「また、それだけではありません。」
「あいつ、どれだけ秘めているんだよ…。勘弁してくれ。」
「坊ちゃまの血を飲んだら、坊ちゃまの眷属になります。ただし、異性だけですが。」
「は?け、眷属?」
「先程言いましたね、神フレイヤが坊ちゃまを愛するがあまりに戦争遊戯を引き起こしたと。」
「ああ、だがベルたちが勝ったんだろ?」
「神フレイヤはどこへ行ったと思います?」
「さあ…オラリオから追放したんじゃないか?ヘスティア様の性格上、送還はしないだろうし。」
「いいえ。今日、【猛者】の横にいた娘、覚えています?」
「ん?ああ、ただの娘だろ?」
「神フレイヤです。」
「………は?ば、馬鹿な…俺の悪食でも引っ掛からなかったのに…。」
「坊ちゃまの血の【白兎眷属】は、坊ちゃまを真に愛する女性だけに発現します。それは神でも例外ではありません。坊ちゃまの血によって神フレイヤは完全に封じられ、ただの娘となりました。」
「……頭が痛くなってきた。あの馬鹿の子が…神を超越するのか。他にもうないよな?」
「今のところはそれで打ち止めですね。レベル6になれば、また分かりませんが。」
「……そ、そうか(ベル……強く生きろよ。美味い飯をたらふく食わせてやるからな)。」
神を眷属に…。しかもフレイヤだぞ?
あいつの想いはどこまで行くんだ?……あの馬鹿の子とはますます思えねえな。
あの馬鹿が生きてたら、「俺にもくれよ!」と言いそうだな。
あいつだけは復活させねえ、ベルの教育に悪い。
やはり惜しいな、【ゼウス・ファミリア】で鍛え育てたかったな。
あの爺だけでなく爺の影響を受けたあいつらも、ベルを可愛がるだろうな。
教育に悪いが、そこは俺と団長が何とかやるだろう。
いかんな、想像したら泣けて来たぜ。
…待てよ。ヘラの眷属の子なら【ヘラ・ファミリア】じゃないか?
…ウチと【ヘラ・ファミリア】でベルを取り合いするだろうな…。
毎回戦争遊戯が起こるのが目にみえているな。
今がベルにとって幸せな時かもしれんな。皮肉なことだ。
ヘスティア様と少しだけ話をしたが、爺やヘラと違い神格がかなり高いということはわかる。神威も結構高いこともな。
…思ったんだが、何で爺はベルを育児放棄したんだ?
あの容姿のベルなら、いくら爺でも放棄はしないと思うんだが…。
「私はクソバカ主神を許せません。」
「(メイが珍しく怒っているな…)何で、爺はベルを育児放棄したんだ?」
「半年前に、神ヘラが正気に返ったからでしょう。」
「今頃か!?……まあ、あのヘラがそうなるのも無理もないな。」
「なので、クソバカ主神は坊ちゃまと自分の身を守るために、わざと死んだふりをするしかなかったでしょう。しかし、それが坊ちゃまの心に深い傷を負わせてしまったのです。【英雄願望】【兎囲女達】【時駆白兎】は坊ちゃまのその傷によって生まれた想いの強さによるものです。」
「……そうか。はぁ、あの糞爺め。他にもやりようがあっただろうに。」
「全くです。」
あの爺め…、メイがここまで怒るのはあまりねえぞ。
メイもベルをかなり溺愛しているようだな。
…魔導人形の使命を考えたらそうなるのは自明の理だな。
「さてっと、大体はこれで聞けたな。俺もかなりの年だがベルの行く末を見るまでは死ねんな。」
「そう簡単に死なれては困りますよ、ザル坊。坊ちゃまのお子様が大きくなるまでは。」
「まだ先だろうが…。解毒剤もあるからすぐに死ぬとは限らんがな。…さっきからずっと気になったのだが、その樽は何だ?」
「おや?わかりませんか?」
「この性質…この違和…この『状態』は……ひぃっ!お、俺は部屋へ戻る!だから、そこをどいてくれ!」
「駄目ですよ。この樽の中身を全て飲みきるまでは。」
「嫌だ!それは絶対にやめろ、と言っただろ!」
「では、貴方の腕が鈍ってないか稽古をしましょうか?貴方が負けたら、この樽の中身を飲みきってもらいますよ?」
「くそがあぁぁぁぁ!」
そして、俺とメイは戦ったが病み上がりである俺はあっさりと地にふせられた。
そのままで特製ドリンクが入った樽を全て飲まされた…。
その後のことは覚えていない。
記憶にあったとしても絶対に思い出したくねえ!
まあ、そのおかげで大体は回復できたのはよかったが、二度と飲みたくねえ。
…ベルはあの特製ドリンクを毎日飲んでいるのか…。
強く生きろよ…。
ザルドさん、ベルのさらなる秘密を知って呆れています。
そして、ゼウスに対してあまりいい感情を持っていませんね、まあ当然のことですが。
メイによってけちょんけちょんにされ、特製ドリンクを樽ごと飲まされました。
哀れです。ザルドさん…。
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