ベルの器がよくわかってないアイズを叱責中です。
……他の奴にした方がよさそうだな。
だが、ベルはこいつを…ちっ!
「ベルはあの異端児を家族同然に思っているのだぞ?貴様が1000歳のババアだろうが、モンスターだろうがそう簡単に変わるわけないだろう、馬鹿が。」
「ババアではありません…。私はまだ16歳です。」
「例えの話だ、野生児。それに…ベルは大犯罪者の私の罪を共に背負うといってくれたのだぞ?」
「な…。」
「そこまでの器なのか…あの少年は。」
そうだ。ベルは優しいだけではない。
全てを救うという…『偽善』を堂々と言い張る子だ。
「それを知った私はあの子の器に打ち震えたよ。そしてあの子のために私は全てを賭ける、と決めたのだ。貴様が大英雄と大精霊の子と知っても、変わらんだろう。」
「……ああ、そうだな(なるほど、例のスキルが強まるだけだろうな)。」
「え?何でリヴェリアにわかるの?ベルとそんなに話したことないのに?」
「では聞くが、お前の知っているベル・クラネルはそんな少年か?」
「……違う。ベルはそんな子じゃない。」
「では、何故恐れるのだ?」
「………。」
こいつは何を怖がっているのだ?
「なるほど、今までの関係が変わるのが怖いのですな?」
「!!(な、何で…わかるの!?)」
『私が思っていたより、あの少年にかなり食い込んでいるのがわかるな…。』
『だったら、少しは教養と考える能力を身につけろ。エイナの方が何百倍もマシだ。』
『エイナが?まあ、あいつなら納得するな。しかし、エイナを育てたアイナは凄いな。本人は破天荒な性格だというのに…。』
エイナはいいお手本だ。ベルを立ててフォローしてくれている。
ただ甘やかすだけでなく、ちゃんと叱る。
私はエイナを薦めたいな。
「アイズ嬢、そのままでいたいなら構いません。ですが、周りは待ってくれませんよ?」
「どういう…ことですか?」
「ここで暮らしている内にすぐわかりますよ。」
「???」
ああ…そうだったな。
だが、この野生児にわかるのだろうか?
『おい、どういうことだ?』
『…ベルのスキル『兎囲女達』は知っているか?』
『ああ。おい…まさか。』
『勘違いするな、あの子はまだ未精通だ。だが、ここや周りにいる女共のほとんどはベルを慕っている。いつでも関係に進んでもいいようにな。……私は認めたくはないが、言う資格がない。』
そうだ…私は7年前、あの子を捨てて終末の時計を遅らせることを選んだのだ。
本来なら私はあの子に会う資格も見る資格もないのだ。
だが…ベルは7年前に来て私を救い、この時代へ連れてきた。
それは受け止めなければならない、ベルのために生きることを。
『信じられん…あの大神の元に14年間もいるのにまだ未精通だったのか…。それは、まあ後で考えるとして、一体何人いるのだ。』
『知るか、5人から先は知らん、知りたくもない。』
『5人以上!?あ…【最強侍従】が言ったのは事実だったのか…。』
『あのメイドが何を言ったのだ?』
『10人でも100人でも余裕持って囲むのが英雄の条件だと。』
『あのメイド…何を教えているのだ。』
メイとセバスはベルの強化に力を注ぎすぎだ。
スキルの強化だからといって、ハーレムを作ることはなかろうに。
はぁ…。
『だが…、そうでもしなければあの娘たちが報われない。仕方がないだろう。』
『くそっ!7年前…いやゼウスと争ってあの子を引き取るべきだった!』
『今更だろう…。』
『五月蝿い。』
お前までもそう言うのか。
…ベルはこいつを想っているのはわかった。
だが、こいつはベルのことをどう思っているのだ?
聞いてみるか。
「おい、野生児。お前はベルのことをどう思っているのだ?」
「えっと…ペット?」
「よし、死ね。」
ここでやるより、ダンジョンの深層へ連れて行って嬲り殺すか。
ベルには事故と言っておこう。
悲しみはエイナたちが埋めてくれるだろう。
うむ、完璧な計画だ。
「ま、待ってくれ!アルフィア!この子はあまりの天然だから、よくわかっていないのだ!」
「うちの義息子をペットだと?万死に値するぞ!」
「気持ちはよくわかる!が、この子はその気持ちを本当に理解してないのだ!」
「野生児だからか。」「……そうだ。」
…よくよく考えれば、7年前よりはかなりマシになっているな。
こいつがかなり教えたのは理解できる。
仕方がない、こいつに免じて許してやろう。
「リヴェリア…ひどい。私は野生児じゃないのに。」
「ほう、お前がダンジョンやじゃが丸くん以外に興味あることは何だ?言ってみろ。」
「…ベル?」
「ほらな。だから、こいつは理解してないのだ。」
礼儀や作法を知ってたとしても、中身は全くの子供…いやそれ以下か。
苦労しているな、こいつは。
「リヴェリア嬢。アイズ嬢は私共におまかせいただけませんかな?」
「……先程、この子を頼むと言ったのだ。二言はない。」
「セバス、お前はこの野生児をどうにかできるのか?」
この年増ハイエルフが手間かけて育てた結果がコレだぞ?
いくら、セバスでも…。
「はい、お嬢様。元ファミリアの団長と比べれば、まだ可愛いものです。」
「…そうだな。」
「…確かにそれは言える。あの【女帝】と比べるのもどうかと思うが。」
「???」
あの団長と比べれば、この野生児は赤子の手をひねるより簡単だろうな。
あの傲慢な女は後にも先にも出てこないだろう。
お義母さんとしては、アイズは最下位に近い位置となりましたね。
まあ、才媛であるエイナと比べれば…
【ヘラ・ファミリア】団長の【女帝】と比べれば、アイズは簡単でしょうね。
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