私はヘスティアとセバスから、あの子のスキルとアビリティについて聞いた。
…立て続けに予想外のことが起こりすぎた上に、ベルのステータスのことを聞いて…頭も胃も痛い。
こんなスキル、【ヘラ・ファミリア】でもなかったぞ!
「………水をくれ。」
「………ボクもー。」
「こちらへどうぞ。」
「「ゴクゴクゴク……ふぅ。」」
ヘスティアといると、何故か安心できる。
天界でもオリンポスでもそうだった。
ベルはヘスティアに拾われて、本当に幸運だったな。
「ヘスティア…すまない。私がもっとしっかりしていれば…。」
「気にするなよー。仕方がないさ、君の子供たちを一斉に失ったらそうなるのは当然さ。キミは優しい子だからね。」
「私をそう言うのは天界でもお前だけだぞ?」
「そうかなー?みんな誤解しているんだけどなー。」
下界へ降りる時、お前をねぐらから無理矢理引っ張り出して一緒に行くべきだったな。
お前がいないと私は終始イライラし、あの人はあちこち粉かけたせいで私は怒り続けて、オラリオでも最強最悪女神と言われるようになった。
ヘスティアがいれば、そう言われることはなかっただろう。
『…あのヘラを本当に優しい子とか言っているぞ。』
『ヘスティア様は本当に器がでかい女神…いえ大女神ですね。』
『胸だけでなく器も本当に大きいんだな…。ベルは本当に大当たりの神を引いたな。』
『全くですな。』
ああ、私もそう思う。
メーテリアを物心が出る前に失い、アルフィアとザルドに見捨てられ、あの人に育児放棄されたあの子が、私の敬愛するヘスティアに拾われて本当によかった。
そうしなければ、あの子は糞神に弄ばれて壊れていただろう。
そう思ったら、イケロスとアレスはまだ苦しませるべきだったな。
送還したが、邪神の糞神共はどう思っているだろうな。
せいぜい怯えておけ。
ヘスティアは良くも悪くも平等で、誰にでも慈愛を与える女神だからな。
本来ならオリンポスの主神にさせたかったが、本神が「面倒だから」で拒否したのは本当に困った。欲のない神だった。
そして、あの人がその座についたのは失敗だった。
思い出すだけで腹が煮えくり返るな。
そして、オリンポス十二神の1柱にしたかったが、ディオニュソス如きのキチガイ神に譲るのは予想外だった。
いや、ディオニュソスのやろうとした狂乱を本能的に気づき、自ら席を譲ったのだろうな。
そのことをわかっている神はどれだけいるのだろうか…。
また、ディオニュソスの狂乱を見抜けなかった、デメテルやヘルメス…私達十二神の責任だ。
天界へ帰ったら、あの面汚しのディオニュソスを苦しめ、完全消滅させてやる!
ああ、絶対にだ!
「私の義孫を眷属にしてくれて、本当に感謝している。貴女に保護してもらわなかったら、あの子は…私達の不始末のせいで寂しい思いをさせ、糞神に拾われたら間違いなく壊れていただろう。」
『不始末…そうだな、それは言える。だが…、ヘラがあそこまで誠心誠意で本心から頭を下げているのは初めて見たぞ。』
『私もでございます。メーテリアお嬢様の薬をかき集める時でもああはありませんでした。』
「ヘラ、勘違いしないでくれよ?アルフィアくんやセバスくん、メイくんにも言ったけど…キミの義孫、そしてゼウスの義孫だからじゃない。ベルくんだからこそ、眷属にしたんだ。まー、ボクも下界へ降りて数年眷属を作らなかったのも悪いけどね!…ベルくんが最初の眷属で本当によかったよ。…ここまでバグってるのは予想できなかったけどね!ハハハ…。」
「感謝する…。バグってるか、確かにそうだな。」
【憧憬一途】?【英雄願望】?【猛牛殺し】?【兎囲女達】?【時駆白兎】?【陸王者】?
