白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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初の異端児回です!
今更掲載してすみません!


第204話 竜娘、応援。/白兎、突破。

「ベル…頑張って!」

「ベルッち…。」

「ベルさん…。」

ここは…20階層の隠れ家。

リドたちと初めて会った場所。

 

そして…神様からの『神の鏡』で戦争遊戯を見ている。

ベルの戦いを。

神様やリリたちを守るための。

 

何か難しい話をしていたからよくわからなかった。

けど、ベルが戦わなければならないというのはわかる。

何で、ベルが戦わなければならないの?

何故、ベルが傷つかなければならないの?

 

けど、リリや春姫を守るためと聞いた。

ベルはいつもそうだった。

自分のためじゃなく、誰かのために戦っている。

 

私、ううん。私達異端児はモンスター…。

でも、そんな私達をベルは見てくれた。

手を取ってくれた。

守ってくれた。

嬉しかった。

 

地上にいた時は、暖かく…そして怖かった。

そんな私達をベルたちは守ってくれた。

嫌な目にあうことはわかっているはずなのに。

 

だから私達はベルの力になりたい!

助けてもらっただけじゃない、ベルが大好きだから!

 

「ウィーネ、力を抜きなさい。爪が食い込んでいますよ。」

「あ…ごめん。」

生えてきた爪が手に食い込んで…痛い。

 

「チカライレスギダ。ラクニシロ。アノコゾウハマケナイダロウ。」

「けどよー、ベルと戦っている…【猛者】だっけ?あいつ強いぞ…。」

「当然だ。自分を強くさせた奴だから。」

「アステリオス?それは貴方の前世ですか?」

「そうだ。あの男のおかげで自分はベルに会うことができたのだ。」

「…そうか。」

アステリオス…ベルの好敵手。

見た目は怖いけど、優しい人。

 

「ねえ、アステリオス。ベルは勝つよね?」

「今のところは【猛者】が有利だな。」

「お、おい!アステリオス!それは嘘でもベルっちというべきだろ!」

「リド、いいの。私もわかるの。…あの人はベルよりも強い。」

「ウィーネ…。」

あの人は…あの金髪のきれいな女の人より更に強い。

ベルが負けるのが怖い。

けど…。

 

「けどね、神様が言ってたの。ベルの勝利を信じているなら祈ってほしい、と。」

「祈る…ですか。そうですね、ここにいる私達ができるのはそれしかないですね。」

「キュー!」

「ワンワン!」

「うん!祈ろう!ベルさんのためにも」

「ソウダ。イノルシカナイ。アノコゾウノショウリノタメニ。」

「ベルッち!勝てよ!」

「我が好敵手よ。自分は待つ。強くなるのを。」

「「「ベルー!」」」

ベル…!勝って!

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

強い。

目の前のこの人は、強い。

レベル5の僕が倒せるわけがないほど、強い。

 

メイから聞いた。

目の前のこの人は、僕のお父さんと同じファミリアの人…ザルドさんを倒した人ということを。

憎くはないのか?と聞かれたら、憎くはないはずがない。

僕を1人にしたのだから。

 

けどザルドさんはその時、もう死に近かった。

メイが僕に飲ませた…ベヒーモスの毒を多量摂取したのだから。

そして…7年前の大抗争で、オッタルさんやフィンさんを押し上げるために名を落としてまで、絶対悪となった…。

当事者であるお義母さんから聞いた。

 

お義母さんと同じく、助けに行きたかった。

【アストレア・ファミリア】と同じく、遺体を持ち帰りたかった。

けど…メイとセバスは、条件が足りないからできないと言われた。

条件を集めるには…オッタルさんに…この戦争遊戯で勝たなければならないことを。

 

だから、僕はザルドさんが押し上げたオッタルさんを倒す。

倒して、僕は先程言った【最強最高の英雄】を目指さなければならない。

もう『神の鏡』で宣言してしまった。

恥ずかしいけど、それでいい。

師匠の言った通り、僕は前へ進むしかないんだ。

 

オッタルさんと互角に戦えているのは……、僕の素じゃない。

【時駆白兎】のように他にスキルがあると、薄々は気づいている。

神様は意地悪してないのはわかっている。

僕を心配して隠しているのは知っている。

だから、知らない振りをする。

神様から打ち明けてくれるまで。

だから、前へ進むしかない。

 

ガン!ゴン!キン!

