白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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続いてメイ回です!

ベルに飲ませた数滴は何でしょうか?


第173話 侍従長、叱咤。

「お、おい!あのメイド何を飲ませたのだ!?」

「これは…今までにないほどの苦しみ様です!」

「なっ…!カサンドラさん!解毒魔法を!」

「は、はい!」

「待ちなさい。たったの数滴です。耐異常のレベルからして、死ぬことはないでしょう。」

「あれは!違います!バーチェさんの毒より遙かに上の毒です!死にます!」

「……ベル?」

数滴でこれですからね。

あの子はどれだけ苦しんだのか…。

 

「なるほど、メイ。貴女はあの毒を飲ませたのですね。」

「ええ。バーチェさんの毒に慣れた以上、あの毒なら耐えられると計算しました。…数滴ですが。」

「私の毒より…?何の毒なのですか…。」

「【ゼウス・ファミリア】の【暴食】を蝕んだ毒でございます。」

ええ、ザル坊を蝕み戦線離脱させ、坊ちゃまを一人にさせ、【猛者】に無駄な経験値を食わせたきっかけのものです。

 

「まさか……ベヒーモスの猛毒を!?」

「正解でございます。」

「あのザルドを苦しませた猛毒をか!?【戦場の聖女】!早く治せ!」

「駄目です。」

「ふざけんな!あの兎がマジで死ぬぞ!」

「黙りなさい。」

「「「!」」」

賭けるしかありません。

時期早々かもしれませんが、坊ちゃまを信じます。

 

「坊ちゃま、聞こえていますでしょうか。坊ちゃまに飲ませた数滴の毒は…私の所属していた【ゼウス・ファミリア】の【暴食】ザルドを蝕み、苦しませ、坊ちゃまを一人にさせた元凶の毒です。」

「!!!!うぐ…うああああああっ!」

「なっ…。克服しようとしているわ!あの子!」

「…ば、馬鹿な…耐えれるわけがない…。」

「狂ってるぜ…。」

「ベル…。」

この程度を越えられないようでは、これからの苦難に耐えられません。

お願いします、坊ちゃま。

 

「坊ちゃま。ザルドの…ザル坊の仇をとってくださいませ。」

「ああああああああっ!……………。」

「なっ!」

「死んだ……?」

「いえ、気絶しただけです。ふむ…。何とか克服できたようですね。」

「カサンドラさん!」

「はい!」

【………(詠唱中)………】

【キュア・エフィアルティス】

持ち直したようですね。

 

「よかったです。何とかなりそうですね。」

「よかった、ではない!死ぬではないか!こんなの!」

「そうよ!こんなの、特訓じゃない!拷問よ!」

「アタシもそう思うぜ。」

「だから、貴女たちはジャガーノート如きに負けたのです。」

「「「!」」」

ここで彼女たちに甘さを突いておきましょうか。

 

「……っ!」

「すぐに対応できるよう、準備と心構えができておらず」

「ジュラ如きの俗物以下の罠にハメられ、おめおめと厄災を呼び寄せることになったのです。」

「貴女方はジャガーノートにやられたのではないのです。貴女方自身の傲慢そして油断にやられたのです。」

「すぐに未知を既知に変えることができたら、倒せたはずです。」

「……無茶苦茶なことを!」

「私達は、それでも黒竜に負けたのです。」

『陸の王者』『海の覇王』に死闘の末で勝っても…。

 

「「「!?」」」

「ベヒーモスやリヴァイアサンの欠片如きに、負けては話にならないのです。」

「黒竜はそれらを遥かに凌ぐのほどの化け物です。」

「倒せる可能性を持っているのは、今のところ坊ちゃまだけです。」

「だからこそ、坊ちゃまにはあらゆる可能性を超えてほしいのです。」

それが、坊ちゃまの目指す『英雄』に近づく早道です。

 

「「「………。」」」

「リオン…。お前は何も言わねえのかよ?」

「彼らは…ベルのことを第一に思っている。彼らがベルを死なせることはないと分かっています。彼らはベルを強くするために、最短で安全な道をとっているのを知っています。…もし、彼らがベルを死なせるようなことがあれば、私はこの命を賭けて彼らを倒します!例え死のうとも!」

「……リオン。貴女は…。」

「お見事です、ルゥ嬢。貴女は坊ちゃまの横に並び立てる女性であることを証明しました。」

「皆さん、ルゥさんの足元を見て下さい。」

「足元だと…?!?お前…。」

坊ちゃまがバーチェさんの毒を飲んでから、ずっとそうしていました。

坊ちゃまが強くなりたいという気持ちを理解している彼女ならわかるはずです。

だから、自分をずっと抑えていましたね。

素晴らしいです。

 

「手を見せて下さい。ルゥ・リオンさん。」

「…………。」

「うっ…。爪が骨まで食い込んでいます…。」

「はぁ…。貴女がここまで耐えなければならないなら、私達は何も言えないじゃないですか…。エリスイス、確か改良ポーションがありましたね?」

「ああ…。はぁ…あんたがそんな無茶をするなら、喚いていた私達が馬鹿みたいじゃないか。」

「…うっ…く。すみません、【医神の忠犬】。」

「…駄目ですね。一体どれだけ食い込んだのですか。私がやります。」

【癒しの滴、光の涙、永久の聖域。薬奏をここに。三百と六十と五の調べ。癒しの暦は万物を救う。そして至れ、破邪となれ。傷の埋葬、病の操斂。呪いは彼方に、光の枢機へ。聖想の名をもって——私が癒す】】

【ディア・フラーテル】

 

「すみません…【戦場の聖女】。」

「……はぁぁぁぁぁ。このポンコツエルフが!」

「な!?わ、私はポンコツではない!」

「ばぁ~かめ。お前のその様を若様が目にしたら、若様は自分を責めるだろうが!」

「……はっ!」

「はぁ…リオンがここまでとは思わなかったわ。」

「ああ、ここまでとはな。」

「ううう…。」

まあ、そうですね。

少なくとも坊ちゃまには知られないほうがいいですね。

 

「さて、もう日暮れになります。カサンドラ嬢、いつものように坊ちゃまを介抱してください。」

「は、はい!お任せ下さい!」

「え?何で?そのままベルと一緒に帰ればいいじゃない?」

「…アリーゼ、それには理由があるのです。」

「それに貴女たちは死んだことになっています。闇に紛れてホームへ帰らないと面倒なことになります。」

「あ!そうだったわね!」

「では、こちらから帰りましょうか。」

クノッソス…ダイダロスはいいものを築きましたね。

それが一時的に闇派閥のアジトとなっていたのが気に入りませんが、まあいいでしょう。

私達の役に…いえ坊ちゃまの役に立ってもらいます。

 

「……闇派閥が根城にしてたここを私達が活用するとはな。」

「オラリオにこの入口があちこちあったなら、あの時の闇派閥の神出鬼没がようやくわかったぜ。」

「アルフィアとザルドは、ここのことを暗に示していたことがあったわね…。もっと早く気づくべきだったわ。」

そうですね。

すぐに気付けば、貴女たちは今頃生きていたでしょうね。




はい!ベルに飲ませた毒は、あのベヒーモスの猛毒です!
ベルとしては、自分を一人にさせた元凶の1つですから負けたくないものですね。

メイとセバスは手厳しいですね。
ですが、それも彼女たちに期待しているため叱咤しました。

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