闘技場を抜けたら…。
ベルはもう大丈夫ですね。
二ヶ月前に苦戦したというのに…早いですね。
「…このペースなら2日あれば帰れるな。」
「…あの通路がなければもっとかかってただろうな。…あの時にあの通路があれば…。」
「やめろ、アレン。たらればを言えばキリがない。」
「うるせえ!わかっている!」
「に、兄様!あまり大声出すとモンスターが‥。ウニャー!スパルトイがうじゃうじゃ出たニャー!」
…【女神の戦車】、いい加減にしてください。
まあ、気持ちはわからなくもないです。
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そろそろですか…。
「まもなく、目的地です。」
「あ、ルゥさん。あの明かりではないですか?」
「ええ、そうですね。」
やはりだ…、あの明かりは本来の魔石灯の明かりではない。
ダンジョン特有なのでしょうか…?
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私達が装備を剥がし、丁重に弔ったままですね…。
「…荒らされていませんね。」
それが妙です。既に一ヶ月以上たっているんです。
とっくにダンジョンに飲み込まれているか、モンスターによって食い荒らされているはず。
なのに…このルームにはモンスターも通った後がない…。
手前まで行って避けている足跡が目立ちます。
「彼らが…僕たちを助けてくれた方です。」
「綺麗にされているな…。確かに、モンスターにもダンジョンにも取り込まれていない…。」
「…さっさとこいつらを回収するぞ。おい!愚図!」
「は、はいニャ…。………済まないニャ…。帰ろうニャ…みんな。」
アーニャ…。
カッ!
魔石灯がいきなり輝いた!?
「なっ!魔石灯がいきなり輝いただと!」
「ちっ!罠か!?」
「やはり、あれは普通の魔石灯ではない!皆さん!下がりましょう!」
「な、何が来るんですか!?……え?」
「ニャ!……お、おミャーら…。」
な…幻…?人型の…?
『お久しぶりです…団長、アレンさん。』
『アーニャ…来てくれたのね。待ちくたびれたわよ…。』
『フレイヤ様は…元気でしょうか?』
しゃ、喋った…!?
団長…アレンさん?
それに…、フレイヤ様…?
この方々は…まさか!?
「こ、この人達は…?」
「馬鹿な…こんなことが。」
【猛者】は知っているのですか?
「彼らは…誰ですか?」
「……死んだはずの…俺らの、アーニャの仲間だ…。」
なっ…!?
馬鹿な…幽霊!?
『…そこの2人…私達を丁重にしてくれてありがとう…。』
『装備とポーションは役立ったかな?…お腹くださなかった?』
『生きてくれてよかったぜ。』
「あ、はい。あの時はありがとうございます(ペコッ)。」
「何故、普通に会話できてるのですか…。ベル。」
ベル…貴方は大物ですよ。
異端児だけでなく、幽霊までも…。
……そういえば、メイさんとセバスさんは常に言ってましたね。
『未知を既知へ変えろ』…と。
「お、おミャーら…。ミャーは…ミャーは…。」
『アーニャ…あれは君のせいじゃない。』
『そうよ、私達の不注意よ。』
『あの時、ペルーダの毒に既にやられていた。いずれにしろ、手遅れだったんだ。』
「やはり、そうだったのですか。」
「ペルーダの毒か…それは助からないだろうな。」
彼らの持ち物には解毒剤がなかったはずです。
いずれにしろ、死んでいたでしょう…。
「ごめんなさいニャ!…ミャーが無理矢理言わなきゃ…。」
『アーニャ…もう謝るな。』
『アーニャちゃんは随分苦しんだのね…見たら分かるわ…。』
『お前のせいでも、アレンさんのせいでもないんだ…むしろあんたたちが生きてくれてよかったぜ…。』
「てめえら…。」
これは私達が口を挟む状況ではありませんね。
アーニャと【女神の戦車】の問題です。
『もう…時間だ。』
『悪いけど…私達の遺骨を…ダイダロス通りの』
『マ…リア…母さんへ…渡して…ほし…い』
「マリア…?マリアさんを知っているんですか!あなた達は、まさか孤児院の…!」
マリア母さん…?
