白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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脱落したメンバーの会話です。
勇者視点です。

死んだはずのライラ姐さんが目の前にいるから、気が気でないでしょうね。


第160話 勇者、目覚。

僕、いや僕たちはミスリルの檻の中にいる。

戦争遊戯の様子は、檻の中に別の神が作った『神の鏡』で見ている。

「………。」

「団長、すみません…。」

「フィン、すまない…。」

「ごめんなさい!私のせいで…。」

「レフィーヤのせいじゃないさ。あたしがパニクらなければ…。」

ライラ…の自爆攻撃によって脱落させられ、その爆発に巻き込まれティオネとアルガナも。

そして、間もなくレフィーヤとルルネ・ルーイが、【不冷】の魔法によって魔力爆発させてここへ来た。

…そして、ありえない人物を目の前にしている。

 

「無様だな。勇者サマよ。」

「ライラ…、何故君が生きているんだい?5年前に死んだはずじゃなかったのかい?」

「ああ、死んださ。この時代に来て生き返ったのさ。」

そんなのありえるわけがない。生き残っていた?

いや、生き残ってて潜めていた?

潜めていたなら、何故出てこなかった?

 

「あ、ありえない!何でだ!何で生きてんだよ!【狡鼠】!」

「うるせえぞ、【泥犬】。おめえ、自分の心配しとけよ。ここから出たら地獄が待っているぜ?」

「じ、地獄?」

「おめえ、あの兎のファンの賞金首にかけられてんぞ?グッズ100万ヴァリス分のな。」

「ひ、ひぃっ!……あの、レフィーヤ、その目やめてくれないか?怖いんだよ…。」

「む、むむむ。あのヒューマンのグッズ100万ヴァリス分とルルネさんとの縁…。どっちを選ぶべきか……。」

「レフィーヤ、あんた……。」

「む、ティオナとバーチェの決着がついたか。」

ティオナも負けたか…。

仕方がない。

今のバーチェ・カリフは僕も負けるかもしれない。

 

「【ロキ・ファミリア】の【大切断】、脱落!」

ドーン!

 

「はい、一人追加ですね。……これはバーチェさんのですね。カサンドラさん。」

「は、はい!」

【一度は拒みし天の光。浅ましき我が身を救う慈悲の腕。届かぬ我が言の葉の代わりに、哀れな輩を救え。陽光よ、願わくば破滅を退けよ】

【ソール・ライト】

 

「……うう。ああー!負けた!悔しー!何だよー!あんなの、あたしの知っているバーチェじゃない!」

「メイド服…あそこまで似合うとは思わなかったわ。ねえ、アルガナ?」

「(メイド服はともかく、あの戦い方…バーチェの奴、あのメイドから習得したのか?)私がいたとしても、今のバーチェには勝てんな。」

「ええ…私でも勝てないわね。今のバーチェには。」

そんなのどうでもいい。

 

「ライラ!何故君が生きているのか、答えろ!」

「はぁ…、ここまでとは思わなかったぜ。」

「ライラ!」

「………。」

 

パァン!

 

…?

僕は…ぶたれたのか?

 

「失望したぜ、勇者サマよ?」

「てめぇ!よくも団長を!」

「うるせえ!アバズレ共が!フィンをこんなにさせたのはおめえらじゃねえか!」

「「「!」」」

「特にてめぇだ!【怒蛇】!フィンがこうなってるとわかってんなら、止めるのがおめえの役目だろうが!」

「………っ!」

「見たくもなかったぜ、こんなになった勇者サマは。」

「…………。」

「なぁ、フィン?おめえの親指は何て言ってんだ?」

「…………。」

「答えろ!」

「…………。」

「フィン…。おめえの最大の失態はあの兎を敵に回したことだ。」

そうだ…。

ベル・クラネルに対して嫉妬してしまって、戦争遊戯を仕掛けてしまったのが始まりだ。

 

「フィン、あの兎はバグっている。神も世界もお手上げになるくらい、バグっている。」

「バ、バグっている…?」

「当たり前だろ?半年で第一級冒険者に至れるやつが、バグらないほうがおかしいだろ?どんな天才でも1つのレベルをあげるだけでも、数年かかるというのに、あの兎は数ヶ月でポンポン上げやがる。」

「そ、それはスキルか何かで…。」

「そんなスキルが発現するくらいバグってんだよ。あの兎は。」

「ライラ…君は、ベル・クラネルによって生き返ったのか?」

「生き返らせてもらったのは他のやつだがな、それ以上はトップシークレットさ。」

「だ、だが!そんなの反則だ!お前の名前は、私が手に入れた名簿なんかに乗ってない!」

!?