私の眷属でもここまでのレアスキルが揃った子はいなかったぞ…。
あの子の想いが、このスキルを産んだのだな…。
【ヘラ・ファミリア】がまだあったとしても、恐らく発現しなかっただろう。
あの子への過酷な環境、試練、闘いがあの子を強くさせたのだ。
それに…【兎囲女達】だと?
雌豚達がベルを後押ししてるのが、非常に気に入らない本当に気にくわない絶対に認めたくない。
……認めたくはないが、認めるしかないだろう。
14年間にあの子を放置した私には、そのことを責める資格がないのだから。
あの子を溺愛しているアルフィアも、それはわかっているだろう。
ただ…あの子によからぬことを吹き込んだあの人のことは許せない。
メーテリアからの依頼もあることだし、徹底的に天界より本気でやるとしよう。
ふふふ。
「……非常に複雑だ。私が正気を失っている間にアルフィア、お前達がベルのところへ行かず、あの人がベルを育児放棄した結果が…ベルの純粋な想い、悲痛な想いがベルを強くさせたとはな。しかも、雌豚たちがぞろそろと…。正気を失ったことが悔やまれる!」
「……同感だ。」
「(一応念押ししておくか。そうしないと、ヘラはあの子達に何かと危害を加えるかもしれないね!)ヘラ、言っとくけどあの子達はボクの眷属だ。嫌がらせや折檻は許さないよ?」
「わかっているとも。あの子のためだろう?…貴女が見定めているなら大丈夫だが、私も見定めなければならん。特にアイズという子はな。」
「(あー…孫馬鹿もここに至れりかー。アイズくんへのフォローをアドバイザーくんと春姫くんへ念入りにお願いしよう)…言っとくけど、手出し無用だよ?メイくんが指導しているんだから。」
「あの【最強侍従】が?」
「はい、ヘラ様。手抜かりなくやっております。メイド教育と共に花嫁修業もさせております。」
「は?花嫁修業?ボク、初耳だけど?」
「何だと?私は聞いてないぞ。」
花嫁修業だと?なら、私の出番だな。
「花嫁修業は、結婚を司る私が担当すべきだと思うが?」
「ヘラ…キミの物差しで計るのはやめてくれないかい?天界でもキミの指導についていける神は一柱もいなかっただろう?」
「それについては同意する。お前の指導はうんざりだった…最後までいけた奴はいなかっただろうが。」
「ヘラ様、それは控えていただけるとありがたいのですが。」
そこまで反対するのか?だが、私の義孫だぞ?
「…私の義孫には幸せになってほしい。駄目なのか?」
「それはボクも同じだよ。ベルくんは戦いから離れて、ゆっくりと過ごしてほしかったんだけどなー。けどね、ヘラ。ベルくんは自ら選んだんだ、【最強最高の英雄】の道をね。」
「………ヘスティア。」
「ヘラ、ボクらは神だ。不変の時を生きる神だ。あの子達の紡ぐ物語に口出すことは、あの子達を侮辱するのと同然だ。せめて見守ってあげようよ?それが下界へ降りたボクたちの役目だろ?」
「……お前がそこまで言うのなら…わかった。」
『!?ヘラが…納得した、だと!?』
『驚きましたな…。こうなったヘラ様は誰にも止められないと思ったのですが、ヘスティア様がおられましたか。本当に大当たりの中の大当たりですな。』
当然だ。
私が敬愛する大女神なのだからな。
流石のヘラも、ベルのステータスには頭と胃を痛めますね。
そしてヘスティアとヘラの会話で、驚きをあらわにしているアルフィアとセバスです。
ヘスティアの話で渋々と納得したヘラに、です。
ヘラは罪悪感と後悔に占められていますがヘスティアにそこを慰められています。
原作のヘラはもっと凶悪かもしれませんが…。
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