白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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本日2回目です。

久々のセシル回です。



第114話 後輩、作製。

後輩、作製

 

昨日は大変でした。

本当に大変でした。

 

先輩の彼氏が戦争遊戯の【ヘスティア・ファミリア】の【白兎の脚】ということは知っていました。

その戦争遊戯が神フレイヤの癇癪で延期していたことは知っていました。

【白兎の脚】が夜前にホームへ帰ってくるということは知っていました。

ですが…。

 

アストレア様が既に【白兎の脚】と5年前に会っていたことは知りませんでした!

そしてアストレア様が【白兎の脚】…いえ、ベル・クラネルを溺愛していることは知りませんでした!

何ですか!

 

本来なら先輩の彼氏がベル・クラネルに相応しいかどうか、を判断するべきなのに、ベル・クラネルの彼女が先輩に相応しいかどうかに急転しました。

それに…先輩って料理が壊滅的に下手だったんですね…。

 

あれはどうみても、弟を溺愛する姉のようでした。

私がまだアストレア様の眷属になっていない時に、他人ですが弟に対して非常に構っている姉をみたことがあります。

あれにそっくりでした。

 

もし…アストレア様が5年前に、ベル・クラネルを眷属にしていたらどうなっていたのでしょうか?

私の先輩になるのでしょうか?

でも…彼は14歳ですよね?私より年下ですね。

ということは、先輩であるけど年下ということに?

…少しイメージしてみましょう。

 

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「セシル!セシル!今日はゴブリンを10体倒したよ!」

「わー!すごいですね!先輩!よしよしよし。」

「もー!セシル!僕、一応先輩なんだからナデナデしないでー!」

「あ、すみません。アストレア様がいつもされているのをみて、つい…。」

「うう…レアお姉ちゃんったら…。でも、まあいいか。」

「いいんですか!では、遠慮なく…。」

「何やっているのかしら?セシル?」

「ひぃっ!先輩、助けて下さい!」

「レ、レアお姉ちゃん!セシルだよ!神威を向けないでよ!」

「むー…セシル、これは私のよ。」

「じ、じゃあ。許可とるならいいんですか?」

「………いいわ。ただし、私がしてからね。てーい!」

「ちょ、ちょっとー!レアお姉ちゃーん!」

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…悪くありませんね。

結構楽しくやっていたんでしょうね。

あ、でもそれじゃ先輩が救われませんね。

うーん…。複雑です。

はっ!いけません。

 

それに今朝の先輩を見て、驚きました。

金髪で耳掛けショートで、めっちゃカッコいいし女性らしいです!

メイさんはすごいですね。

後で私もカットしてもらいしょう。

 

あ、いけない。

あの武器について、相談しないと…。

 

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コンコン

 

「ん?誰だ?」

「あの…【アストレア・ファミリア】のセシルです。ヴェルフ・クロッゾさんへ武器について相談したいことがあるのですが、今少しよろしいでしょうか?」

「ああ、いいぜ。入りな。」

「失礼します。」

私は、離れの鍛冶場へ来ている。

アストレア様から依頼された武器について、相談しにきた。

 

「あーセシルさんと言ったか?名前はヴェルフでいい。家名は嫌いなんだよ。」

「あ、わかりました。ヴェルフさん。わたしもセシルでいいです。」

「それで、武器について相談って何だ?」

「これです…。」

私は今、製作中の武器を打っている。

正直行き詰まっている。

なので、【ヘスティア・ファミリア】の鍛冶士【不冷】ヴェルフ・クロッゾさんに相談した。

 

「これは…。ふむ…なるほど。お前はまだレベル1だったな?」

「あ、はい。そうです。」

「それにしては、よくできているな。…だが、未完成のようだな。相談したいのはそこか?」

すごい!もう見抜いた!

さすがオラリオの鍛冶士だ!

 

「あ、はい。そうです。欠片でもいいから、質のいい大聖樹の枝があれば、何とかなるかもしれないんですが…。」

「大聖樹の枝か…。いや、足りないのはそれもあるが、もう1つ致命的に足りないのがある。」

えっ!?

そ、そんな…思いつくのは全部考えたのに…。

 

「お前は誰のために武器を打っているんだ?この武器は確かによくできている。だが、誰のための武器なのか見えないんだ。」

「!!」

「恐らくだが…アストレア様に依頼されたと思うんだが、アストレア様のためなのか?いや、違うな。これはただ、武器を打っているにすぎない。…魂がないんだ。」

見抜かれた。

私はアストレア様に依頼され、ただ武器を打っていた。

それだけだった。

 

「それに…この形状にこの感じ…。もう、お前にはアストレア様が誰のためになのか分かっているじゃないか?」

「はい…といってもつい最近ですが…。」

「そうか…。まあ、何かあると思っていたが今はどうなんだ?」

「先輩のための武器を作りたいです…。」

「わだかまりはないな?」

会った当時はあった…。

けど、先輩の過去の話を聞いたり、この数日間に先輩と話をすることによって、そういうのは吹き飛んだ。

今は、先輩の力になりたい!

先輩の武器を打ちたい!

