オハイオ級原子力潜水艦 USN Discovery
ソリッド・スネークの行動をモニターするディスカバリーの司令室に困惑が広がっていた。作戦が始まって以来、不測事態の連続だ。人質の急死、謎の第三者ディープ・スロート、サイボーグ忍者ことグレイ・フォックスの行動、そして今、新たにメリルとコンタクトを取る何者かの存在が示唆された。
「例の協力者は、メリルさんの言う通り、ディープ・スロートなのかしら?」
作戦の記録を主に担当する画像・データ処理の専門家であるメイ・リンが疑問を口にした。だが、指揮官であるロイ・キャンベルはその考えに否定的だった。
「あり得なくはないが、その可能性は低いだろう」
「どうしてですか?」
「情報として与えるならスネークに直接伝えればいい話だ。わざわざメリルを通す必要がない。一度スネークとやり取りをしているディープ・スロートなら尚更だ」
「それではやはり別の・・・」
「だとしても、何が目的か分からないわ」
FOXHOUNDのメディカル・スタッフのナオミ・ハンターが会話に加わる。キャンベルも同じ疑問を感じていた。
「テロリストの攪乱工作も考えたが、マンティスの犠牲は彼らに取っても大きいはずだ。やはり考えにくい」
「では、別の組織が?」
「或いは別の作戦か・・・そもそも何故スネークではなく、メリルに接触したのかが分からん。メリルも存在を隠したがっているようだった」
メリルの努力虚しく、ジョニーの存在は完全に警戒されていた。
「・・・私達に知られたくない?でもどうして?」
「我々に知られると不味い立場にあるか、或いは・・・分からないな、情報が少なすぎる」
ー或いは、我々に
キャンベルはそれを口にすることが出来なかった。
※※※
〜シャドー・モセス島のとある一室〜
「ボス、お呼びですか」
「・・・マンティスがやられた」
「さすが、やはり同じコードネームを持つだけは・・・」
「やったのはメリルだ」
「あの小娘が!?・・・信じられませんな」
「信じようと信じまいと事実だ」
「ですが、やつもFOXHOUNDの一員、一体どうやって?」
「詳しいことは分からん、情報が漏れているのかあるいはオクトパスのように・・・」
「
「ないとは言い切れん。忍者のこともある、警戒したほうがいいだろう」
「分かりました、ボス」
「ウルフはどうしている?」
「予定通り配置につきました、準備万全です」
「そうか、兄弟との感動の再会が楽しみだな」
※※※
時はスネークが雪原で戦車を撃破した頃に戻る。仮眠から目を覚ましたジョニーは次の行動に移すべく、上官の元へ向かった。傷がある程度回復した報告と共に、
マンティスの次はスナイパー・ウルフだ。メリルが撃たれてスネークは捕まってしまうイベントが待っている。何とかして捕まらない方法を考えたが思いつかなかった。
FOXDIEを注射されたスネークとリキッドが接触する意味でも必要か?あ、でもどうせ最後は殴り合うから関係ないのか・・・そもそもFOXDIEの発動条件って何だ?オクトパスやベイカーはすぐ発動したのに、リキッドはなんで時間差があったのか?色々考えたが、最低でもメリルが撃たれないように頑張るぐらいしか思いつかず、諦めることにした。
ジョニーが上官に対し、自分をこんな目に合わせたことへの恨みと捕虜を逃した責任感、自分の持ち場である独房に人がいなくなったこと等々、理由を並べていたところに、保存棟地下2階の隊員からステルスの何者かの襲撃を受けて支援を求める無線が入る。
サイボーグ忍者の襲撃に違いない。今から行って間に合うものではないが、状況の確認も兼ねてジョニーを含めて数名で支援に行くことが決まった。
外は極寒のアラスカ、準備を万全にしていくべきだろう。体調が戻ってきたところなのだ。ここで腹を冷やすのは避けたいところなのだが、そうも言ってられない。
寒さなんかに絶対に負けない!
