私は今、クノッソスにいます。
そして何故か、ステージの上にクッションを敷き詰めて濃い青い髪の女性とヘルメス様が向かい合っている。
神デメテルと神ヘファイストス、神アフロディーテが、先程オラリオ外の調査から帰ってきた私達を捕らえて連行されて、ここにいます。
何故こうなったのでしょうか…?
「何で俺が…。や、やあ。アルテ…ミスじゃない?」
「いいや私だ。この豚が。喜べ、私に触れられるのだから。」
「ど、どうなっているんだい!?神が…ヒューマンになるなんて!……ア、アストレアもフレイヤ様も!?」
ヒューマン…?
あそこにいるのは…アストレア…様?
雰囲気が何か…神威を感じない?
どうなっているのですか!?
「エルピス、私の分も残しといてね。」
「エルピスさん、うっかり送還させないでくださいよ?」
……彼女たちはヘルメス様からどんな恨みを買ったのでしょうか?
いずれにしろ、責任は取って下さい!
そして神アルテミスと似たような女性が準備運動をしています。
「…何をするんだい?……まさか…パンクラチオンを?や、やめてくれ!送還されてしまう!」
「問答無用だ。天界であったことやオリオンの件も含めて、だ。」
「オリオン…?え?あの噂は事実だったのかい!?アルテミスがベルくんに惚れたというのは!」
「そうだ。よくもオリオンに色々としてくれたな?」
また、ベル・クラネルですか…。
もう関わりたくないのですが、どっぷりと関わってしまっているような…いえ関わってますね。
聞けば、ラキアが神ヘラによって率いられ、神イケロスが送還されたと。
もう、神ゼウスと神アポロンが囚われているのですね…。
ということは…あそこにいる女神は、まさか神ヘラ?
「ちょ、ちょっと待って!それは既に精算済みのはずだ!」
「だそうだ。ヘラ、どう思う?」
「却下だ。」
「ヘ、ヘラぁぁぁぁ!?(早くないか!?見立てでは三ヶ月後ぐらいと思ったのに…。)」
「あの人もいるぞ。ただし封印されているがな。」
「(ゼウス、あっさり捕まるなよぉぉぉ!)」
「さて、時間だ。パンクラチオンの稽古を始めよう。なまってないか確認してやる。」
「ちょ、ちょっと待って!俺はパンクラチオン得意じゃ…、アーーーーーッ!」
さっきから気になったのですが、パンクラチオンって何ですか?
というか、リオンと【剣姫】が隣でじゃが丸くんを食べながら観戦しているのが非常に気になるのですが。しかも何故、二人ともメイド姿なのですか!
シュールすぎます!
……ツッコミどころが多すぎて、ついていけません…。
なるほど…パンクラチオンとは、天界でヘルメス様がおられるところに伝わる徒手空拳ですか。
……打撃技、関節技、投げ技もあるのですか。
勉強になりますね。
それにしても……。
「折れる折れる!それは曲がらないって!あっ!今、グギッと言った!言ったって!痛い痛い!」
「………(ふふっ)。」
「えーと…アスフィ。いいのかい?」
「いい気味です。ええ、本当に。」
「アレ…マジで死ぬぞ。」
「ルルネよね?」
「え?アスト…レア様?」
…離れましょう。巻き添えになりたくはありません。
嫌な予感がします。
先程のヘルメス様の発言で、神がヒューマンになったというのが気になります。
「今はユーティスだけどね。ルルネはレベル3よね?」
「う、うん?」
「そう…手合わせしましょう。いいよね?アスフィ?」
「え!?」「はい、どうぞ。」
「ちょ、ちょっと!全知零能がレベル3の私に勝てるはずが…。」
もし、ヒューマンになったとしたら…。
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「痛い痛い痛い!死ぬ死ぬ死ぬ!」
なるほど、こうなるのですか。
「あらあら、レベル3でしょ?もう少し頑張って。」
「ア、アスフィ!助けて!肩が外れる!」
「ルルネ…、甘んじて受けなさい。」
神の技と経験ですか…。
冒険者並の力が合わさったら、勝てるわけないでしょう!
何故、ヒューマンになれるのですか!
しかし、それはそれでいい機会です。
この駄犬には多少のお仕置きは必要ですから。
特に神アストレアにとっては。
「いいのですか?アンドロメダ。」
「いい薬になるでしょう。…リオン、貴女こそいつの間に【剣姫】と仲良くなったのですか?」
「…仲良くしていません。たまたまです。アイズ…口に食べカスついてますよ。」
「あ…うん。ありがとう。」
「……そうですか(めっちゃ仲良くなっていませんか!?)」
戦争遊戯ではお互い仲が悪かったと思いますが…。
「助けて!【剣姫】!」
「ルルネさん…ガンバ。」
「なおざりすぎる!?ギャーーーーー!ぐへぇっ!」
おや、頭上に上げて一気に下へおろしましたか。
…生きていますね?生きてるならいいです。
しかし、それでも立たせようとするあの方は…本当に神アストレアだった方ですか?
「……リオン。私の中のアストレア様が完全に崩れました…」
「私は戦争遊戯の一週間前でとっくに崩れました…。今更です。」
「ルゥさん…あの技…パワーボム?できそう?」
「ふむ…ユーティスかエルピスに教授願いましょう。」
「うん。」
「………私も学んだ方がいいでしょうか。」
ヘルメス様とルルネへのお仕置きのためにも。
おや?ヘルメス様の方は終わったようですね。
先程から関節技しかしていませんが…。
「…死…ぬ。」
「ふん、なまっているぞ。この豚め。」
「では、次は私ですね。」
あの人は…シル?と言った方?
いえ、確か改名されましたね。
!!
神アストレアがあの女の人なら…。
……まさか、神フレイヤがいきなり消えたのは。
「や…めて。」
「では、ヘラ様に委ねますか?」
「私は一向に構わんぞ?エルピス、ユーティス、シノスの稽古に付き合わせるだけでチャラにしてやると言ってるんだぞ?それが嫌なら、アポロンと共に…」
「やめてください!それだけはやめてください!受けます!受けるからやめてください!」
「なら素直に受けろ。」
「ハイ…。」
イケロスが送還されたのは言伝により知ってましたが、実際に見た神々や人々は顔面蒼白だったそうです。
一体何があったのでしょうか?
「あ、ヘルメス様。私は天界ではコマンドサンボを習得していますので。」
こまんどさんぼ?
「え」
「エルピスさんは関節技だけでしたが、私は打撃技でいきますね?」
「え」
「では…いきますよ?よくも、イシュタルの時は色々としてくれましたね?」
「ま、待って!私怨入っている!入ってるって!それは異端児の時にチャラ…ゲフゥッ!」
やはり…イシュタルの時というと神フレイヤしかいません…。
シノスという方は神フレイヤ?
何でヒューマンになっているんですか!
しかも恩恵を受けて?
………生きて下さい、ヘルメス様。
先程新団員が入ったばかりなので、死なれては困ります。
ラキアの元王子で、何故か神ヘラの紹介状付きでやって来ましたから。
ヘルメスが、エルピス達のパンクラチオンやコマンドサンボの犠牲になっています。
手加減をしているようですので、送還はしません。
ついでにルルネも、アストレアことユーティスによってお仕置きされています。
そしてマリウスは【ヘルメス・ファミリア】に入団することに。
ようこそ、苦労人のファミリアへ。
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