私は娘の言う事に驚いた。
信じられない!
たったの…1ヶ月半でレベル2!?
「ま、待って!じ、事実なの!?」
「う、嘘だよな!」
「残念ですが、事実です。ベルくんはたった一ヶ月半でレベル2となりました。」
「く、来る前に経験値を積んでいたとか?」
「いいえ、あり得ません。私が確認しました。全てアビリティが0からスタートしました。」
…この娘が確認し、そういうなら確かなのでしょうね…。
でもね…。"咆哮"を使うミノタウロスにレベル1は耐えられない。
その強化種でも尚更よ!
「…だといって、ミノタウロス強化種はあり得ない!そ、そうだ!大勢でやってとどめを刺したのがそいつだとか?」
「それよ!」
ええ、それしかないわ。
と思ったけど…それを否定されたわ。
これ以上ない御方に。
「それはない。」
「「へ?」」
「私が証人だ。いや、フィンもアイズも証人だ。あの少年はレベル1で、1対1でミノタウロス強化種と戦い、そして勝ったのだ。目の前で見た私が保証しよう。見事な戦いだったぞ?」
リヴェリア様が…直接見た?
自他と共に厳しいこの方が嘘や誇張をするわけがないわ…。
それは私が一番よく知っている。
死の病とは別に、頭が痛くなってきたわ…。
「………リヴェリア様がそう言われるなら事実でしょうね。その子のアドバイサーが貴女?」
「はい。」
「ど、どんな奴なんだ?賢そうなエルフか?いかついドワーフか?または屈強な獣人か?」
「ただのヒューマンです。」
「エイナ、説明が足りないぞ。たったの14歳の少年だろう?」
「「ええっ!14歳!?」」
「え?わ、私と同じ年?」
それなりの経験を積んできた戦士あたりと思ってたのに、まだ子供じゃない!
しかもイーナと同じ年!?
受け入れましょう。
ええ、一ヶ月半でレベル2になるなんて。
「凄いわね…。リヴェリア様とエイナが言うなら確かね。たったの1ヶ月半でレベル2になるなんて。」
「ああ…。レベル3と1対1はさすがにないですよね?」
「あったぞ。」
「「「………。」」」
勘弁してよ…。
私がいない間に何が起こったのよ…。
何がそうなったら、レベル3とタイマンするのよ…。
「レベル2になって1ヶ月後に、【アポロン・ファミリア】と戦争遊戯がありました。100を超える団員たちと「100人!?」、レベル2以下の4名と助っ人1名「たったの5名!?」で攻城戦がありました。なお、それは神の鏡で公開したはずですが、そちらは見てないのですか?」
「私達のところには神様がいないから…。」
「そうか。だがその戦いで彼らは制し、ベル・クラネルは団長の【太陽の寵童】レベル3と1対1で戦い、勝ったのだ。それは世界中が知っているぞ。」
何でうちの村に神様がいなかったのよ!
見たかったわ!
……リヴェリア様の言うように濃いわ。
「頭が痛くなってきたわ…。…え?それは二ヶ月半前?今はまだレベル3よね?」
「も、もう俺たちの1レベル下…。」
「違います。」
「「「え?」」」
……まさか、もうランクアップ?
私達に…並んだ?
そしたら、リヴェリア様がため息つきながら衝撃の事実を明かしてくれた。
「…三週間ほど前に【ヘスティア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】との戦争遊戯があった。」
「「「ハァ!?」」」
な、何で…最強派閥が二つがかりで…。
でも…さすがに敵わないでしょうね。
あれ?
さっき…今のオラリオ最強は…【ヘスティア・ファミリア】と言わなかった…?
「ベル・クラネルは、その時レベル5だ。「レベル5!?」レベル8にランクアップした【猛者】と一対一で戦い、勝ったのだ。今、彼はレベル6だ。実力的にはレベル9に相当するだろうな。」
「……二ヶ月半で何があったのよ…。濃すぎるわ。」
「すげぇ…。」
「す、すごい…。レベル9…。」
…レベル4どころでなくレベル5にランクアップ?
リヴェリア様がオラリオへ来て数十年苦労してレベル5になった、というのに…。
しかも、レベル8にランクアップした【フレイヤ・ファミリア】の【猛者】をタイマンで倒した!?それで、レベル6にまたランクアップ!?
何て子なの…。
「…え?待って。エイナは今、その【ヘスティア・ファミリア】にいて…。その前は、彼のアドバイサーをやっていた?貴女、まさか…。」
「アイナ母様、父様、イーナ。私はその時のギルド長の決定に納得できずギルドを辞めて【ヘスティア・ファミリア】に入団したのです。」
「…ギルドの豚のことは後で聞くわ。貴女、彼に惚れたわね?」
「な、なんだと!?」
ええ、エイナの今までの反応…間違いないわ。
この娘がさっきまで怒っていたのは、それしかないわ。
「……はい。アイナ母様、私はこの半年で彼のアドバイサーとなり、彼の成長ぶりをずっと見てきました。私は彼と共に生きたい…彼を愛しています。」
「わぁ…姉様、本気だ。」
「だ、駄目だ!許さん!」
「貴女は黙ってて。…本気なのね?」
「はい。例え勘当されても、です。」
…本気だわ。
エイナにようやく春が来たわ!
死の病どころじゃないわ!
ウイナがかなり焦っているわね。
「ま、まず会わせろ!話はそれからだ!」
「そうね。会った方がいいわね。でもエイナ、私はエイナを応援するわよ?」
「アイナ!?」
「貴方、エイナはこれでも人を見る目はあると思うわよ?そのエイナが惚れた彼を見てみたいのは確かだけど、私は異存ないわ。だって、私達も同じようなものでしょ?」
「ぐっ!?だ、だが…。リ、リヴェリア副団長はそいつを知っていますよね!?どんな奴なんですか!?」
「一言で言うなら…純粋無垢だな。」
「「「は?」」」
じ、純粋無垢?
え?14歳なら…それなりの子と思うんだけど。
堅物のリヴェリア様が純粋無垢と言うほどなんて…どんな子なの!?
半年過ぎでレベル6になったのに、純粋無垢!?
想像できないわ!
エイナの件は別にしても、会いたくなったわ。
アイナさんは、エイナさんがガチガチの堅物になったことから彼氏ができるかを心配していましたが、杞憂でしたね。
旦那のウイナを抑えて応援してくれるのはよかったですね!
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