ、僕の古い友人のジョニーだ。ジョニーはもうスネークのことは知ってるから紹介は要らないよね?」

 荷物を下ろしたオタコンが呑気に紹介をするが、スネークは警戒を緩めない。

「俺が誰なのか知っていた、何者だ?」

「まぁ落ち着いてくれよスネーク、順番に説明するよ。ジョニーも固まってないで座ってくれ」

 悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべながら席をすすめる。ジョニーはようやく動き出した。

 

 テーブルを挟んでスネークと共に座る。ずっと警戒されたままで息が詰まりそうだ。腹が痛くなりそうな空気にキッチンから戻ってきたオタコンがコーヒーを配り、席についた。

「・・・なんのつもりだ、オタコン?」

「何がだい?」

「惚けなくていい、俺をスネークに会わせて何がしたい?」

「友達に友達を紹介するのがおかしいかい?」

「それだけのためにわざわざ連絡してきたと?監視されているかもしれないのにリスクを冒してまで?」

「監視?なんの話だ?」

 スネークが割り込んできた。オタコンのやつ、スネークにも話してなかったのか。

「ジョニーとか言ったな、なぜ俺を知っている?」

「・・・シャドー・モセスにいた、ただの兵士だ」

「何だと?」

「ジョニーには僕も助けられたよ、命の恩人さ」

「・・・そうか、お前が例の『協力者』か」

「『協力者』?」

「メリルにも指示をしていたな?マンティスの時は世話になった」

「さぁな?他に誰か居たんじゃないか?」

「メタルギアに仕掛けたのもお前か?FOXHOUNDやゲノム兵の中に紛れて破壊工作(サボタージュ)とはな、大したやつだ」

「それに、機械やシステムにも強いしね!セキュリティの解除も手伝ってもらったよ」

「・・・よしてくれ、そんな大したことはしていない」

 何故かオタコンが得意げにしている。スネークも感心した風だ。

 なんなんだ一体この状況は?俺は今、どういう人間だと思われているんだ?凄まじく勘違いされている気がしてならない。

 

「それでオタコン、どうしてジョニーを呼んだんだ?」

「うん、ここからが本題だ。ジョニー、僕達と一緒にこないかい?」

「なんだって?どういうことだ?」

「まずはこれを見てくれ」

 混乱するジョニーをよそに、オタコンはパソコンを操作し画面を見せてきた。何らかのデータのコピーのようだ。これは・・・。

「・・・メタルギア?これは一体?」

「シャドー・モセスの後、闇市場(ブラック・マーケット)で取引されていたデータのコピーだよ」

「・・・オセロットか」

「ビンゴ。今やいろんな国、組織がこいつを元にメタルギアそのものや、その技術を応用した兵器を開発してる」

 原作でも聞いた通りの流れだ、おかしなところはない。だが、それがなぜ俺と関係する?

「僕たちは拡散したメタルギアとその亜種の破壊と根絶を目指して反メタルギア財団『フィランソロピー』を設立したんだ」

「大したもんだ。それで、俺に何の関係が?」

「早い話、君をスカウトしたいんだ」

「何だとオタコン?聞いてないぞ」

「知らない誰かをスカウトなんて、スネークは嫌がると思ってね。だったら紹介も兼ねて、話してから判断してもらおうって訳さ」

 やはりスネークには何も話してなかったようだ。だが、ジョニーにとってもこの展開は予想外だった。

「どうして俺なんだ?」

「数少ないシャドー・モセス事件の関係者で、戦闘のスキルとデータ分析のスキルの両方を持ってる君を誘うのがそんなに変かな?」

「・・・・・・」

「それに君は何かと()()()だ、僕たちに話していることも全部じゃないんだろ?」

「・・・何のことかな?」

「どういうことだオタコン?」

 意外と鋭いやつだ。スネークも疑問を口にする。

「ジョニー、君の知識とスキルで僕たちに力を貸して欲しい」

「ちょっと待て、本当にコイツは信用できるのか?」

「大丈夫だよスネーク。ジョニーは僕達を助けてくれた、目的は分からないけどね。少なくとも敵ではないよ、僕の友達だし」

「そんな理由で信用するのか!?」

「それに腕は確かだって君も言ってたじゃないか。いいコンビになると思う」

「・・・俺は単独潜入しかやったことがない」

「確かに、そこの運用についてはこれから考えないといけないかな。それで、どうかなジョニー?」

 