キン!「考え事とは余裕だな!ベル!」

ガン!「すみません!」

ガガン!「何を、考えていた!」

ゴン!「…ザルドさんは、強かったですか?」

キキン!「!!…ああ、強かった!俺が目指しているやつだった!毒なんかに侵されていなければ俺なんかに倒されるわけがなかったのだ!」

ドン!「自分を卑下しないで下さい!」

キン!「!!」

ガキン!「それは!ザルドさんを侮辱するのと同じです!」

ガガン!「そうだな!ああ、そうだな!」

 

ピシ!ピシシシ!

ガキン!

もう大剣が限界だ!

 

パリーン!

ヒュッ!バシッ

いいタイミングだよ!セバス!

 

ガキーーーン!

「ぐっ…!だが、俺は負けるわけにはいかん!」

「フレイヤ様のためだからですか!」

「それもある!ザルドは…この程度で屈する奴ではない!奴を簡単に超えさせるわけにはいかん!」

「!!」

「貴様が【最強最高の英雄】を目指すなら…壁は大きければ大きいほどいい!なら、俺が示さなければならん!」

「オッタルさん…。」

「貴様は俺を英雄と言ったな!なら【最強最高の英雄】を目指すなら、俺を超えてみせろぉっ!」

「!!わかりました!」

 

頭の中がクリアになっていく

みんなの顔が浮かんでいく

そして、メイ、セバス、お義母さん…僕の家族。

黒竜がいなければ、僕は1人じゃなかったかもしれない。

 

でも…神様やリリたちに会えた。

そして、ウィーネやリドさんに会えた。

僕は忘れていない。

ウィーネたちと笑って暮らせる世界が欲しいことを。

 

だから、僕は英雄になりたい。

【最強最高の英雄】に!

英雄になって…ウィーネたちと笑って暮らせる世界を作りたい!

 

ザルドさんを倒したオッタルさん…いや【猛者】。

フレイヤ様…シルさんもヘルンさんも救う!

それができなきゃ、何が英雄だ!

だから貴方を倒し、前へ進む!

 

【最強最高の英雄】への道を!

 

「あああああああああっ!」

「なっ!!」

 

メイから教えてもらった、ザルドさんの…マキシムさんの太刀筋を。

そしてアイズさん…、僕の今までの分を…重ねる!

 

ズバ!ズバ!ズバ!ズバァッ!

 

「ぐおおおおおおおっ!」

(ぐっ…ここへ来て更に進化…いや飛躍するのか!だが!)

 

「はあああああああっ」

「ぬおおおおおおおっ!」

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~バベルの神会~

 

「「「うおおおおおおっ!」」」

 

「ベルくん…。」

「ベル…。」

「あ~!くそっ!何でここに酒があらへんのや!絶好の肴が目の前にあるというのに!」

「そうじゃな!…ん?何じゃ、ソーマ。何百年ぶりかのう?」

「…酒だ。目の前の肴に合うものを持ってきた。」

「「おおおっ!」」

「私はいいわ。この戦いを素面で見届けたいの。」

「ボクも。」「私も。」

 

「見事だ…この土壇場で新たな境地に踏み出したようだな。」

「あ、新たな境地と言いますと?」

「あの域へたどり着くのは…難しいのだ。人が生涯かけてもたどり着くかどうかのものなのだ。【白兎の脚】は多くの人の太刀筋を見て真似てそれを束ねて、自分の…今までを注ぎ、【白兎の脚】本人の太刀筋を編み出したのだ。」

「な……。」

「【白兎の脚】は、ほんのわずかだがあの年で剣の頂きに手をかけたのだ。この武の神であるタケミカヅチが認めよう。」

うおぉぉぉぉぉぉぉ!

 

 

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~【ヘスティア・ファミリア】自陣~

 

『坊ちゃまは…自分の太刀筋を編み出しました。この土壇場で。』

『ええ。本当に驚かせてくれますな、私たちの真の主は。』

『……これで勝負はわからなくなったな。』

『ですが、長くは保ちません。』

『そうですな、あの小僧もそろそろ出してくるでしょう。』

 




異端児はベルの勝利をダンジョンから祈っています。

そして、ベルは限界を越え、更にメイから教えてもらったザルド、マキシムの太刀筋を重ね、そして自分のこれまでの想いを込めて更に昇華させ、ベルの太刀筋を編み出しました。
アステリオス戦と同じく、限界を越えました!

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