恋のカケ❌チガイ   作:生き残れ戦線

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第六話

【朗報】祝パシリから抜け出す。

 

それ自体は良い事ながらセキトの顔に喜びの字はなかった。

それどころか何とも難しい顔で唸っていた。

うーむあれで万事解決したとは思えん。

何かしら事を起すとセキトは考えていた。

だとすれば俺が次に打つべき手は.....。

 

「あの大丈夫ですか?」

 

と考えていると頭上から声がかかった。

ふと顔を上げると天使が手を差し伸べてくれた。後光が差してそう見えた。シノハナさんはそう言って微笑むのだ。——可愛すぎないか?

もう告白したかった。そういやしたんだったなフラれたけど。死にたい。

そんな内心はおくびにも出さずに。

 

「ありがとうございます助けてくれて」

 

お礼を言うと立ち上がった。しっかりと手をかしてもらう。

初めて手が触れた。

心拍が上昇する。血流が良くなってきた。

やばいくらくらしてきた。

 

「ふらふらしてますが怪我をされているのではないですか?」

「え?怪我?はは問題ありませんよ自分は大丈夫であります」

 

もう全然大丈夫じゃなかった。

完全にアガッてる。仕方ないじゃないか好きな人を前にして平静でいられるはずがない。

だからこそ俺は死にたくなる事実に遅れて気付いた。

 

あれ?俺よく考えたらすごく情けない姿を見られてないか?

徐々に顔が青ざめる。

 

いくら不良だとバレるのが嫌だとはいえ無我夢中でとんでもない事をしてしまった。

 

終わった。もう完全に脈なしだ。

あんな情けない姿を見られた。

一手目で躓いたとはいえ挽回する機会は必ずあると思っていたがもう無理だ。

 

「赤くなったり青くなったり完全に異常です!本当に体調に御変わりありませんか!?」

 

セキトの急激な変化にシノハナは慌てだす。こんな症状は見た事がない。

幸福と絶望を一挙に味わっているのだ。もはや死に体と言っていいだろう。

セキトは力なく微笑み。屋上のフェンスに手をかけた。

身を投げ出そうとするセキトを慌てて止めるシノハナ。

 

「何をしてるんですか貴方!?」

「死なせてください!もう俺には生きている意味がないんですっ」

「!?虐められたからって死んではいけません!」

 

虐めの被害に遭った事で自殺しようとしていると勘違いしたらしい。

どちらでもいい事だ。頭身自殺しようと恋に破れて散ろうと死ぬのは変わらない。

フェンスに足をかけようとしたところでふわっと体が浮いた。

 

気づいたら屋上に倒れていた。

今のは合気道か?投げ飛ばされたのだ。

地面に落とされるまで気づかなかった、かなりの実力だ。

そのショックで正気に戻った。

 

「.....すみませんもうしません」

 

怒られた。すごく怒られた。正座させられた。

もうこんなに怒られたのはいつぶりだろうかと思うぐらい怒られた。

......ああ、母親に叱られて以来だ。

思い出し嬉しい様な少しだけ切ない気持ちになる。

落ち込んだ様子のセキトを心配そうにシノハナが見ている。

 

「本当に怪我はしてないんですね?」

「はいもう大丈夫です。ありがとうございます助けてくれて」

「礼には及びません弱い者を守るのが私の役目ですから」

 

そう言って彼女は笑う。

一年前に比べて雰囲気が変わった気がする。

何というか芯が強くなった。

それが何かは分からないが一つだけ言える事がある。

あの頃よりもずっと彼女は魅力的になった。

 

いやまだ分からない事があった。

 

「柊さんはどうしてここに?」

 

あの三人組の不良のせいでかは知らないがこの屋上には誰も寄り付かない。そういう場所だった。だから俺は安心してあいつらの相手が出来ると思っていたのだ。

 

「友人が駆けつけてくれたのです、彼女が教えてくれました」

「彼女.....もしかしてさっきの」

 

購買部で見かけた少女を思い浮かべる。

状況的に見て彼女しかいない。あの子が助けを呼んでくるヒーローというのがまさか柊さんの事だったとは思わなかった。確かに彼女なら学園の大抵の問題は解決できるのかもしれない。

だとしても彼女一人をよこしたのは不可解だが。

最悪襲われていたかもしれないんだぞ不用心だ。っといかん脱線した。

俺はあらためて膝を着いて礼を言った。

 

「本当にありがとうございました、このご恩は一生忘れません未来永劫語り継ぎます。どうか従者としてお仕えさせて下さい」

「いえ、流石にそこまでしなくともいいですよ?」

「どうかご奉公させてください、でないと俺は一生後悔し続けます」

「......分かりましたですが主従の間柄ではなくてよき学園の友人として対等な関係を築きましょう」

「はい!」

 

かくして俺は柊篠花と友達になった。

正直もうだめかと思った。もう彼女には近づけず友達の間柄にさえなれないと諦めかけていた。だが神は俺を見捨ててはいなかった。奇跡は存在したのだ。

ありがとう神様仏様おれは新しい人生を生きるよ。

生き抜こう、この残酷な世界を。

だって彼女と友達になれたんだから。

 

内心でファンファーレが響いていたセキトだったが次の一言で絶望する事になる。

 

「それでは自己紹介を。初めまして私の名は柊篠花と言います」

 

.....初めまして?

その言葉の意味に全身が総毛立つ。

まさか、まさか、まさか!

 

「あの....僕達って初めまして、でしたっけ?」

「?.......はい」

 

あっさりと首を縦に振るのを見てセキトはがっくりと肩を落とした。

 

【悲報】柊さんに一世一代の告白を忘れられる。

 

....よしやっぱり死のう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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