対面ということは…いよいよ!
うーん…いい朝ね。
そんな心地よい朝を連続で迎えられるなんて、いつ以来かしら。
コンコン
あら?誰かしら?
ベルかしら?
「誰ー?」
「私だ。入るぞ」
ガチャ
「あら、姉さん。おはよう。」
「ああ、おはよう。調子はどうだ?メーテリア。」
「すごく体が軽いわよ。今日こそベルの自伝を全部読むわ!」
「そ、そうか…。」
あれから2日経っているけど、なかなか全部読破しないわ…。
だって!
ベルが、私の愛しい息子が危険な目に合うたびに読んでいられず、そのまま気絶してしまうんだもの。
しかも食後に特効薬を飲むから、そのまま寝てしまうから時間がなかなかないのよね。
せっかく体の調子がかなり良くなったと言うのに…。
「今は、どの辺りだ?」
「ええと中層へ初挑戦する前ね。冒険者になってまだ一ヶ月半で中層なんて早すぎるわよ!本当にもう…。」
心臓に悪いわ。
過去に起こったからって、これは駄目でしょ!
ダンジョン禁止にさせたいわ!
これでまだ一巻目なのよね…。
ああ…読むのが怖いわ。
「そ、そうか。ゆっくり読んでおけ。まだまだ…残り8巻あるからな。」
「はぁ…危険なことはやらないでほしいわ…。だから私は冒険者になるのは反対だったのに。」
そのベルが今はレベル6なのよね…。
そんなにポンポンと上がらなくてもいいのに…。
コンコン
ガチャ
あら?セバス?
「お嬢様方、おはようございます。朝食でございます。」
「あら、セバス。おはよう!…ベルは?」
「坊ちゃまはダンジョンへ潜るとのことです。ダンジョン制覇をするために慣れなければいけませんから。」
「危険なことはしないでほしいんだけど…。」
「メーテリアお嬢様、ご心痛は理解できます。ですが、それは坊ちゃま自身が望んだことなのです。」
「うーん…。」
でも、母として心配なのよね。
私としてはまだあの時の赤子のままなんだけど。
コンコン
ガチャ
「私だ、入るぞ。」
「あら、義母さん。おはよう。……そこのお嬢ちゃんは誰?」
ツインテールで可愛らしい女の子ね!
それにしても…で、でかいわね。
なんで紐で支えているの?
ベルの教育に悪いわ。
「おはよう、メーテリアくん!面と向かって話すのは初めてだね。ボクはヘスティアさ!」
「あらあら、お嬢ちゃん。嘘はダメよ?」
「…ホ、ホントなんだぞー!」
「うふふふ。」
自分を神と言うなんてね。
可愛い子ね。
でも、姉さんが微妙な顔しているわ。
どうしたの?
「メーテリア……お前。」
「メーテリア、本当だ。お前の息子の主神がこのヘスティアだ。」
「へ?……本当?姉さん、セバス?」
「事実だ。」
「メーテリアお嬢様。この方が坊ちゃまの主神ヘスティア様でございます。」
ええーっ!イメージが違うじゃない!
いえ、待ってよ。
どう見ても女の子じゃない。
雰囲気が同世代とかなり違うけど…、そういう子だっているんじゃない?
「……私の想像とは違うわ。だって、義母さんより年上なんでしょ?」
「…ボクはこれでも、ゼウスとヘラよりはるかに年上だよ?」
「そ、そうなの…。た、大変失礼いたしました!この姿勢ですみません!っとと…。」
「あーあーいいよ。そのままで。まあ、仕方がないよ。誤解されるのは慣れているし。」
「だから、もっと威厳を持ってほしいと私は言っているのだ。」
「ヘラ、ボクはそういうのは好まないと天界にいた時から何回も言っているだろ?」
…本当に神様なのね。
あの最強最悪の義母さんに対してフレンドリーに話しているわ。
お爺ちゃん以外の神はヘコヘコとして話しているか、遠巻きにして話すかのどちらかなのに。
それに義母さんもいつもより嬉しそうで、落ち着いている。
本当に義母さんが敬愛しているヘスティア様なのね…。
「え、えーと…。」
「あ!ごめんね。食べながら話をしよう!キミの病状も落ち着いたしね。」
「そ、そうですね。」
そして、私はヘスティア様を中心に食事した。
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ヘスティア様は話しやすかった。
義母さんが敬愛しているのも分かる気がするわ。
「ふぅ…ご馳走様。」
「うむ、なかなか美味かったな。」
「本当だね。半年前とは大違いだよ…。」
「では、お下げいたしますね。メーテリアお嬢様、薬は後で飲んでいただきます。」
「あ、お願いね。」
バタン
ベルの主神に対して、先程失礼なことをしてしまったわ。
ヘスティア様は気にしないようだけど、お詫びとお礼を言った方がいいわね。
「…ヘスティア様、先程は大変失礼しました。私の息子…ベルを拾い、眷属にしていただき本当にありがとうございます。」
「いいや、感謝するのはこっちさ。キミの息子には色々と世話になっているからね!ここに住むようになったのも美味しい料理を食べられるようになったのも、ぜーんぶベルくんのおかげさ!」
「いえ、あの子には私が長い眠りについている間に「ん?」大変寂しい思いをさせてしまいました。姉さんがそばにいないのは(ビクッ)、何故かわかりませんが。あの子にとってヘスティア様に拾われて救われたと思います。」
「そ、そうかい。」
あら?どうして微妙な顔をしているの?