 

「ないです!先輩の…武器を打ちたいです!ご協力をお願いします!」

「いいぜ。といっても、これをみるとその大聖樹の枝が必要みたいだな、それがあれば打ち直しができるんだが…。」

「き、協力してくれるんですか?」

「当たり前だろうが。お前んとこの【疾風】…いや【薫風】だっだな。色々と助けられたんだ。これぐらいはしとかないとな。」

「あ、ありがとうございます!」

「枝があれば、すぐにできるんだがな…。」

 

コンコン

 

「ん?誰だ?」

「エイナです。ヴェルフさん、素材の在庫などについて確認したいのですが。」

「あー、朝食の時でそう言ってたな。入っていいぜ。」

「失礼します…。あら…先客でしたか。」

「は、はい。失礼しています。」

「ところで、素材の在庫といってたな。ちょっと待ってろ…。」

「セシルさん、どうしてヴェルフさんのところに?」

「はい、それは…。」

私は、先程のことをエイナさんに説明した。

この人もキレイだなあ。ギルドの受付嬢をやってたらしい。

あのベル・クラネルについてぞっこんでしょうね!

先輩…ライバルが多いですが、頑張って下さい!

 

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「なるほどね…大聖樹の枝ね。確か【ディアンケヒト・ファミリア】が7年前の大抗争で押収してたのを預かっていたはずだわ。」

「な、なら、それをいただくことは…。」

「うーん…でも今は戦争遊戯前だし(死の病の特効薬に必要だから、そこまで回してくれるかな…)。」

「ですよねー…。」

そうそう、うまくいかないか…。

どこかに落ちてないかなー。

 

「悪いな、待たせた。これでいいか?」

「あ、はい。確認します……。はい、ありがとうございました。ただ、火炎石が少々不足ですね?やや多めに調達した方がいいですよ。私が手配します。」

「あ、悪いな。俺はそっちの方は不得手なんだ。頼んだぜ。」

「すごいですね…エイナさんは。入ったばかりなんですよね?」

「それぐらいはしないといけないからね。」

「あ、そうだ。さっき大聖樹の枝と言ってたな?欠片でもいいんだよな?」

「あ、はい。そうです。」

「思い出したんだがな…。確か【薫風】の使っていた木刀が大聖樹の枝を元にしたのを覚えているんだ。【アポロン・ファミリア】戦争遊戯前にメンテナンスしたんでな。」

「せ、先輩が!?」

「あー、でも深層へ潜る前に破壊されたと言ってたな。それがあればいいんだがな…。」

「…もしかして。あの時、リヴィラのボールスさんが持ってきたものが、それかもしれません。」

「何だって!」「本当ですか!」

「ええ、だけどあれはギルドの保管庫にあるので…。私が行ってももらえるかどうかは…。」

「では、私が取ってまいりましょうか?」

「うおっ!」「うわっ!」「きゃあっ!」

いきなり、セバスさんが現れました!

気配もなく音もなく…すごく強いんだろうなぁ…。

 

「失礼しました。少々小耳に挟みましたので。なるほど…これがルゥ嬢の武器となるものですか。」

「あ、はい。そうです。」

「ふむ。悪くありませんね。そこらの武器を使うよりはマシかもしれません。それに、ルゥ嬢の元武器の欠片を使えば彼女も思い入れがあるでしょう。」

「おい…、何をするつもりなんだ?」

「ギルドへ忍び込んで、その武器を回収します。エイナ嬢、その武器はどこにあるかはわかりますでしょうか?」

「あ、はい。保管した担当者は私ですので、場所は……のところです。」

「なるほど。場所がわかれば容易い話です。1時間お待ち下さい。では。」

「「「………。」」」

そして、セバスさんは音もなくスッと姿を消した…。

あの人、どのくらい強いの…?恐らく先輩より上かも。

 

「おい、いいのか…?あいつ、本気でギルドへ忍びこむぞ。」

「ヴェルフさん。私はもう達観しました。そうでなきゃやってられません(ギルド長のあの様子をみたら誰だってそうなるよ!セバスさんなら、ギルドへ忍び込むなんて朝飯前なんだろうなぁ…)。」

「そ、そうか…。まあ、あいつらなら簡単だろうな。」

「い、いいんですか?」

「セシルさん、彼等は規格外なの。そう思ったほうがいいよ。」

「そ、そうですか…。」

「とってまいりました。」

「「「早っ!」」」

早くない!?まだ10分も経ってないよ!

 

「皆様、仕事でお忙しいようですので容易かったです。忍びこんでそこらの木刀とすり替えてきました。」

「いつの間に…。いや、もういいや。お前らは何でもありだからな。」

「お褒めに預かり恐悦至極です。」

(褒めてねえよ!)

「さて、エイナ嬢。これで間違いありませんでしょうか?」

「本当に忍び込んだのですね…。うん、確かに私が確認したものです。」

「どれどれ…。ああ、確かに【薫風】の使っていたものだ。セシル、これで問題ないな?」

「あ、はい!…ええ!これです!これがあれば完成できます!」

「よっしゃ!さて今から打ち直しをするか。セシル、お前がやれ。お前が【薫風】のための武器を完成させるんだ。俺もフォローする。」

「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!」

「よかったですね!セシルさん。あ、私は在庫のまとめと火炎石の調達をしてきますね。」

「ああ、頼んだ。」

(ルゥ嬢の武器はどうなるかと思いましたが、何とかなりそうですな。)

 

先輩。貴女のための武器を打ちます。

私はまだレベル1ですが、先輩のために力になりたい!

貴女を助けるための、ベル・クラネルを助けるために武器を打ちます!




ルゥさんの新武器が出ますね!
ヴェルフに弟子ができたかもしれませんね。
あれ…?どこかの鍛冶神が…?

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