寒さには勝てなかったよ・・・。
準備万端いざ保存棟へと向かったが、外の寒さに案の定腹が冷えてしまったようだ。最後の方は寒さが辛いのか腹痛が辛いのか分からなくなっていた。地下2階に向かう仲間を横目に地下1階でエレベーターを降りてトイレに駆け込む。
あんまりこの階で長居するとマンティスに鉢合わせしそうで怖い、さっさと出るか、いっそここでやり過ごすか悩む。
そういえば、メリルはまだこの階にいるのか?ここで俺が女子トイレに行くのはセクハラか?余計なことをして顔の傷を増やしたくない、さっさと下に行こう。
下に降りると先に降りていたゲノム兵達が顔を青くしていた。それもそうか、スプラッターな場面を見たら誰だってそうなる。生存者はなし、ここに居たはずのエメリッヒ博士も姿を消したと言う。そう言うゲノム兵は明らかにここから離れたがっていた。先に上に戻って待っているように伝える。
1人になって研究室へと向かう。忍者を警戒して赤外線ゴーグルを着ける。見つけたところでどうしようもできないが、無いよりはマシだ。
途中の廊下はひどい有様だった、血の臭いが充満して息が詰まりそうだった。知っていても耐えられるものではない。兵士として訓練を受け、負傷者や死体の写真も見たことはあるが、実際に目の当たりにするのは初めてだ。ゴーグル越しでよかった、直接見たら間違いなく吐いている。胃の内容物が迫り上がってくるような感覚を必死に抑えながら進む。
研究室に入ると中は荒れ放題であった、明らかに戦闘の形跡がある。サイボーグ忍者とスネークが戦ってどれぐらい経っているのか。警戒しながら部屋の奥へ進むとゴーグルに映る影がある。ゴーグルをずらして見るとそこには誰もいない。なんでここにいるんだ?
「エメリッヒ博士?」
「・・・!」
「黙っていても無駄だ、そこにいるのは分かっている」
「・・・・・・」
「・・・
何も無い空間からさらに動揺が伝わってくる。もう必要ないだろう、赤外線ゴーグルを外す。
「最後にあったのは君の卒業式だったか?」
「・・・君は一体・・・?」
「俺だよ、オタコン」
被っていた
「ジョニー!?」
「ようやく思い出したな。それと、いい加減
慌ててステルス迷彩のスイッチを操作すると、何もない空間に眼鏡に無精髭のやせぎすの男が現れた。
「本当に久しぶりだ!どうしてここに?その格好ってことはまさか!?」
「落ち着け、奴らの仲間ではない」
「仲間じゃない?じゃあどうして・・・」
「色々あってな、今はなんとかこの事件を止められるように動いてる」
「それじゃスネークの仲間なのかい?」
「・・・そう言うわけでもない、本当に複雑なんだ」
「・・・なんだか君も大変なんだね、でも、本当にこんなところで会うとは思わなかったよ!」
久し振りに知り合いに会えたためか、1人で行動していた心細さも相まってオタコンはかなり興奮していた。
オタコンとの出会いは大学時代に遡る。転生してから長く経ち、日本のアニメがふと恋しくなりアニメ・コンベンションに興味本位で参加したところ、会場でウロウロするオタコンに出会ったのだった。
ロボット系アニメのブースで目を輝かせる、同じぐらいの歳の男が気になってつい話しかけた。当時はまだメタルギアの世界だとは気付いてなかった、何故気づかなかったのか不思議でしょうがない。
会場では軽く話した程度でいつかまた、と別れた数日後に大学で再会するとは思わなかった。まさかの先輩、それも超がつく類の天才だったとは・・・。
「それにしても君、まさか軍に入ってたとはね」
「オタコンこそ、火遊びが過ぎたらしいじゃないか」
「ハハハ・・・それを言われると苦しいな、でもだからこそ僕は今ここにいるわけだ」
「メタルギアの開発チーフか、大したものだ」
ジョニーの言葉にオタコンはひどく驚いた。
「どうしてそのことを?極秘のプロジェクトだったはずなのに」
「おいおい、俺を誰だと思っているんだ?」
「・・・確かに、君は昔から変なことを言うやつだった。なまじ良く当たるから馬鹿にできなかったけどね」
転生チートを活かして色々言ってたら変なヤツ扱いされていたとは・・・。大学の時、周りの接し方がなんか変だったのはこれか?どんなふうに思われていたのか今になって気になってしまう。
「・・・思い出話はまた今度にしよう、今は核発射を止めるのが先だ」
「そうだね、僕のレックスにそんなことはさせない」
「そう言えば何故ここに?何か重要なものでもあったのか?」
「それは・・・その・・・」
「?」
「ちょっと・・・服が汚れちゃったから・・・着替えようと思って」
すまないオタコン、悪気はなかった。俺は何も気づいていないぞ。
「だったら早く着替えて出た方がいい、ステルス迷彩があれば何とかなるだろう」
「君はどうするんだい?」
「俺はスネーク達を助けられるように動いてみる。何かあったら連絡する、無線機は持っているな?」
「勿論、僕の周波数はこれだよ。何か手伝えることがあったら言ってくれ」
「無理はするなよ」
オタコンは頷いてロッカーから服を取り、着替えている間警戒する。
「ありがとう、奴らが入ってきた時ビックリして、着替えるの諦めようと思ってたんだ」
「どういたしまして、俺はもう行く。外は寒いぞ、出るなら着込んでおけよ」
「分かってるよ、ここは君より長いんだから」
それもそうかと思い、研究室を後にする。スネークとメリルは今どこなんだ?そう考えているとちょうど無線が鳴った。