私、変なことを言ったかしら?
『ねえ、ヘラ。メーテリアくんは自分が死んだことを知らないのかい?』
『そうだ…。言わなければならんが、どういうタイミングで言えばいいのかわからん。』
『あと、アルフィアくんについてはどうするんだよ?7年前の大抗争、0巻に載っているはずじゃないのかい?』
『まだ、一巻しか読んでないらしい…。』
『は!?』
『ベルが危険なことに合うたびに気絶するんだ…。』
『…気持ちはわかるけど、まだ序の口だよ?この調子では3桁ぐらい気絶してしまうよ?』
『…………。』
ヘスティア様と義母さんが何か話しているみたいだけど、どうしたのかしら?
そうだわ。あの娘についてメッとしないと。
「そうそう、姉さん。お願いがあるけど。」
「何だ?」
「リリルカ・アーデという小人族を探し出してほしいの、ちょっとオハナシしたいんだけど?」
「……メーテリア。まずベルの自伝を全部読め。話はそれからだ。」
「えー?」
気が済まないんだけどー…。
ベルを騙し、この方ヘスティア様が身を削ったナイフを盗むなんて…。
事情があったかもしれないけど、私の息子を騙すなんて。
『ヘラ、オハナシって…。』
『文字通り、お話するだけだ。だが…。』
『だが?』
『その内わかるが、メーテリアのオハナシは私とアルフィアに死の恐怖を味わせるものだ。』
『は!?』
『この分では、多くの奴らがオハナシすることになるな…。』
『キミとアルフィアくんに死の恐怖を感じさせるって…。』
『ヘスティア…。私のファミリアは【女帝】を中心に、かつて最恐と呼ばれていた。』
『う、うん(具体的に何をしたのかをみんな教えてくれないんだけどなー)。』
『最強最悪と呼ばれた私があえて言おう、真の最恐はメーテリアだと。』
『………ベルくんの自伝を全部読んでから、彼女たちに会わせた方がいいね。』
『その方がいい。死者が出るぞ。』
『死者!?』
あら?ヘスティア様が目を瞠目してこちらを見ているわ。
何があったのかしら?
ヘスティア様がこちらへ来て優しく言ってくれた。
「メーテリアくん。ベルくんの自伝はどこまで読んだんだい?」
「それが…まだ一巻なの。」
「ええと…読書が苦手なのかい?」
「ううん、得意な方なの。ただ…あの子が危険な目に合うと、その気絶してしまうの。」
「あー…。なるほど、なら一緒に読んでみるかい?ボクもその気持をリアルタイムで味わったからね…。」
「ご、ごめんなさい!うちの息子が本当に…。」
「いやいや、もう終わったことだしね。どうかな?」
本当にいい女神だわ…。
ベルは本当にいい女神に拾われたのね。
「…うっ…うっ…。」
「ど、どうしたんだい!?いきなり泣いて…(ああ、本当にベルくんの泣き顔とそっくりだ)。」
「ベルを眷属にしてくれた神が貴女で本当によかったです。ああ、本当に神様はいるんですね…。」
「(一応ヘラも神だけど…話してみてわかった。この娘、アイズくんと同じかそれ以上の天然だ。…ボクと一緒に読んで逐一教えた方がいいね。そうしないとあの子達にオハナシしてしまうことになるね…)一緒に見るかい?ボクもバイトがあるから毎日というわけじゃないけどね。」
「お願いします…。」
ここまで優しくしてくれる女神はいないわ。
よかったわ…本当に。
『おい、ヘラ。お前の存在を無視しているぞ。』
『後で叱る。』
『まぁ…当時のメーテリアに会った神は全員ろくでもない神だったからな。』
『それは言えるが…納得できん。』
はい、ヘスティア様です。
そして、メーテリアさんはベルの自伝を読むことを怖がっていて、ヘスティア様と一緒に読むことになりました。
いい女神様ですね!
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