ベルは何か知っているようですが…。
「ま、待つニャ!ミャーは…ミャーは!うあああああああっ!」
アーニャ…。
その気持はわかります。私もアリーゼたちを失った時もそうでした。
しかし、アーニャは死んだはずの彼らの幽霊に会えました。
私はベルが連れてきたアリーゼたちが復活し、会うことができた…。
いずれにしろ、ベルがいなければありえなかったでしょうね。
「消えたか…。」
「魔石灯は…光らない。魔石灯に彼らの魂が宿っていたのですか…10年も。」
10年も魔石灯に宿り、モンスターを近づけさせずダンジョンから守っていたのですか…。
誰か来るのを待ち続けるために…。
彼らを見つけたのが、ワームウェールによって連れてこられた私とベルだったのは、妙な縁ですね。
「ダンジョンに取り込まれていなかったのは…そのせいか。見事だ…!」
「…アーニャさん。彼らを持ち帰りましょう。マリア母さんに…孤児院のみなさんへ返しましょう。」
「…グスッ…グスッ……。わかったニャ…。」
「手伝いますよ、「不要ニャ…これはミャーがやらなければならないニャ…」分かりました。ベル、私達は周辺を見張りましょう。」
「俺も見張ろう…。アレン、アーニャ、頼むぞ。」
「…さっさとしろ、愚図。」
「わかったニャ…。」
魔石灯が消えた今、モンスターが近づいてくる気配を感じます。
アーニャが回収する間は邪魔させません!
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アーニャが丁重に弔い、【女神の戦車】と2人で遺骨を抱えています。
この2人は戦闘できませんね。
「俺と愚図はこいつらを抱え込むから、モンスターへの迎撃は任せるぞ。」
「分かりました!ようやく深層に慣れてきました!」
「ベル、行くぞ!」「はい!」
「殿は私が努めます!アーニャたちは走ることに専念して下さい!」
「わかったニャ!何が何でも持ち帰るニャ!」
行きよりスムーズでしたので、セーフティエリアへ早く着けました。
闘技場は【猛者】が壁を破壊したため、モンスターが出ませんでした。
「闘技場の下のセーフティエリアに何とか着きましたね。」
「ああ、かなりのハイペースだ。…それにこの場所があったのか。使えるな。」
「おい、脳筋。それは後にしろ。」
……この場所を利用して、特訓ですか。
まあ、気持ちはわかります。
「ウ、ウニャー…。さ、さすがに速いニャー…。ミャーは…少し寝るニャ…。」
「そうですね。ここで一休み………。」
「どうしました?ルゥさん?…あっ!」
「……何を赤面してんだ?てめえら…。」
「「ななな、何でもありません!」」
「……そうか。少し寝るぞ…。」
……あの時を思い出すと、顔が熱くなります。
ベルも覚えているようですね。
……お互い、顔を見れません…。
一休みした後、向かいましたが。
【猛者】が『巨蒼の滝』を駆け上ると言ってます。
無茶苦茶を言うなと言いましたが、ベルが乗り気でした。
…仕方がありません。
「このペースなら、今日一日で帰れるな。」
「あんなに苦労した下層を一気に…。」
「滝を駆け上るなんて!ふざけるニャー!」
「いいから、さっさと駆け上りやがれ!」
…何とか登り切れました…。
ベルが先着で、【猛者】が2着でした。
…私達は上り切ることで精一杯でした。
アーニャは途中で【女神の戦車】に抱えられました。
「ふぅ…なかなか実りがあったな。」
「はい!オッタルさん!」
「はぁ…はぁ…。」
「ミャーは…限界ニャけど、…こ、孤児院まで頑張るニャ。」
「化け物共が…。…?…こんな朝早くに誰かいるぞ?」
あれは…!
「…メイさんの計算通りですね。」
「どこまで計算しているのですか…あの人は。」
「本当だよ…たった2日で深層を…。」
シノス…ルーゼ…ヘスティア様?
魔導灯が10年も続くわけがないと思います。
現代のLED灯でない限り。
なので、彼らの魂が魔導灯に宿り待ち続けた、と本作品はそう設定させていただきます。
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