しまった!そういうことか!

 

「へっ、引っかかったな。【泥犬】よぉ?」

「え?」

「あたしたちの名簿は今日、ヘスティア様からヘルメス様に初めて渡したんだよ?」

「な…そんなの…嘘だ!」

「……掴まされたということだね?ライラ。」

「(少しは戻ってきたか)その通りさ。【ヘルメス・ファミリア】に【ロキ・ファミリア】と懇意の【泥犬】がいるように、こっち側にもいんだよ。なあ、【泥犬】?心当たりはねえか?」

「そ、そんなのいな……あ。ロー…リエ…。」

「正解さ。うちの大将であるバグ兎のファンクラブの会長がローリエさ。」

「ええええっ!あのローリエさんが会長!?」

「「え?そっち?」」

「要するに、僕らは踊らされたということだね?」

「そうさ。いつもの勇者サマならすぐに見破ったはずだぜ?」

そうだね。僕の失態だ。

はぁ…整理してみるか…。

ん…?

 

…ロイマン?「時間は有限」?

…バーチェ?メイド?

ま、まさか!?

 

彼らを解放するには、最強と最恐の眷属…いや系譜…。

そんな…はははは。

彼が…後継者だったのか…。

彼らが動いたなら、ここ数日の理解できないことが全てつながる!

だが、彼には…。

 

「ライラ。彼は、7年前のことを知っているのか?」

「へぇ…ようやく調子が戻ってきたじゃねえか。ああ知っているさ、最近だがな。」

「なら、この状況が一転すると世界の敵になるかもしれないよ?」

「それも織り込み済みさ。この戦争遊戯が始まる前に、アストレア様からな?」

「それだけでは…ああ、ファンクラブか…。」

「それだけじゃねえよ。デメテル様、善神の女神様を中心とした女神連合、そしてギルドもな?」

「(ロイマンをああ変えたのは彼らか)……僕は彼らに時間を与えすぎたか。」

「ああ、そうさ。と言っても、事は1週間前に全部終わっていたらしいがな。」

「ファンクラブは彼らの案なのか?」「「え!?」」

「ああ、そうさ。だが、あいつらにとってはどうでもよかったらしい。ここまでの結果となったのは予想以上らしい。あのローリエの才能だとさ。」

「そうか。はぁ…。だが、ベル・クラネルとオッタルのあの互角の戦いぶりは?」

「それもトップシークレットさ、と言っても大方予想付くだろ?」

「なるほど、スキルか…。ああ!クソ!僕のやっていたことは天に唾する行為だったか。」

「まぁ、そういうことさ。この短時間でここまで当てたことに、いい情報をやるよ?」

「何だい?これ以上のことはもう勘弁したいけどね。」

「まあ、そう言うなよ。…耳貸せ。」「「「あ!」」」

『何だい?』

『あの兎な…、【静寂】の甥だぜ?』

『な!何て恐ろしいことを…。まさかあそこにいる人物は…。』

『しかも、あの【静寂】がおめえらが想像できないくらい、兎を溺愛しているぜ?弱点である病も完治さ。当然、あの兎にいろいろとしたおめえらのことに対して、かなりお冠さ。』

『……逃げ道は?』

『大人しく傘下に降るしかねえよ。あたしらも大方の派閥もな。』

「…はぁ。彼らが動いていて時間もたっぷりあり、君たちが復活していて彼女もいる以上、もう勝ち目ゼロじゃないか…。」

親指の疼きがようやく収まった。

『ようやくわかったか?』という感じで。

 

先程までの自分が不甲斐ないよ。

……どうにもなれ、だ。

「ライラ、膝貸してくれ。」

「あん?…いいぜ。」

「だ、団長!それなら私が…「30分後に交代してやるから待て。」…約束よ。」

不貞寝してやる。

この戦いを最後まで見届けて、彼の勇姿を焼き付けてやる。




ようやく、フィンは本調子に戻りました。
気が付いたら、もう手遅れになっており「もう知るか!」と不貞寝しています。

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