フィンが【ヘスティア・ファミリア】部隊(ベル以外)と接触した頃です。
こちらは、レフィーヤとルルネの二人だけの別働隊です。
何をするのでしょうか?
うう…何か騙しているようで罪悪感が…。
「レフィーヤ、大丈夫か?安心しろよ、このあたりはあたしがよく知っているから、心配はいらないぜ!」
「は、はい。」
…………今、私は戦争遊戯の戦場である三角形の外を迂回しています。
【ヘスティア・ファミリア】の背後を突き、旗を燃やすためです。
ルルネさんと私の二人だけの別働隊です。
団長たちの部隊は囮です。【ヘスティア・ファミリア】をおびき出すための。
そして、私は【ヘスティア・ファミリア】の旗を魔法で燃やすための本命です。
うう…、重大な役目です…。
仕方がありません。
これもベル・クラネルを助けるためです!
【フレイヤ・ファミリア】を倒すためには、私たち【ロキ・ファミリア】と共闘しなければなりません。
しかし、それもギルド長ロイマンによって阻まれ、【ヘスティア・ファミリア】へ戦争遊戯を仕掛ける形になってしまいました。
なので、一旦【ヘスティア・ファミリア】を降し、傘下に置かなければなりません。
…釈然としませんが、【ヘスティア・ファミリア】に私達と同等の力がない限りその手しかないでしょう。
そういえば記者会見の2日前に、ギルドへ文句言おうとした団長たちが疲弊して帰ってきましたが、何があったのでしょうか?
リヴェリア様に聞きますと、
「聞かないでくれ…。頼む。」
と自室にこもり、ベル・クラネルの伝記を読んでいました。
時間がたつにつれて、ようやく上機嫌になってくれました。
あの本は癒されますからね!
ベル・クラネルの伝記すべて数十回くらい読みました!
…なるほど。そうだったんですね!
育児放棄したお祖父さん、許せません!
あんないい子を!……って、違います!
そもそも、そのお祖父さんが元凶じゃないですか!
ベル・クラネルをあんな風に育てたのは!
今回の戦争遊戯で【ヘスティア・ファミリア】を降した後、あの子は私の後輩として徹底的に指導します!
ええ!そうします!
隅から隅まで、一から教育し直します!
「おーい?レフィーヤ、そろそろ着くぞー。」
「あ、はい!」
それにしても、団長はすごいですね。
旗にいる人をおびき出して、少人数となった拠点の旗を魔法で焼く案を考えつくなんて。
いえ……過去の戦争遊戯で、あるファミリアが考えついた案だそうです。
その案を改良して、団長自らが囮となるなんて、誰も考えないでしょうね!
あ、そろそろ着きますね。
「……ほとんど出払っているな。」
「ですね。旗を守っているのは、たったの3人ですか…。」
旗の両側に二人…。前方に1人。
不用心ですね。私達のところは数十人いるというのに。
「レベルを考えると、私とお前だけでも倒せそうだな。」
「ダメですよ!旗だけ燃やすよう、団長に言われているのですから!」
「へいへい、わかったよ。さっさとしようぜ(疫病神はいないな…、ホッ…)。」
さて…詠唱を始め…。
『速報です!』
「「!」」
『初の脱落者が出ました!』
「お!もう出たのか。どうせ、【ヘスティア・ファミリア】だろ。」
「そうですね(ベル・クラネルではありませんように)。」
『【ロキ・ファミリア】の【勇者】、【怒蛇】脱落!』
『【カーリー・ファミリア】の【女神の分身】脱落!』
「「ええええええっ!」」
な、な、何で!団長とティオネさんが!
しかもあのアルガナさんまでも!?
何が起こっているのですか!
『【アストレア・ファミリア】の【狡鼠】脱落!』
「!?……嘘だろ?何で…。」
「【アストレア・ファミリア】の【狡鼠】って…誰ですか?」
【アストレア・ファミリア】って、この間公表があったレベル5【薫風】とレベル1のセシルという子だけじゃないんですか?
「そんな馬鹿な…。【狡鼠】は5年前に死んだはずだ!」
「ええええっ!」
「数日前に、ヘルメス様の机上に置いてあった名簿にはなかったはずだ!死者が生き返ったというのか!」
「あわわわ…。何が起きているんでしょう…?」
「…考えるのは後だ!レフィーヤ!さっさと旗を燃やしてずらかろうぜ!今のうちに陣地に入ろうぜ!」
「あ、はい!」
陣地から攻撃しないと、反則負けになりますからね!
よし、ギリギリで陣地にいますね。
気づかれていませんね。
【ヘスティア・ファミリア】の皆さん、ごめんなさい…。
【解き放つ一条の光、聖木の弓幹。汝、弓の名手なり。狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】
【アルクス・レイ】!
これで終わりです!
え…?
旗の前方にいた人がいつの間に…?
あ、私の魔法が当たってしまう!
………。
え?私の魔法が…消えた?
「お、おい!レフィーヤ!何やってんだよ!」
「そんな…私の魔法が消えた…?いいえ!そんなはずがありません!」
なら、別の魔法を使うまでです!
【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ。帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢。 雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】
【ヒュゼレイド・ファーラリカ】!
………。
「ま、また!消えた!ど、どうして!」
「………まさか。いや、今のは7年前の…あの時に似ている…。」
「ルルネさん?」
「そ、そんなのあり得ない!あの魔法を使う奴は死んだはずだ!【狡鼠】といい、何が起きているんだ!」
ルルネさん!
駄目だ、パニクっている!
いけません!私だけでも落ち着きましょう!
こ、こうなったらリヴェリア様の魔法を!
【ウィーシェの名のもとに願う。森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪。どうか――力を貸し与えてほしい】
【エルフ・リング】
【間もなく、焔は放たれる。忍び寄る戦火、免れえぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む。】
!
いつの間にか、物陰から人が!
ですが、間に合いませんよ!
【至れ、紅蓮の炎、無慈悲の猛火。汝は業火の化身なり。】
【燃え尽きろ、外法の業】
【ウィル・オ・ウィスプ】
(え?短文詠唱?あ)
「は?」
ちゅどぉぉぉぉぉぉん!!
はい。レフィーヤによる最高潮の魔力爆発で、レフィーヤとルルネ脱落です!
別働隊による旗攻撃作戦、失敗です!
何故、レフィーヤの魔法が消えてしまったのでしょうか?
ルルネは7年前にその現象について、見覚えがあるようですね?
それも数話後の回想に答えを出していきますので、気長にお待ちくださいませ。
本日2回目の更新は12時からです。
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