ウチはリヴェリアから、アイナたんのことを聞いた。
死の病と聞いた時、心臓が止まるかと思ったわ。
ディアンケヒトとミアハ、そしてヘラの気持ちがちょっぴりわかったわ…。
キツいわ、コレ。
「…ということだ。ここに印押してくれ。」
「わかった。…まさか、彼女が死の病にね。」
「あのアイナがのう…。」
「糞爺と最悪女に感謝する時が来るとは思わんかったわ…。いや、ベルたんに感謝せなあかんな。」
…恩恵があるからまだ生きとるはずや。
頼むから、オラリオへ来るまで生きとれよ。
しかし…アイナたんがオラリオから出る時に何で気づかなかったんや!
ウチの責任や…。
あの時、ディアンケヒトとミアハに診てもらうべきやったんや!
「全くだ。聞けばこの特効薬はエイナの咳がきっかけだそうだ。」
「【最恐執事】が気づかなかったら、【静寂】も復活できなかっただろうね。」
「例えおらんかったとしても、あの二人が手を組んだら勝てる気がしないのう。」
そやな…。
【静寂】やベルたんの母ちゃんをずっと見てきた【最恐執事】でなきゃ気づかんわな。
【最強侍従】と【最恐執事】が解放された時点で終わっとったわ。
だが、それが良かったかもしれんわな。
こうして今のような結果になっとるんやから。
…やから、ウチは今ビビっとるんや。
「はぁぁぁぁぁ~最悪女がおるだけで気が休まらんわ。…それにしても大人しゅうしとるな?」
「僕もそれが疑問だよ。いつ【ロキ・ファミリア】へ来るか戦々恐々しているよ。なのに、来ないのが妙だよ。」
「同感じゃ。そろそろ、警戒態勢解いてもいいじゃろう?ベートたちが愚痴言っとったぞ。」
「そうだな……。嵐の前の静けさなのか?」
やめてや!怖いねん!
イケロスの馬鹿を送還した時を思い出したら、ブルっと来るんや!
ん?何かうるさくないか?
ひっ…とうとう来たんか…。
「…?何だか騒がしいね。」
「倉庫の方からじゃな。」
「最悪女がとうとう来たんかいな?」
「行ってみよう…。」
ウチを置いていかんといてー!
そこには…狼と猫がおでこコッツンコしとった…。
「ああ?糞猫が何でここにいやがるんだ?」
「あん?野菜を持ってきたというのに何だ?その態度は?」
「ベートさん…やめましょうよ。」
「兄様!そろそろいい加減にして下さい!」
「「「……………。」」」
…何やねん。
それにアーニャたん、口調変わっとらん?
その光景にウチは呆れとったら、デメテルがおった。
「あら、ロキ。」
「あ、ああ。デメテルか。どないしたん?」
「いえね、野菜を運んでいる時に、【凶狼】とうちのアレンがかち合ってね…。」
「「「ああ……。」」」
…人選、間違うたかなぁ…。
そしたら、デメテルが心配そうな顔見せとった。
「それにどうしたの?厳戒態勢をとって…今はまだ平和よ?」
「いや、だって…ヘラが来とるやん。」
「ああ、なるほど。大丈夫よ。」
「「「は?」」」
え?何でそんなに断言できるねん!
ヘラやぞ!ヘラ!
あの最強最悪女やぞ!
「デメテルも知っとるやろ…。ヘラがこのまま大人しゅうしとるわけがないということを。」
「そうね、15年前までのヘラならね。でも、今のヘラなら問題ないわ。」
「…神デメテル、その根拠は何だろうか?」
「ヘスティアよ。」
「「「は?」」」
なんで、そこにドチビが出てくるねん…。
そういや、こないだヘラはドチビの言葉で大人しゅうしとったな。
「オリンポスでは暗黙のルールとなっているけど、ヘラに会いにいく場合はヘスティアを連れて行けというのが常識なの。」
「…何故じゃろうか?」
「ヘスティアはヘラが唯一対等に話せる女神でもあり、ヘラの感情全てを受け止められる、ただ一柱の女神でもあるの。」
「……そうだったのですか(アイズたちを改宗させて正解だったな。あそこは安全地帯だからな)。」
信じられへんわ…。
どう考えても、なんであのドチビがヘラを制御できるねん…。
「なんでやねん…。あのドチビが…。」
「ヘラはね、同郷の私達でも心を許していない。むしろ敵意を向けている方ね。」
「貴女でもなのか…。」
「ええ、それだけ嫉妬深く感情が激しい。でも、ヘスティアは別。分かると思うけど、ヘスティアはあらゆるものに対して平等に接する…そして天界で悠久の聖火を管理できる唯一の女神でもあり、処女神でもある。正直に言うと、オリンポスはヘスティアありきと言っても過言ではないわ。」
「…そうだったのか。」
…それはわかるねん。
あのヘラをどうやったら手懐けられるのかを知りたいねん!
