白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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アンタレスについて語っているアルテミス回です。
久々のシリアスモードです!


第326回 月女神、請願

私はヘスティアとヘラに、大樹海へ出張ってきた時のことを話した。

「私達が出張ってきた時、遺跡にはもうアンタレスの眷属で一杯だった。せめてものの抵抗としてエルソスの遺跡の力を利用して封印したが、所詮付け焼き刃だった。私達が救援を決意した時は大樹海の1/3はアンタレスの眷属で占められていた。」

「「……。」」

「今のアンタレスは私の精霊だけでなく、遺跡の力を喰らい更に強くなっている。やつは遺跡の奥で悠々と力を蓄えている。私達、神々を抹殺するためにな。」

「ふむ……由々しき事態だな。」

「今頃、大樹海はアンタレスの眷属によって支配されているだろう。大樹海に住んでいた人は私達が避難させたが…全員までは無理だった。」

「アルテミス…。」

ヘスティア、ありがとう…。

さすがのヘラも考え込んでいるな。

 

住民たちの大半を何とか避難させるのに精一杯だった。

助けられなかった子は多くいた…。

 

そのため、レトゥーサたちは今も陰ながら泣いているし、悪夢にうなされているのを知っている。

目の前で、住民たちがアンタレスの眷属の餌となってしまったのを見てしまったのだから…。

 

私達がそんな絶望に落ちる前に…アレを見たんだ。

白き光を。

「そんな時だ。あの記者会見を見たのは。」

「「ああー…」」

「ヘスティア、無理なお願いというのはわかっている。どうか、オリオンにアンタレスを討伐してくれないだろうか?あのアンタレスを殺れるのはオリオンしかいない!」

「待て、アルテミス。私の義孫に全て背負わせる気か?」

「………。」

「あの子は冒険者になってまだ半年すぎだ。そんな無茶は義祖母としてはさせられん。」

「ヘラ…。」

ヘラ…義孫のオリオンを大切に想っているのはわかっている。

だが!私達はすがるしかないんだ!

 

それをヘラへ言おうとすると。

「だから、かつてのファミリアと同じようにいや、オラリオ連合に強制クエストをさせる。」

「「!!」」

「そのため、近日中に開かれる神会で奴らの協力を得なければならん。アルテミス、お前も出席しろ。」

「ああ、わかった。ありがとう、ヘラ。」

「貴様のためではない。」

オラリオ連合に強制クエストか。

それならオリオンが動く理由にもなれるし、オリオンの仲間たちも協力してくれるだろう。

さすが、かつて最恐を誇った【ヘラ・ファミリア】主神だな。

 

そう考えていると、魔導人形のメイドがつぶやいた。

「むしろ、これはチャンスですね。」

「「チャンス?」」

「話を遮って失礼しました。今のオラリオ連合は、かつての私達のファミリアのような功績がありません。そうですね、神ヘラ?」

「ああ。」

「アンタレス討伐をオラリオ連合の、最初の功績とするのです。」

「ま、まだ成立したばかりだよ!?」

「だからこそです。烏合の衆と見られないよう、早くも功績を立てなければなりません。」

「ううー…。」

…なるほど。

今のオラリオ連合はファミリアが集まっているただの集まりと見られてもしょうがない。

アンタレスを討伐することによって箔をつけるわけか。

 

不謹慎だが、アンタレスを討伐するなら何でもいい!

それだけあのモンスターは規格外なのだ!

 

「ヘスティア様、彼らの特訓の成果を見せる時なのです。」

「それだけではないだろう?【最強侍従】いや、メイ。」

「ええ。」

「へ?」

何だと?他に狙いもあるのか?

