「うわぁ…。フィンさんたち凄い。僕もああいうふうにまとめなければならないね!」
「坊ちゃま、【勇者】たちを参考にしなくていいです。坊ちゃまは坊ちゃまで思うままにやればいいのです。」
「あ、そうか…。うん、わかったよ。」
「ああ、すまないね。ベル。今日が改宗する日だというのにね。」
「い、いえ!…僕たちに手伝えることはありますか?」
「ありがとう。けど、今は僕たちだけでやりたいんだ。」
「それは無理ですね。」
「何だって?」「ふぇ?」
どういう意味だい?
「今から料理を頼むとしても準備をするとしても夜までには間に合いませんよ?」
「……そうだね。時間的にも厳しいね。明日にするか…。」
「貸し1つなら、手を貸しましょうか?」
「……貸しがでかすぎて、これ以上は勘弁したいんだけど…ラウルとアキのためだし、お願いしていいかな?」
「はい。坊ちゃま、それでよろしいですか?」
「あ、うん!ごめんね、メイ。僕の我儘で。」
「坊ちゃまのそれは我儘に入りませんよ。美徳というものです。」
「そうだね、僕もそう思うよ。」
「ありがとうございます。それで、メイ。僕は何したらいいかな?」
「お待ち下さいませ。エイナさんと愚者さんに言付けて、援軍を呼びました。」
「何だって?」「援軍?」
そういえば…、彼らがいつの間にかいないね?
こういうことも織り込み済みというわけか。
相変わらずだね、さすが【ゼウス・ファミリア】の【最強侍従】だけはあるよ。
「お待たせしました、メイ。」
「よう、フィン。お望みの通り来てやったぜ。」
「数十分前にお願いしたばかりなんだけどな…。そちらのフードは何者だい?」
只者じゃない…レベル5、いや6…以上はある。
「何で…俺が…。昨日の今日だぞ?」
バサッ…。
なっ!?
「【ヘラ・ファミリア】の【最恐執事】…。そして……【ゼウス・ファミリア】の【暴食】ザルド。君も生き返ったのか…。」
「15年ぶりですね。【勇者(笑)】」
「【最恐執事】…、今、何かつけなかったかい?」
「気のせいでございます。」
相変わらずだね。
はぁ…何も彼らを2体とも解放しなくったっていいじゃないか…。
「ああ、そっちもあったみたいだな。こいつによってな。」
「わわわ!ザルド叔父さん、髪をぐしゃぐしゃにしないでー!」
「ははは。…それでメイ。俺を呼んだのは何だ?こいつらへの特訓か?」
「いいえ、料理です。」
「何だって?」「ふぇ?」「は?」
「説明するからよく聞きなさい、ザル坊。」
「坊はやめろ…。説明しろ、メイ。」
料理…?
--------------------------
昨日、彼はベルの魔法によって生き返ったのか…。
はぁ…ここのところ、驚くばかりだよ。
特に今日は、濃い一日だよ。
「なるほどな…。」
「昨日の今日ですが、貴方にとってちょうどいいリハビリになるでしょう。」
「面白いじゃねえか。いいだろう。おい、【勇者】。厨房はどこだ?」
「あ、ああ。今日は本当に濃い一日だよ…。」
「ベルについていくなら、この程度じゃすまねえぞ。【勇者】。」
「……そうだね。頼もしいよ、本当に。」
やれやれ、これからが心配になってきたよ。
だが、悪いことじゃない。
「ぬおっ!何でお主が…。ああ…あの若造か。」
「何故こうも立て続けに…、頭が痛くなってきた…。」
「いい加減に未知を既知に変えろ、と何回も言っただろうが。それに何だ?7年も経っているのにランクアップもしてないのか。情けないやつらだ。」
「言ってくれるわ…。」
返す言葉もないよ、本当に。
「ファッ!?ザルドはんやんか!あー…ベルたんかー。何でウチらは追い出したんやー!」
「お前らと縁がなかったということだろ。」
「メイたんと同じことを言わんといてやー!ん?ザルドはんが作るんか!?うほー!やったでー!ザルドはんの美味い飯が15年ぶりに食えるでー!」