そやったら、簡単な話と思っとったら。
「まあ、そもそもヘスティアを連れて行くのが難易度高いけどね。」
「「「は?」」」
「ロキは知っていると思うけど、ヘスティアは天界でもかなりのグータラよ?一度寝たら800年は当然ね。行っても「寝ていますから」で門前払いよ。タイミングがわかるのはアルテミスとアテナだけね。」
「「「………。」」」
寝すぎやろ…。
それに何でタイミングがわかるねん!
ツッコミどころが多すぎるわ…。
「話がそれたわね。とりあえずヘスティアがヘラのそばにいる限り、15年前までのヘラのようになることはないわ。それは断言できる。」
「何故、神ヘラが降臨する時に一緒にいなかったのだろうか?」
「ヘスティアがまだ寝ていたから。」
「「「…………。」」」
15年前までのウチらの苦労は、ドチビのグータラのせいやったんか!
ドチビぃぃぃぃ!
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その時、ヘスティアのツインテールが何かを感じたようにビビッと動いた。
「???」
「どうした?ヘスティア。」
「いや、ね。何か髪の毛がビビッと感じたんだ。気のせいかなぁ…。」
「糞神どもだな?よし…今からでも」
「やめなよ、言わせたい奴には言わせときなよ?キミはメーテリアくんたちのことを考えなよ。」
「むぅ…。」
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ウチが心の叫びをしている間に、デメテルが言いおった。
「わかりやすく言うなら、ヘラは猫ね。ヘスティア以外には絶対に懐かない。だから、オラリオにいるオリンポスの神のみんなは、ヘラが【ヘスティア・ファミリア】にいるので安心しているの。」
「そうやったんか…。はぁぁぁ~うちらの取り越し苦労やんけ!」
「更にヘラの義孫である兎さんにも溺愛しているっぽいから、天界にいた時よりかなり穏やかね。それ以前にあの兎さんがここまで活躍しなかったら、あり得なかったでしょうね。」
「……ベル・クラネルにあらゆる意味で感謝しなければならんな。」
「借りがどんどんと膨らんできて返せないよ…。」
「がははは!いいではないか。儂等オラリオ連合の中心がそうではなくてはならん!」
それはそうやが…。
あまりにも規格外やねん!
どんだけ秘めとるんや!あの少年には!
「ベルたんが神に思えてきたわ…。ウチ、神やけど。」
「…それは同意するわ。」
全くや!
ん?あー、狼と猫の喧嘩が収まったかー。
「デメテル様、そろそろ他のところへ行かないと…。ミア母ちゃんを待たせると怒られますので。」
「あら、ごめんね。じゃあね、ロキ。」
「おー、ありがとさん!」
デメテルのおかげやな。
はー…疲れたわ。
「…みんな、厳戒態勢を解くよ。今日はくつろいでくれ。」
「ちっ…!ダンジョンに潜ってくる!あの糞猫のせいだ!」
「私も行きます!」
「…遅れるんじゃねえぞ。」「はい!」
……リーネたんもベートに積極的になっとったなー。
そういや、レナたんはどうしたんねん?
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その頃、レナは【ヘルメス・ファミリア】のアイシャによってこき使われていた。
「ベートぉぉぉぉ!」
「うるさいよ!キリキリ働きな!」
「ふぎゃ!」
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ふー、安心しとったわ。
「さて、アイナへの手紙を速達便で送らないとな。…馬車も手配しておこう。」
「そうだね。僕も彼女とウイナと久々に会いたいね。」
「酒を用意しておこう。ロキ、お主は飲むんじゃないぞ。」
「何でやねーん!外でええやん!」
あいつら、元気でおるかなぁ…。
頼むからオラリオへ来るまで持っとってくれよ。
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~数日後~
「アイナ…、リヴェリア副団長から手紙が来たぞ。」
「ケホッ…ケホッ……あら。どうしたのかしら。」
「……オラリオへ来いとのことだ。上等な快速馬車も手配済みだそうだ。…どうする?」
「……もう体が動かないわ。…けど、最期にリヴェリア様には会っておきたいの。怒られるだろうけどね。」
「…そうだな。エイナにも会いたいな。」
「…ええ、オラリオで息を引き取るのも悪くないわ。」
「母様…。」
オリンポスの神々は、ヘスティアがいる限りヘラは大人しいということを知っているから安心していますからね。
それ以外の神々は、ロキと同じく震えて引きこもるのは仕方がありません。
そして、チュール家がオラリオへやってきます。
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