 

「ヘスティア…。私とあの人の子達はレベル9や8に至りながら、黒竜になすすべもなく敗れた。」

「…うん。」

「ダンジョンにちまちま挑むのもいいが、時間が足りなさすぎる。」

「まさか…。」

「そうです。アンタレスを彼らの経験値、偉業の糧となってもらうのです。」

「「!!」」

「あちらからやってくるのは都合がいい。それに…ダンジョンでイレギュラーが起こるよりはマシだろう?地上なら、まだ私達の目は届く。」

「…わかった。アルテミス、キミからの依頼受けよう。」

「ありがとう!ヘスティア。」

偉業…経験値か。

確かに今のアンタレスはその塊だろう。

私達ではもう対抗できない。

無力だ…。

 

「それはそうと、【アルテミス・ファミリア】はどこを拠点にしていますでしょうか?」

「む?昨日来たばかりだから、宿屋にいるが?」

「好都合ですね。」

「へ?」「何だと?」「どういう意味だ?」

「ここはまだ部屋が多くあります。幸いなことに【アルテミス・ファミリア】に女性のみのようですね。」

「メイくん…まさか。」

…?どういう意味だ?

わからんぞ?

 

「見たところ、彼女たちは坊ちゃまのファンクラブの一員のようですね(チラッ)。」

(((サッ!)))

「どうです?神アルテミス、ここを間借りしてみませんか?家賃は宿屋で長期間いるよりは安くしますよ?三食特訓付きでどうです?」

素晴らしい案ではないか!

オリオンの近くにいられるし、オリオンと一緒に過ごせる上に私達を鍛えられる!

何という好環境だろうか!

 

だが…先程無理なお願いしてしまった。

さすがに厚かましすぎるだろう…。

そう思い、断ろうと思った。

「しかし…私の依頼をお願いした上にこれ以上厄介になる「坊ちゃまと毎日会えますが?」…には心苦しいが、それを受けようと思う!レトゥーサたち、いいよな?(いいと言ってくれ!)」

「「「「は、はい!(こ、怖い!)」」」

これは受けたい!いや、受けなければならない!

 

「た、頼む!ヘスティア!」

「アンタレス討伐の時より必死だぞ…。」

「…神友のキミがいてくれるなら嬉しいし頼もしいし…、いいよ…。」

「ありがとう!持つべきものは神友だな!」

ヘスティアが快諾してくれた!

これでオリオンと一緒にいられる…いやいやいやいや!

 

アンタレス討伐が先だろう!

……いや、オリオンも捨てがたい。

むむむ…。

 

『ヘラ…。ボク、こんな葛藤するアルテミスを初めて見るよ…。』

『私もだ。…何故義孫なのだ。まだ会ってもいないだろうに…。』

『ああ…大の恋愛アンチのアルテミスはどこへ…。』

『あきらめろ、ヘスティア。アレはもう恋する乙女の目だ。結婚を司る私が保証しよう。』

『そんなー!』




アンタレスは映画版と同じく、眷属を次々と生み大樹海を支配しようとしています。
いずれ、オラリオへ攻め込んでくるでしょう。
しかし、本作品のアンタレスは劇場版のアンタレスと違って、アルテミスを取り込んでいません。
アルテミスの精霊だけですので、

劇場版のアンタレスはアルテミスを取り込み、神力を使いこなしています。
だからこそ、ベルくんはオリオンの矢を引き抜きアンタレスを至急討たざるを得なかったと思います。
レベル2のままで。

本作品は、アルテミスは取り込まれずレトォーサたちの説得で、オラリオへ救援を求めてきました。
アンタレスはまだ精霊とエルソスの遺跡の力を取り込んでいるところなので、時間はまだあります。

ヘラも1000年も続いた【ヘラ・ファミリア】主神として、ヘスティアをフォローしています。
これ以上いない、ヘスティアのアドバイザーですね!

メイは、これを好機とみてアンタレスをオラリオ連合の実績の1つとし、ベルくん以外の戦力増強を考えます。
アンタレスはいわば、飛んで火に入る夏の虫です。
精霊も、エルソスの遺跡を取り込んでいるアンタレスは経験値と偉業の塊なのですから。

そして、メイは【アルテミス・ファミリア】がベルくんのグッズを持っていることに目をつけ、取り込もうとしています。アルテミスがベルくんに惚れていることも含めて、です。

葛藤するアルテミスを見て、ヘスティアとヘラは頭を痛めていますね。
当然ですね…同郷の、大の恋愛アンチがこうなるとは思わなかったでしょう。

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