「ベルに感謝しろよ、でなきゃ手伝わんところだ。」
「そうだな。感謝しても感謝したりないな。ところで、お前とベル・クラネルの関係は…?」
「あいつの父親と同じファミリアというだけさ、アルフィアと違ってな。さて、厨房で久々に本気の料理を作るか。」
「すまないな。…彼への借りがますます増えていくな。」
「ベルは気にしないだろうな。だが、忘れるなよ?」
「ああ、わかっている。そうだな、彼はそういう少年だったな。」
そうだね、彼は僕と違い損得を考えない。
だからこそ、多くの人が惹かれるんだろうな。
あのアイズでも…。
「何であんたがいるのよ!」
「おいおい、おめえらは敗者だぜ?監査役としてあたいが出向いてやったんだ。感謝しろよ。」
「くっ…団長の操は私のものよ!」
「あ?おめえの器はそんなにちっぽけなのか?フィンの横に並ぶなら広くしやがれ!」
「くっ…」
『凄い…ティオネさんが言い負かされています…。』
『ティオネにとって苦手な相手かもねー。』
--------------------------------------
そして、準備が始まった。
と言っても、ほぼ【最強侍従】と【最恐執事】の独壇場だけどね。
「そこのテーブルはこちらです。そしてこの燭台はここに。」
「きびきび動きなさい。ダンジョンでの連携と思いなさい。」
「ひー!あの二人、厳しいよー!しかも…強い。」
「さっきベートさんが反抗したら、あのセバスという人にワンパンでKOされたよ…。」
「今、リーネが膝枕でケアしているけどね。」
「それで、じゃんけんで負けたレナ・タリーがずっとorzしてんのか…。」
ベート…。まあ、いい。
ベートには悪いけど、リーネの強さとなってもらおう。
そして、【暴食】…いやザルドは。
「おい!さっさと皿を取りに来い!遅えぞ!」
「は、はい…!(じゃが丸くんがこんなに……じゅるっ)」
「わ、わかりました!(早いです!それに美味そうです!)」
「わかった!叔父さん、それはあっちだね!」
「おう!」
ミアより凄まじい料理の腕だな。
全く鈍ってない…。
「さて頃合いですね。アキさんは私と一緒に行きましょうか。」
「ラウル殿は私と。」
「「え?」」
「お色直しに決まっているでしょう。結婚式をその格好で?それは私が許しません。」
「せっかくここまでやっているのですから、着替えましょう。」
「「あ、ハイ。」」
お色直しか。そうだな、僕らもしてこようか。
交代でしていけば問題ないだろう。
みんなへ指示しておくか。
「よし…ケーキはこんなものだな…。」
「ザルドはん…こんなキレイででかいケーキを作れたんやな…。しかもバベルの塔の縮小版を。」
「意外だ…。【ゼウス・ファミリア】の【暴食】とあろうものが。」
「うるせえよ。これは俺の趣味みたいなものだ。ああ、これはケーキの切れ端だ。食ってみろ。」
「お、頂戴するわ。…モグモグ…うまっ!」
「む、みんなに悪いな。どれ……ほう。甘味が少ない分旨味があるな。うむ…いくらでも食えそうだな。」
「そうか(これならベルでも大丈夫だろう)。」
…お色直しから帰ってみれば、いつの間にあんなケーキが…。
お店でもやっていけるんじゃないかな?
ケーキでウチの女性陣が注目しているよ…。
そして…。
「全員、礼服またはドレスに着替えましたね?」
「「「はい!」」」
「何で俺まで…。」
「まあまあ、ラウルさんとアキさんのためですから。」
「そうだよ。ベート!」
ホームで皆、この格好で祝うのは初めてじゃないかな?
はい、ザルドさんこと【暴食】の復活です。
戦争遊戯後の翌日に、ベルくんのスキルと愚者によって復活しました!
そして、トリプル宴の料理番を務めました!
いよいよ、次回は結婚式です!
感想・評価をいただけますと、嬉しいです!