エイナの担当冒険者が…あの最強と最恐の系譜を持つ奴だと!?
それならこれまでの偉業もうなずける。
……いや、早すぎないか?異常すぎる。
だが、その前に俺はエイナとそいつを引き離す手を見つけたと思った。
そんな危険な奴に愛娘を近づけるわけにはいかねえ!
「じゃあ…尚更です!大抗争を引き起こした犯罪者の系譜に、エイナをやるわけには行きません!」
「ちょ…。ほっ、誰もおらんな…。ウイナ、それをよそでは言ったらあかんで?間違いなく殺されるで。」
「え?」
「ウイナ。彼は大抗争の最初の被害者であり、最大の被害者でもあるんだ。」
「…詳しく話して下さい。」
そして、俺は…そいつが赤子の時に母をアイナと同じ病で失い、【暴喰】と【静寂】に見捨てられたことを聞いた。
彼らが大抗争を引き起こした、本当の目的も。
神ゼウスによって14年間育てられたが半年前に育児放棄され、家族を求めにオラリオへやってきたことを。
多くの戦いに巻き込まれ、多くの試練を乗り越え、多くの強者を倒してきたことを。
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衝撃の事実を聞いた俺は、そいつを責められなかった。
「そうだったんですか…。」
「彼は両方のファミリアにも似ても似つかない子だ。…もし、オラリオへ来て【ロキ・ファミリア】に入団したら、私が彼を養子にしてもいいぐらいだ。」
「リヴェリア…。」
「お主…。」
「今やから言えることやんけ…。」
「当然だ。あの時の門番を探し出して、一年間ほど説教したいぐらいだ。…まだ見つからんのか、全く。」
「「「ガチだ……。」」」
リヴェリア副団長にそこまで言わせるなんて…。
……アイナが病にかかっておらず【ロキ・ファミリア】にいたら、俺たちは間違いなくそいつを可愛がってただろうな。
俺達には息子がいないからな。
…そいつを偏見で見ちゃいけねえな。
確か…自伝があると言ってたな。
アイナとイーナと一緒に読んでみるか。
今、思えば自伝を読むことにエイナはかなり焦っていたな。
「……わかりました。彼の自伝が治療院にあるとのことなので、アイナとイーナと一緒に読みます。」
「ウイナ、思い込みは捨てるんだ。いいね?」
「そうじゃ、あの若造を甘く見るではないぞ?」
「エイナに絶縁されるぞ?」
「ウイナ、無謀に挑んだらあかんで?瞬殺されるで?」
「わかってますよ!父親の葛藤ってやつですよ!」
ちくしょう!
俺の味方がいねえ!
敵対していたのに…。この人達にここまで認められるなんて。
やはり、会ってみないとわからないな。
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そして、俺は治療院へ戻ろうとした。
戻る途中で街並みを見ると、俺らが出た時よりかなり明るくなっていた。
道端で子供が笑顔で遊んでいる。
あの時の暗黒期では絶対にあり得なかったからな…。
戻ると、アイナとイーナは本を読んでいた。
そいつの…ベル・クラネルの自伝を。
「あら、お帰り。団長達は元気だった?」
「ああ…ほとんどが見ない顔だった。ノアールの爺さんたちは本当に7年前に死んだみたいだ。ここにいる間に墓参りしないとな。」
「そう…。私も行きたいわ。」
ああ、そうだな。
あの爺さんたちにはお世話になったものだ。
あの爺さんたちはいつも言ってたな。
「死に場所を見つけたい。次代の英雄に引き継げるのをな。」と。
何も…大抗争で自爆して死ぬことはなかったでしょうに…。
そう思っていた俺は、その本を手に取った。
「…この本が、ベル・クラネルの自伝か?」
「ええ。まだ途中だけど、凄いわ…。エイナやリヴェリア様の言ったことは事実だったわ。ここの患者たちに聞いたけど、嘘ではなかったわ。」
…そうか。
そいつがオラリオへ来る前のことを知った今、それは些細なことだ。
そいつは家族を求めにきただけなのだから。
横目でイーナを見ると、かじりつくように自伝を読んでいた。
ページを捲る速度が半端ねえ…。
「そうか…。イーナは…すごい勢いで読んでいるが?」
「すっかり、ベル・クラネルのファンになっちゃったみたい。」
「………そうか。」
駄目だ!と言いたいが、言えねえ…。
だが、絶対にそいつのところにはやらねえ。
エイナもやりたくないが、エイナもそいつのことを全部知っているだろうな。
…困った。
沈痛な顔をしていた俺にアイナは心配して話しかけてきた。
「どうしたの?怒鳴り散らすと思ったのに?」
「ああ…。これが0巻か?」
「ええ、アミッドさんが全巻よんでから見た方がいいと。」
「……その方がいい。」
「…何があったの?」
「0巻を読んだらわかる。はぁ…。」
あの団長達からそんなことを聞かされたらな。
自伝を読んで一段落したイーナを見ると、とんでもないことになっていた。
虚空を見て、頬が赤らんでいた。
…嘘だろ、この短時間に?
「はぁ…お義兄様…。」
「イーナ?エイナの相手よ?」
「…どんな方なんだろう…。」
「おい、イーナ?」
「ああ…お会いしたい…。」
「駄目だわ…。」
「まだ会ってもいないんだぞ…。」
…そりゃ、そうなってもおかしくないな。
いや!なんとしても止めなければ!
エイナだけで十分だ!
いやいやいや、エイナも引き離さないと!
でもなあ…。
やはり会ってみないとわからないな。
ベルくんの出自、そしてその経緯を知った父は衝撃を受けました。
三首領だけでなくロキまでも味方してくれず、経緯もありベルくんを責めることができず悶々としています。
そして娘のイーナもベルくんにも会っていないのに、ファンとなっています。
葛藤している父です。
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