 どうかな?と突然言われても返答に困ってしまう。スネーク達にも『愛国者達』にも関わらないようにするつもりだった。この誘いに乗れば間違いなく戦いに身を投じることになる。その覚悟が俺にはあるのか?

「・・・本当にメタルギアを無くそうというのか?」

「そうだよ、これは僕の、僕たちの使命だ。僕たちはこの間違いを伝える義務がある」

「過ちを記憶して伝え、抗議する。そのために戦うんだ、自分の意志で」

 オタコンとスネークははっきりと言い切った。

 おそらくここで断っても彼らは戦い続けるのだろう。いや、戦い続けたのだ。ジョニーはそれを知っている。この先に何が待ち受けるのか、その結末(エンディング)を。

「・・・分かった、俺で良ければ協力しよう」

「本当かい!」

「ただ、俺は技術的にも精神的にもまだまだ未熟だ。それでもいいのか?」

「そんなことはないと思うけどな?」

「スネークと違って俺は潜入任務(スニーキング・ミッション)の経験も訓練も受けていないぞ?」

「あれだけやっておいて経験がない?何の冗談だ?」

 自分で言ってて何か役に立てるのか疑問しかないのに、妙に過大評価されているのが辛い。

「たまたま運が良かっただけだ。VR訓練でも何でもいいから少しでも経験が欲しい」

「うーん、VRならメイ・リンに言えば何とかなるかな?スネークはどう?」

「俺か?人に教えたことは無いんだが・・・」

「できれば頼みたい、伝説の英雄から教えて貰えるなら心強い」

「・・・その呼び方を止めるなら考えよう」

 よし!これなら何とかなるんじゃ無いかな?スネークと訓練とかファン冥利に尽きますな!

「まずは情報収集と訓練になりそうだね」

「今の時点でも既に情報があるんじゃないのか?」

「幾つかはね。その裏付けをとったら作戦計画を作るよ」

「そこから俺たちの出番というわけか、時間はあるのか?」

「裏付けはセキュリティの強度にもよるし、潜入手段も確保しないといけないからね。かと言ってのんびりしてると、どんどんメタルギアが完成してしまう」

「限られた時間で訓練と情報収集、計画、実行か。厳しいな」

「教えられることから教えていくが最悪、実戦で経験を積んでもらうしかない」

 徐々に具体的な話が決まっていく。これからは自分も知らない戦いになる。その中で生き残るためにジョニーは全力を尽くすと決めた。

 

「ところで気になってたんだけど」

「?どうしたオタコン?」

「君のあの荷物は一体?結構な量あったと思うんだけど」

「あぁ、すっかり忘れてた。日本旅行のお土産だ」

「え?」

「モセスで苦労をかけたからな、埋め合わせすると言っただろ?」

 そう言って中身を見せるとオタコンは喜色満面となった。

「ワオ!やっぱり君は最高の友達だね!」

 そう言ってオタコンは受け取った荷物を部屋へと足取り軽く運ぶ。

「現金なやつだ」

「スネークの分がなくてすまない」

「気にするな、予定になかった事だしな」

「そう言ってくれると助かる、あと悪いんだが・・・」

「どうした?」

「トイレを貸してくれ、腹が痛い」

「トイレは奥だが、大丈夫か?」

「腹が弱くてな。悪いが使わせてもらう」

 そう言ってジョニーはトイレへと消える。

 オタコンの部屋から喜びの声、トイレから腹痛に耐える声が聞こえる。1人残されたスネークはなんとも言えない表情で煙草に火をつけた。

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