白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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ベルくんの出自を知った父はどう思ったでしょうか?



第346話 側近(父)、葛藤。

エイナの担当冒険者が…あの最強と最恐の系譜を持つ奴だと!?

それならこれまでの偉業もうなずける。

……いや、早すぎないか?異常すぎる。

 

だが、その前に俺はエイナとそいつを引き離す手を見つけたと思った。

そんな危険な奴に愛娘を近づけるわけにはいかねえ!

「じゃあ…尚更です!大抗争を引き起こした犯罪者の系譜に、エイナをやるわけには行きません!」

「ちょ…。ほっ、誰もおらんな…。ウイナ、それをよそでは言ったらあかんで?間違いなく殺されるで。」

「え?」

「ウイナ。彼は大抗争の最初の被害者であり、最大の被害者でもあるんだ。」

「…詳しく話して下さい。」

そして、俺は…そいつが赤子の時に母をアイナと同じ病で失い、【暴喰】と【静寂】に見捨てられたことを聞いた。

彼らが大抗争を引き起こした、本当の目的も。

 

神ゼウスによって14年間育てられたが半年前に育児放棄され、家族を求めにオラリオへやってきたことを。

多くの戦いに巻き込まれ、多くの試練を乗り越え、多くの強者を倒してきたことを。

 

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衝撃の事実を聞いた俺は、そいつを責められなかった。

「そうだったんですか…。」

「彼は両方のファミリアにも似ても似つかない子だ。…もし、オラリオへ来て【ロキ・ファミリア】に入団したら、私が彼を養子にしてもいいぐらいだ。」

「リヴェリア…。」

「お主…。」

「今やから言えることやんけ…。」

「当然だ。あの時の門番を探し出して、一年間ほど説教したいぐらいだ。…まだ見つからんのか、全く。」

「「「ガチだ……。」」」

リヴェリア副団長にそこまで言わせるなんて…。

……アイナが病にかかっておらず【ロキ・ファミリア】にいたら、俺たちは間違いなくそいつを可愛がってただろうな。

俺達には息子がいないからな。

 

…そいつを偏見で見ちゃいけねえな。

確か…自伝があると言ってたな。

アイナとイーナと一緒に読んでみるか。

 

今、思えば自伝を読むことにエイナはかなり焦っていたな。

「……わかりました。彼の自伝が治療院にあるとのことなので、アイナとイーナと一緒に読みます。」

「ウイナ、思い込みは捨てるんだ。いいね?」

「そうじゃ、あの若造を甘く見るではないぞ?」

「エイナに絶縁されるぞ?」

「ウイナ、無謀に挑んだらあかんで?瞬殺されるで?」

「わかってますよ!父親の葛藤ってやつですよ!」

ちくしょう!

俺の味方がいねえ!

 

敵対していたのに…。この人達にここまで認められるなんて。

やはり、会ってみないとわからないな。

 

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そして、俺は治療院へ戻ろうとした。

 

戻る途中で街並みを見ると、俺らが出た時よりかなり明るくなっていた。

道端で子供が笑顔で遊んでいる。

あの時の暗黒期では絶対にあり得なかったからな…。

 

戻ると、アイナとイーナは本を読んでいた。

そいつの…ベル・クラネルの自伝を。

「あら、お帰り。団長達は元気だった?」

「ああ…ほとんどが見ない顔だった。ノアールの爺さんたちは本当に7年前に死んだみたいだ。ここにいる間に墓参りしないとな。」

「そう…。私も行きたいわ。」

ああ、そうだな。

あの爺さんたちにはお世話になったものだ。

 

あの爺さんたちはいつも言ってたな。

「死に場所を見つけたい。次代の英雄に引き継げるのをな。」と。

何も…大抗争で自爆して死ぬことはなかったでしょうに…。

 

そう思っていた俺は、その本を手に取った。

「…この本が、ベル・クラネルの自伝か?」

「ええ。まだ途中だけど、凄いわ…。エイナやリヴェリア様の言ったことは事実だったわ。ここの患者たちに聞いたけど、嘘ではなかったわ。」

…そうか。

そいつがオラリオへ来る前のことを知った今、それは些細なことだ。

そいつは家族を求めにきただけなのだから。

 

横目でイーナを見ると、かじりつくように自伝を読んでいた。

ページを捲る速度が半端ねえ…。

「そうか…。イーナは…すごい勢いで読んでいるが?」

「すっかり、ベル・クラネルのファンになっちゃったみたい。」

「………そうか。」

駄目だ!と言いたいが、言えねえ…。

だが、絶対にそいつのところにはやらねえ。

エイナもやりたくないが、エイナもそいつのことを全部知っているだろうな。

…困った。

 

沈痛な顔をしていた俺にアイナは心配して話しかけてきた。

「どうしたの?怒鳴り散らすと思ったのに?」

「ああ…。これが0巻か?」

「ええ、アミッドさんが全巻よんでから見た方がいいと。」

「……その方がいい。」

「…何があったの?」

「0巻を読んだらわかる。はぁ…。」

あの団長達からそんなことを聞かされたらな。

 

自伝を読んで一段落したイーナを見ると、とんでもないことになっていた。

虚空を見て、頬が赤らんでいた。

 

…嘘だろ、この短時間に?

「はぁ…お義兄様…。」

「イーナ?エイナの相手よ?」

「…どんな方なんだろう…。」

「おい、イーナ?」

「ああ…お会いしたい…。」

「駄目だわ…。」

「まだ会ってもいないんだぞ…。」

…そりゃ、そうなってもおかしくないな。

いや!なんとしても止めなければ!

 

エイナだけで十分だ!

いやいやいや、エイナも引き離さないと!

 

でもなあ…。

やはり会ってみないとわからないな。




ベルくんの出自、そしてその経緯を知った父は衝撃を受けました。
三首領だけでなくロキまでも味方してくれず、経緯もありベルくんを責めることができず悶々としています。

そして娘のイーナもベルくんにも会っていないのに、ファンとなっています。

葛藤している父です。

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