白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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久々のお義母さん回です!
アイズが殴り込んできた後…。


第254話 静寂、事実。

目の前に、ベルの憧憬相手が正座している。

当然だな、ノックもせずに飛び込んできたからな。

 

そして、年増ハイエルフが激昂している。

あまりカッカすると、血管が切れるぞ。

「これが!ロキの吹き込んだ結果だ!わかるか!それを聞くたびにロキを送還しようと何度か思ったことか!」

「まあ、落ち着け。それならお前がつきっきりで教えばよかろうに。」

「…私は副団長だ。この子を教える以外に多くやることがある。その合間にロキがいらんことをこの子へ教えるんだ!」

……ハズレの主神を持つと苦労するな。

まあ、それは私達もだな。

本当にベルは当たりの大当たりの神を引いたな。

…グータラなのが玉に瑕だが。

 

まあ、いい。

仕方がない、ここは年増ハイエルフに味方するか。

「…はぁ。(ギロリ)おい、野生児。」

「ひっ…あの…私は野生児ではありません…。」

「黙れ。聞いていいことと悪いことの判断がつかないやつは、野生児でも上等だ。」

「第一、それがおかしいことに何故気づかんのだ…。」

「でも…ロキが。」「誰が口を聞いていいと言った?黙れ。」

「はい…。」

あの無乳神の言う事を信じすぎだ、馬鹿が。

ベルはこいつのどこを気に入ったのだ?

理解できん…。

 

「無乳はともかく、周りの奴らは何をしているのだ?【勇者】と【重傑】は。」

「あいつらは口を挟むが、止めようとはしない!」

「環境が悪いとこうなるのか…。」

「環境が悪いというなら、あの少年もだろう。何故、あんなに礼儀正しく純粋無垢なのだ?悪い環境そのものだろう、あの大神は。」

「それは深く同意する。」

全くだ。あの狒々爺、絶対に吹き飛ばしてやる。

 

「それは恐らく英雄譚のおかげでしょうな。」

「ふむ?英雄譚?」

「ああ…あの狒々爺は神時代に入る前から古代そのものをずっと見てきたからな。それを物語にしたのだろう。生きる本というやつだな、余計なものもあるが。」

「あの少年は英雄譚が好きなのか?」

「はい、全ての英雄譚を暗記しておられます。今の英雄譚は色々と脚色されていますが、坊ちゃまは原典よりさらに濃い内容、真の英雄譚をご存知です。」

「ほう……全部暗記しているとはすごいな(是非話し合ってみたいものだ)。」

「そうだろう、そうだろう。」

うむうむ、さすが私の義息子だな。

 

「いわば、坊ちゃまは英雄譚の中の英雄によって教えられて育ってきたのです。」

「なるほど…。故きを知ってそれを自分のものにしたということか。いいお手本だな。」

「ですが、やはりクソエロ爺が吹き込んだことにより耳年増なことも知っております。それも初心ですが。」

「まあ男性だから仕方がないが、初心なのか…。」

「何が悪い?」

「いや、あの大神によって育てられたのに何故初心なのかと思ったのだ。」

「……そうだな。何故だ?セバス。」

英雄譚を読みまくったとしても、女性関係まではわからないはずだ。

何故、この野生児のように鵜呑みにせず常識もわきまえたいい子に育ったのだ?

 

「それも英雄譚でございましょう。英雄譚の中に女性関係などそのまま載っているのもありましたからな。それはよくないと英雄譚の英雄に教えられたのでしょう。」

「なるほど…まさに英雄譚の英雄によって正しき道へ導かれたということか。」

物語の英雄たちに感謝せねばならんな。

狒々爺に知識を埋め込まれたとしても、妹を孕ませた男のようにならなくてよかった。

なったら…矯正せねばならなかったな。

 

「…ずるい。」

「何がずるいだ?お前も読めばよかろう。」

「…意味がない。あの本に書いてあるのは全部嘘…。」

「今の英雄譚は色々と脚色されていますからね。」

「ベルは…本当の英雄譚を知っているの?」

「そうでございます。クソエロ爺が書いた本は真実ですからね。そして、貴女が大英雄アルバートと関係があるということを疑っております。」

「「「!!」」」

何だと?

この野生児が…大英雄アルバートと関係あるのか?

 

「…何故だ?何故、気がついたのだ?」

「『挽歌祭』の時、貴女は大英雄アルバートの墓へ花を供えましたね?その時でございます。」

「え?あの時の?でもあれだけで…。」

「ええ。ですが、あの時に貴女の名前と大英雄アルバートが結びついたのです。」

「私の…名前?」

「坊ちゃまは大英雄アルバートの本当の名前を知っておられます。『傭兵王ヴァルトシュテイン』は貴女の父君ですね?」

「!!」

傭兵王ヴァルトシュティン?

大英雄アルバートではなかったのか?

 

「ヴァルトシュティンをもじって、ヴァレンシュタインにされましたね?」

「なるほど…ベルがそれを知ってもおかしくはないということか。」

「はい。更に言うなら、坊ちゃまはヴァルトシュティン殿と大精霊アリアの間に子供がいたということもご存知です。今の段階では子孫と考えているようですが、時間の問題でしょう。その子が貴女であることを。」

「………。」

何だと!?

こいつが…大英雄アルバートと大精霊アリアの実娘だと!?

精霊は子供を産めなかったのではなかったのか?

 

「怖いのですか?坊ちゃまがそれを知った上で貴女を見る目が変わるのが。」

「は…い。」

「ふん。その程度でベルの器を測ったつもりか?だからお前は野生児なのだ。」

「……どういうことでしょうか?」

ベルの何を見てきたのだ、お前は。




アイズが大英雄アルバートの実娘であることを知りました。
ですが、お義母さんにとってはそんなのベルに比べれば些細な問題のようです。

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