そしてはアレスは…。
どうなっているのだ!
数百年も治めた国に…こいつらに裏切られるとは!
「き、貴様ら!」
「姉上…貴女までもですか。」
「マリウス、貴方のせいではありません。そこの愚神のせいです。」
「な、何だと!」
なっ!長年可愛がっていたのに…。
くそっ!誰だ!誑かした神は!
許さんぞ!
「母上…父上を討つのはやりすぎではないですか?」
「マリウス、仕方がないのです。愚神の言うがままになっていたあの人が悪いのです。」
「お祖母様…。」
「マリウス…王位継承権を第一王女へ譲りなさい。」
「なっ!駄目だ…モゴモゴ…。」
おのれ!長年面倒をみてやったというのに…!
「愚神は黙ってくださいませ。」
「マリウス、貴方に愚神の世話という大変な苦労をおかけしましたね。もういいのですよ。」
「母上…。」
「念願のオラリオの冒険者になりたいのでしょう?」
「…!…!(駄目だ!この裏切り者共が!)」
愚神愚神と言うな!
マリウス!諦めるな!
「…わかりました。せめて、何故このようなことをしたのかを話してくれませんか?」
「別室でお話します。誰かおるか!そこの愚神共を玉座の間にいるあの方のところへ。」
「はっ!来い!愚神共!」
「ひひひっ、俺とこいつを一緒にしないでくれるか~?」
「…!…!(おのれ!許さんぞ!)」
おのれ!いつか挽回してやるからな!
ラキアは、私の国だ!
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私とイケロスは拘束され、目隠しされたままで玉座の間まで連行された。
くそっ!こんなことをされるのは天界でもヘラの折檻以外、なかったぞ!
屈辱だ!
「お連れいたしました。」
「入れ。」
「目隠ししなくてもいいじゃんかよ~。」
「…!…!(この縄を解け!許さんぞ!)」
「………」
「はっ!ここへ置け。我らはこれにて退室します。」
「………」
誰だ!私の国を…ラキアを陥れた神は!
「かしこまりました。では失礼します。」
「ぷはっ!誰だ!」
「ひひひ、アレスの神威を抑えるなんてよ~。それに面白いことしてくれたのは誰なんだ~。」
顔を見てやろう!
…え?
「私だ。久しぶりだな、アレス、イケロス。」
「「……………。」」
「どうした?感動のあまりで声も出せぬのか?」
「「ヘ、ヘ、ヘラぁぁぁぁぁっ!?」」
馬鹿な!何故何故何故、ヘラがここにいるのだぁぁぁぁっ!
はっ!これはチャンスだ!
かつて最恐の【ヘラ・ファミリア】を味方につけるための!
よし!私の話を聞けば、ヘラもわかってくれるはずだ!
「ヘラ!聞いてくれ!【白兎の脚】の愚行を!」
「ほう。」
「ば、馬鹿!やめろ!アレス!」
「神友よ!止めるな!ヘラならわかってくれるはずだ!」
「お、おまっ!忘れたのか!」
私に任せろ!
ラキアも、クロッゾも私の手に戻るのだ!
「あの兎はアルミラージから生まれたヤツに違いない!アルミラージとどこかの醜女が交わり、生まれた子に違いない!」
「………。」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!」
「だから、卑しい心だからこそ【異端児】という汚らわしいものを匿うのだ!庇ったヘスティアも同罪だ!邪神そのものだ!」
「………。」
「(馬鹿アレスぅぅぅ!俺は逃げるぞ!手足縛られているが窓まで逃げて飛び降りて、天界へ逃げよう!)」
「【猛者】に勝ったのも何か反則をしたに違いない!ヘスティアが反則して勝たせたのだろう!」
「………。」
あの戦争遊戯はあり得ない!
レベル5がレベル8に勝てるわけがないのだ!
…あの猫人の歌に気絶させられたままで終わっていた、とは言えない…。
「(よし、ここまで…なっ!窓全部が塞がれている!扉は…ノブが壊されている…。に、逃げられない…。)」
「あの兎を捕らえて、髪ごと顔の皮を剥がして吊るしてくれようぞ!ヘラ、手伝ってくれ!貴女の得意技だろう!」
「………。」
「所詮、母親は醜女だろうさ!せめてものの情けで火あぶりにしてやろうではないか!」
「………。」
「(これ以上刺激するなぁぁぁぁ!!!)」
「あ、クロッゾは私にくれ。有効に使ってやる!他はラキアの奴隷として使ってやろう!」
「………。」
うむ!黙っていることは私の高説に感動しているのだろう!
これでヘラはこちらの味方だ!
