白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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シノス回です。
深層から帰って来た彼らを待ち、これからすることは…?

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ダンメモの異端児転生をやりましたが。
かなり面白いですね!
特にアルルが。
レフィーヤの衣装についてのアルルのコメントが最高だったですね。


第292回 街娘、準備。

こんなに早く来るなんて…。

「あれ?神様…どうしてここに?」

「メイくんがそろそろ来る頃だと言ってたよ!」

「まさか36階層をたった2日で…。」

「…早いのはいいことだけど…。」

ベルとオッタルがいれば早くなると思ったけど、たったの2日で?

オッタルはともかく、ベルは冒険者になって半年すぎよ…。

 

「…彼らの遺骨を回収してきました。」

「…孤児院へ持っていかないとニャ…。」

孤児院…どうしてアーニャが知っているの?

いえ、それは後にしましょう。

 

「待って、アーニャ。その前に【デメテル・ファミリア】ホームへ寄りましょう。」

「何故、【デメテル・ファミリア】ですか?」

「行けばわかりますよ。」

ええ、この子たちへの餞として。

私の…フレイヤとしての責任として。

 

「もう来たのかい…。早くないかねえ。」

「あらあら、早いわね。みんな、用意はできている?」

「「「はい!デメテル様!」」」

「アーニャ…あの子達の遺骨を出してこの中に。」

「これは…棺桶?しかも花いっぱい…。」

「せめて形でもこう送りたいの。孤児院へ持っていくにしてもそのままでは…ね。」

「…感謝します。」

これだけでも足りないわよ。

本当はもっと豪華にしたかったけど、ミアが「やり過ぎだよ!バカ女神が!」と怒られたわ。

 

ダンジョンにもモンスターにも取り込まれていなかったのね。

骨がきれいだわ…。

「……骨がきれいに残っているねえ。モンスターに食い荒らされなかったのかい?」

「モンスターどころか、彼らがいた部屋そのものがきれいでした。」

「……どういうことなの?」

「後で説明します、シノス。あり得ないことが本当に起こりました…。」

???

あり得ないことって…何が起こったの?

 

形だけは何とかなったわね。

そろそろ行きましょうか。

「さて、行くかね。オッタルとアタシ、アレンはアーニャ、坊主とルゥで担いで行くよ。」

「「「はい!」」」

「私とルーゼ、ヘスティア様も同行します。」

 

朝早くだけど、マリアは起きているはず。

ほら、孤児院前を掃除しているわ。

…相変わらず真面目ね、マリアは。

「あら、ヘスティア様?……シルさん?」

「やあ、おはよう!マリアくん。」

「どうしました?こんな朝早くに……ミア…元団長。」

「「団長!?」」

「アタシはもう脱退したんだよ、アンタと同じさ。マリア。」

「お久しぶりです…マリアさん。」

ええ、そうよ。

マリアは、ミアと一緒に私の…【フレイヤ・ファミリア】を切り盛りしてくれたわ。

大雑把なミアを補佐してくれる真面目な子だったわ。

 

「はい…ベルさん。私は元【フレイヤ・ファミリア】マリアです…。どうしたんですか?貴女とオッタルが自らここへ来るなんて珍しいじゃないですか?」

「コイツらのケジメさ…。」

「ケジメ…?その3つの棺桶は…まさか。」

ええ…貴女が特に可愛がっていた子たちよ。

私のファミリアへ入ることに最後まで反対していたわ。

 

私も何度も確認したけど、強い意志だったから、仕方がなかったわ。

他のファミリアへ行かせて不幸な目に合わせるよりは、まだマシだと思ったからよ。

 

「そう…あの子達の…。」

「この度は本当に申し訳ありませんでした…。俺の責任です。」

「違うニャ!兄様、ミャーの責任ニャ!「黙ってろ!」」

「…ダンジョンは自己責任。なので、貴方たちの責任ではありません。それは元冒険者である私がよくわかっています。…10年も経っているのに何故遺骨が残っているのですか?何故あの子たちとわかったのですか?」

そうよね、そう思うのが普通よね。

元冒険者であるマリアなら疑問に思うはず。

「はい、実は…。」

ベルは、深層へ落ち彼らの装備品のおかげで助かったことや遺書について話してくれたわ。

 

「そうでしたか…。ベルさん達の命を救ったのがあの子達の装備品でしたか。それにこの遺書も…。」

「ところで、ルゥ。さっき何か言いそびれたじゃないか。言いな。」

「信じられないと思いますが、私達は確かに見ました。実は…。」

え?そんなことが…。

魂が魔石灯に宿って…自分たちの遺骨を守っていた…?

捜索に行かなかったのがますます悔やまれるわね。

 

「何だって…あり得ない。10年もダンジョンに留まっていたというのかい…。」

「そう…魔石灯に魂を宿してずっと待ち続けていたのですね…。」

……不覚だわ。

彼らを探しにいくようにと言わなかった私の責任ね。

 

「……馬鹿な子達。だから、私は冒険者にならないでと言ったのに…。」

マリア…、ごめんなさい。

「マリアさん……。」

「……すみません。この子たちの遺族を呼んできますのでお待ち下さい。」

…あの子達ね。

 

「マリアさんが元【フレイヤ・ファミリア】だったなんて…。」

「色々あってね…。アタシもマリアもコイツに辟易してたさ。」

!?

ミアはともかく、マリアは違うじゃない!

修正を!修正を求めるわ!

「ミア母さーん!ひどいですよー!」

「事実じゃないか。」

 

「あー!兄ちゃんだー!」

「ベル…兄ちゃん。」

「お兄ちゃん!」

「ライ!フィナ!ルゥ!…まさか、この人たちの…。」

ええ…この子たちの縁者よ。

 

「ライ…フィナ…ルゥ…貴方たちの義兄姉が帰ってきました。」

「「「!」」」

「この方たちが、深層から回収してくれました。」

本当によく回収してくれたわ。

ベルとルゥが深層へ落ち、その先に彼らがいたのは縁を感じるわね。

 

「……兄貴…。」

「……お姉ちゃん…。」

「……骨だけ。」

「ごめんなさいニャ!ミャーのせいで…。」

「おい!愚図!てめえのせいじゃねえと言ってるだろ!俺の責任だ!」

……アーニャはここへ来なかったけど、アレンはマリアへ謝りに来ていたわ。

あのアレンがマリアの前で土下座して詫びていたわ。

マリアはもちろん許したけどね、内心は別にして。

 

「……俺たちはあんたたちを憎んじゃいない…。ダンジョンは自己責任とわかっていたから。」

「…持って帰ってくれただけで感謝しています!」

「…ありがとう。」

「!!!……ありがとうはこっちニャ……ヒック。」

「泣くんじゃねえ!愚図が…。」

ようやく…アレンもアーニャも一区切りついたわね。

せめて【フレイヤ・ファミリア】が健在の時にしておきたかったわ。

 

いえ…今でよかったかもしれないわ。

以前の私なら「そう」で終わりだもの。




マリアは夫が冒険者ということから、夫は【フレイヤ・ファミリア】元副団長です。
なのでマリアも【フレイヤ・ファミリア】団員です。
フレイヤへ狂信的でない方々の一人です。
…と本作品ではそうさせていただきます。

孤児院へ彼らの遺骨をようやく返せました。
孤児院で、ライとフィナとルゥを特に可愛がっていたと、本作品ではそうさせていただきます。

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