白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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はい、今回は正義の神 アストレア様です。

「登場してすぐは贔屓じゃない?」というツッコミがあると思いますが、時間の流れで書いたほうがいいかと思いました。
アストレア様の心境を書いてみました。

当初は1000文字ぐらいでしたが、またノリが乗ってしまい、あれよあれよという内に2500文字前になってしまいました…。
ノリって…恐ろしい。


第25話 正義神、追想。

リューに会えて嬉しかった。

リューが正義を取り戻してくれて嬉しかった。

そして…、リューが恋をしてくれて嬉しかった。

 

セシルと揉めるかと思ったけど、コイバナで解消できそうね。

うまくやれそうだわ。よかった。

でも、リューの彼氏?が気になるわね。

 

………時間があったら、あの子のところへ行って眷属に入れようかと思ったけど、しばらく先になりそうね。

 

5年前、リューを除くあの娘たちが全滅した私は表面上冷静だったけど、内心はズダボロだった。そしてリューが『復讐』に堕ちるのを分かっていても、あの娘を止めることはできなかった。

止めたらリューは間違いなく立ち直れなくなり、冒険者として…いえエルフとしてでも生きていくことができなかったでしょう。そして、遠くない日に自決してたでしょう。

ええ、私はそう確信している。

リューを生かさなければならない。

そのため、自分の司る真理『正義』を曲げてあの娘に『正義』を捨てさせるしかなかった。

あの娘の『復讐』に自分を入れて、その罪を分けてもらうために。

 

そして、オラリオを出た私は自分と同じ境遇に遭ったあの大神の元へ行った。

自分の眷属をほぼ失ってしまった後はどうしたらいいのか?とアドバイスをもらいに。

本当はあのセクハラ爺のところへ行きたくなかった。本当に。マジで。

 

そして私は大神…ゼウスに会った。

そしたらあの子がいた。あの白い、兎のような子に。

真っ白だった。

あの子と話をし一緒にいるだけで、私は笑顔を取り戻し私の荒んだ心を癒やしてくれた。

 

もっと一緒にいたいがため、セクハラ爺を誘って谷底へ落とした。

てへっ☆

 

あの子には「お祖父さんはしばらく旅へ出ている」と嘘を言って、しばらくあの子と二人きりで過ごした。

一緒にいて楽しかった。私のために色々としてくれて嬉しかった。

あの子は恥ずかしがっていたけど…、私はあの子が大変愛おしかった。

 

…けど、それも2ヶ月程だった。

あのセクハラ爺が土産と共に帰ってきた。

……忌々しい。さすが、ヘラに幾度かやられても復活するだけはあるわね。

谷底へ突き落とされて何で生きてられるの?

どうして五体満足で悠々と帰ってこられるの?

下界に降りる時、何かズルしてないでしょうね?

 

あのセクハラ爺と一緒にいると、貞操が危なくなるし旅へ出る決心をした。

あの子を眷属として一緒に連れて行きたかったけど、あのセクハラ爺の方に懐いているようでやむを得なかった。

 

…それにあの子には負い目がある。

セクハラ爺にあの子のことを聞いた時、私は泣き、激怒した。

 

何故、あの子のところへ彼らを呼んでやらなかったのか。

何故、あの子が寂しい思いをしてることを彼らへ伝えてやらなかったのか。

特に【静寂】のアルフィアには!

 

あのつらく悲しい戦いが起こった原因は、エレボスではない。

ゼウス!全て貴方のせいではないのか!

【暴食】、ザルドの主神である貴方が!

 

ゼウスは黙って、それらを聞いていた。

「他人に意志を委ねるな。精霊だろうが神々であろうが同じだ。あいつらの物語だ。」

そう言われた時、私は何も言えなかった。

正にそうだった。

 

しばらく旅をして、自分を見つめ直そう。

アリーゼ達の安らかな眠り…無事に転生していることを祈ろう。

リューの無事を祈ろう。

 

そうして私は旅へ出た。

そしてセシルと出会い、色々あって眷属にした。

セシルにお願いした武器もあるし、しばらくはゆっくりしていた。

 

ヘルメスから手紙があり、リューが予想通り『復讐』を実行していた。

疑わしきものを罰し、多くの闇派閥を滅ぼし、邪神を追い詰めていた。

【ロキ・ファミリア】や【フレイヤ・ファミリア】、【ガネーシャ・ファミリア】はリューがやっていたことを知っていたが、黙認していた。

自分たちが手出せないことを、リューが代わりにやってもらっているからだ。

しかし、エルフの王族である【九魔姫】はリューに加勢しようとし、多くの人に止められたそうだ。【勇者】や【重傑】が大怪我を負う程の怒りだったとのこと。

【剣姫】のこともあり断腸の思いで、断念せざるを得なかったそうだ。

…………ロキはその影響で危うく天界へ送還されそうになったらしい。

 

多くのファミリアは、助けも妨害もしなかった。

ただ、リューのことを知っている者は陰ながら援助はしていたようだ。

特に、【ヘルメス・ファミリア】のアスフィ・アル・アンドロメダと【ガネーシャ・ファミリア】のシャクティ・ヴァルマは。

本当に、彼女たちの助けはありがたかった。

 

そうしてしばらくしてる内に、ヘルメスからの手紙があった。

『暗黒期』がリューの手によって終わった、と。

思わず手紙を落とし、倒れそうになりセシルに支えられた。

リューが死んだと思った。けど、恩恵は生きている。

リューの生存を、毎日毎日祈り続けるしかなかった。

神だけど。

 

またしばらくしている内、ヘルメスの手紙と共にリューの手紙があった。

嬉しかった。生きてくれて嬉しかった。

手紙の文字の癖は覚えている。リューは生きている。

立ち止まっている、と手紙に書いていたけど、私はこう書いて送った。

「悩みなさい。今はそれでいい。後悔も悲しみも、全てを手放さず、旅を続けなさい。」と。

あの娘は少しずつだけど、前へ進み始めている。

何かのきっかけがあれば、『正義』を見つけられる。

私はそう信じている。

 

そして、あの娘、リューは先日私の前に現れた。

アリーゼたちがいた時より、目に意志がこもっていた。

アリーゼたちがいた時より、目に正義がこもっていた。

嬉しかった…。

 

リューのステータス更新でランクアップしていた。

ステータスを見ればリューが恋していることが明白だった。

リューの反応も初々しかった。

アリーゼたちがいたら、終始からっていたでしょうね。

 

リューがこんなに焦るということは、その彼氏に何かあったということね。

でも、その彼氏に会って私の目で見定めないとね。

リューに相応しいかどうか。

リューと共に支え合っていけるかどうか。

 

そういえば…、セクハラ爺と一緒にいる、あの子は元気かしら?

余計なことを吹き込まれて、セクハラ爺に染められていないかしら?

本当に心配だわ…。

 

リューの件が終わったら、あの子を眷属にするため迎えに行こう。

寂しがって、泣いていないといいけれど。

待っててね。

 

ベル。




アストレアは、リューによってオラリオを出て向かったところはゼウスで、その時に当時9歳のベルと会ったという設定にしています。

この25話は私のお気に入りです。

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