白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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第13話 建築神、感傷。 / 白兎、開封Ⅱ。

儂はやつのいるとこまで地下を下っていった。

あれは地下でないと困るからな。

 

「あの…ゴブニュ様…。何故僕の母親を知っているのでしょうか?」

ベル・クラネル…。【白兎の脚】、史上最速のレコードホルダー…か。

 

「久しいな。あの時の坊主がここまで強くなるとはな。」

「はい!ゴブニュ様、あの時は励ましてくれてありがとうございます!」

「おにょ?ゴブニュ、ベル君と会っていたのかい?」

「はい、ゴブニュ様はオラリオへ来て最初に会ってくれた神様です。」

「うちは鍛冶系ファミリアだからな、坊主の希望と合わなかったんじゃ。」

「だったら、うちに来たらすぐにヘスティアを紹介してあげたのに。」

あの時は、たまたまホームにいたからよかったようなものだ。

ひと目であやつの子と分かったからこそ、儂が対応しなければならないと思った。

ゼウスと一緒かと思ったが、やつはオラリオへ入れないからな。

 

半年前、【アポロン・ファミリア】との戦争遊戯、【アポロン・ファミリア】のホームの改築で、3回もベル・クラネルを見たが、本当によく似ている。

あやつがもし生きてたら溺愛するじゃろうな…。

…今回のフレイヤはやりすぎだ。

何故そこまでして【白兎の脚】を手に入れてたかったのかはわからぬがな。

ヘラの眷属の子とは知っておったのか?知ってたらあんな行動はせんかったろうに。

 

「ゴブニュ様?」

「ああ、すまぬな。…お主は母親によく似とる。それだけだ。」

「僕がお母さんに…?」

「はい、坊ちゃまはあの方によく似ています。目の色を除けばまさに瓜二つです。」

そうか…、メイはゼウスのお供であやつのファミリアへ出入りしとったから、会っていたのは不思議ではないな。

目の色はゼウスんとこのサポーター譲りか…。

何度も思ったが、よくヘラんとこの子に手を出せたものだ…。

 

「メイ、お母さんはどんな人だったの?」

「私は両手で数えるほど多く会っていませんが…、非常に優しい方であったのは間違いありません。」

確かに、ヘラはあやつを溺愛し絶対に外へ出さなかったからの。

あやつはあのファミリアの中で、異端で善心でもあったからのう…。

この少年と同じく、真っ白で不思議な子じゃった…。

病に侵されていなければ、双子の姉の【静寂】と共にオラリオを代表する、よき冒険者となってたであろうに…。

惜しい子じゃった…。いかんな、感傷に浸ってしまった。

 

む…着いたか…、あやつを封印している部屋に…。

「着いたぞ、あそこじゃ」

 

とっとと早く持っていってほしいものじゃ、正直この危険物は一時も置きたくはないからのう。

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

リン、リン。

やはり鈴の音が聞こえる。僕の英雄願望と同じ鈴の音が。

けど、少し違う。この音は暖かい感じがする。

メイの時と同じ、懐かしみのある音が。

 

「あれ・・・ですか」

「まるで棺桶だな…。」「棺桶じゃな…。」

「彼女らしいよ…。」「しかも凶々しいわね…。」

「あのクソ野郎らしいです。」

本当に凶々しい…。吸血鬼が入ってもおかしくないくらい…。

骸骨…スパルトイ!?が多く貼り付けられている…。

…ほ、本物じゃないよね?本物っぽい…。

開けるのが怖くなってきた…。

 

「どれ、ちょっと…」「よさぬか!」

椿さんが近づこうとした途端、椿さんが炎にくるまれたぁぁぁ!

まだ触ってもいないよ!?

 

「あちちちちちぃぃぃぃ!なんじゃああ、この炎はぁぁぁ!」

「うわぁ…こっちもか…。」

「この棺桶の3メートル以内に近づこうとしたらああなるんじゃ。」

なにそれ、怖い!

 

「メイ君の時より凶悪じゃないか!」

「あの神らしいわね……。」

怖いけど、メイの時と同じく行かなければならない気がする…。

行かないと…めちゃくちゃ嫌な予感がする。

 

「お、おい…ベル…。大丈夫か…。」「大丈夫です、坊ちゃまなら。」

怖いけど、行かなきゃ…。

あれ…3メートル内に入ったのに椿さんのようにならない…。

メイの時より懐かしく…温かい気がする…。

 

「本当にあのファミリアの系譜を持っているんだね…。」

「しかも貴女のファミリアの眷属になるとはね…。神ながら運命を感じてしまうわね…。」

「ホントだよ…、あの子達の眷属の子がベル君とは誰も予想できないじゃないか…。」

神様とヘファイストス様がため息と同時に遠い目をしている。

…何だろう…複雑だ。

 

そうしている内に棺桶の前に立った。鈴の音が強くなっている。

"早く開けろ"とそう言っているように聞こえる。

「じ、じゃあ、行きますよ。えいっ」

メイの時と同じく棺桶に手のひらを当てた。

 

ゴゴゴゴゴ

 

棺桶が音と共に開いて、中には…。

「男性?」「執事か?」「執事じゃな。」

スーツを着たかっこいい白髪のお兄さんがいた。

 

「起きなさい。このクソ野郎が。」

メイがナイフをおじさんに投げつけていた。

というか、どこに持っていたの!?

「坊ちゃま、メイドの嗜みでございます。」

そうなの!?メイドってしゅごい…。

「いや、何度も言うがそんなわけないだろうが…。」

 

おじさんは目をつむったまま、そのナイフをすんなり指先で受け止めていた。

「メイ、相変わらず乱暴ですね。品もない。」

そう言って、眼をゆっくりと開けた。

オッドアイでかっこいい!

 

「貴方に言われたくないです。セバス。」

このかっこいいおじさんは、セバスさんと言うんだ…。

 

「メイ…何の用です。私を目覚めさせるのは【ヘラ・ファミリア】の眷属だけですが、貴方が開けるわけがありません。どんな手を使ったのですか?」

「残念ですが、私ではありません。こちらの方が開いたのです。」

【ヘラ・ファミリア】!?ヘルメス様の言っていた最強派閥の一つ!?

お母さん、すごい派閥だったんだ…。

 

「!?メ、メーテリアお嬢様!?いえ、男性…まさか…。」

おじさんは僕を見て、メーテリアと言った。

メーテリアって誰…?

 

「べ、ベル・クラネルです…。初めまして…。」

「…そうですか。貴方が…。これは失礼しました。セバスと言います。」

セバスさん、さっきまで殺すような目つきだったけど、僕を見てすぐ優しい目になった。

 

「セバス。この方の記憶を見てみなさい。そしたらわかります。」

メイ…セバスさんに対して素っ気ない…。仲悪いのかな…。

 

「では、失礼します。」

そういって、左手を僕の頭に当てた。




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