さて、拘束を解いてもらわないとな。
「ということで、拘束を解いてくれないか?貴女にも手荒なことはしないことを約束しよう!」
「言いたいことはそれだけか?」
「言い足りないが、それぐらいにするさ!続きは後でしよう!」
「そうか、そうか、そうか。」
「(ガクガクブルブル)」
「む?我が神友よ。部屋の隅で震えて…、どうしたのだ?」
何故、恐怖に怯えているのだ?
大丈夫だ!ヘラは既にこちらの味方なのだからな!
「アレス、私にはかつて【ヘラ・ファミリア】を率いていた。」
「おお、知っているぞ!」
「その【ヘラ・ファミリア】で一番愛していた子がいた。」
「うむうむ。」
ヘラでも愛する子がいるのは当然だな!
「その娘はメーテリアと言う。だが、私の夫のファミリアの雑魚がメーテリアに子種を植えた。」
「そ、そうか…。何て無謀なことを。」
「(無謀なのはお前だぁぁぁぁっ!)」
「そしてメーテリアは体が弱かった。命と引き換えに子を産んだ。」
「そうか…心中察する。」
「(そこを察するなぁぁぁっ!他のところを察しろぉぉぉぉ!)」
ヘラの子に手をだすとは…さすがゼウスの子だな!
おっと、それを言うと折檻されるな。
「その子の名前は…ベル・クラネルという。」
「ほう!可愛らしい名前ではないか。…はて?どっかで聞いたことがあるな。」
「(名前くらい覚えろよぉぉぉぉぉ!)」
「その子は今…【ヘスティア・ファミリア】団長となっている。」
「へ?」
「二つ名は【白兎の脚】という。」
「…………。」
「そう、先程貴様が散々と貶した子が…私の可愛くて愛しい義孫だ。」
「…………。」
ダラダラダラダラダラ…。
まずい不味いまずい不味い…。
忘れていた…アストレアの言っていたことを。
私…さっきまで…ボロクソに…。
しかも…ヘラの最愛の娘までも…。
ヤゔぁい。
あ、キレている…ゼウスが浮気した時より…。
「よくも、よくも、よくも…。」
「ヘ、ヘラ…、ちょっと待ってくれ…お、落ち着いてくれ…。」
「私の義孫だけでなく…愛する娘のメーテリアまでも侮辱したな?アレス?」
「べ、弁解をさせてくれ…。」
「それだけではない、私が天界で唯一敬愛するヘスティアを侮辱したな?」
「け、敬愛って…あのグータラのどこが?」
グータラして火の番しているだけだろうが!
オリンポス十二神の座を蹴ったのは愚かといいようがない!
「グータラだが、貴様よりはマシだ。貴様は邪神そのものだ。大神の妻である私が保証しよう。」
「そ、それはひどすぎる!私は善神だ!」
「善神?オラリオを数百年に渡って、飽きもせずに攻めて国民を苦しませた神のどこが善神だ?」
……ハイ、ごもっともです。
イケロス!俺をフォローしてくれ!
「…………神友よ!助けてくれ!」
「(こっちへ振るなぁぁぁぁぁ!)」
「イケロス。」
(ビクッ!)
「貴様の子に私の義孫が大変世話になったな?」
「申し訳ありませんでした!」
「貴様の子はあの可愛い子に何と言ったと思う?」
「大変申し訳ありませんでした!」
「『偽善者』と。ふふふ、貴様の子に一番言われたくないな?そう思わないか?」
「はい!そう思います!」
イ、イケロス、ずるいぞ!
得点を稼いだな!
「そうか、貴様もそう思うか。…だが、許さん。私の義孫を貶し苦しませ追い込んだ貴様に、役目をやろう。」
「や、や、役目とは?」
「メッセンジャーだ。天界へのな。」
「天界ですか!?喜んで!」
「ああ、貴様の体に直接、徹底的に刻んでな。喜ぶがいい。」
「………。」
え?き、刻む?文字通り体に…。
ひぃっ!…ヤヴァイ。
天界へ…送還されるのはイヤだ…。
ラキアが…私の国が…。
「アレス。貴様は生かしてやろう。」
「ほ、本当か!」
「ああ、この国の王族から嘆願されたのでな。」
「それならこの縄を解いてくれ!」
「解くさ。私の気が済んだらな?」
「………。」
「さて…そろそろ私の我慢も限界だ。楽になれると思うなよ?」
「「ひぃぃぃぃぃぃっ!」」
助けてくれぇぇぇぇぇっ!
マリウスでもいい!ヘスティアでもいい!
イヤダァァァァァァァ!
はい、ヘラの逆鱗の中の逆鱗に触れました。
アレスらしいですね。
イケロスも原作にない、ツッコミ役をやっていますね。
意外と似合いますね。
アレスとイケロスについてどうなったのかは、しばらく先になります。
楽しみにしてくださいませ。
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