白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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秒でKOされたフィンさんです。
条件が揃い本領発揮したベートさんとベルくんのガチなぶつかり合いを観戦しています。


第354話 勇者、観戦。

ベート…本気だな。

ベートがああなったら、僕でも勝てるかわからない。

条件が厳しいけど、それを【最強侍従】が揃えた…。

ベルを鍛え上げるのはわかるが、性急過ぎないかい?

 

それに…ベートは内心嬉しいかもしれない。

あの戦争遊戯で、ベートはベルと戦いたかっただろうね。

それを見抜いたのかな?

 

「きゃっ!あ、熱い…。」

「あの狼人…強いわ。」

「ああ、とんだ新人が入ったものだな…。」

「ベルくん…。」

アイナとウイナにとってはベートは後輩にあたるんだったな。

…いい機会かもしれない。彼の本気を見るためにはね。

 

…やはり相手にならないな。

ベートの炎による攻撃を紙一重で避けて反撃している。

当たれば彼でもひとたまりもない。

それはわかっているだろうね。

 

「…ベートの炎をギリギリで避けているな。」

「さすがの彼もアレはキツイだろうね。」

「う…私は…負けたのね。は?何よ。アレ…。」

「む…儂は負けおったか…。この熱気は…ベートめ、【ハティ】を使いおったか。」

ティオネとガレスがようやく目を覚ましたか。

まあ、この熱気じゃあね。

 

けど、いくらベートでもハティを使ったとしても…。

「があああああああっ!」

「……っ!」

「がはっ!…‥っ!」

レベル9に近いベルの相手にはならない。

 

もうベートの炎に慣れて、反撃しているね。

「……やはり、ベルが優勢だね。ベートの炎がないところを攻撃している。」

「ああ。」

「それでも…アイツの炎はより猛っているわ。」

「うむ…。」

ダメージを喰らえば喰らうほど、ベートの炎は大きくなる。

彼はそれをわかっているはず。

なら…持久戦になるか?

 

「逃げんじゃねえ!」

「!」

「また…あん時と同じように逃げるのか!?また酒場のように逃げるのか!?」

「貴方は…あの時、僕に気づいて…。」

「もう一度…見せてみろ!吠えてみせろ!てめえの…弱者の咆哮を!」

「!」

リン リン

 

何だって?

酒場…まさか半年前のあの場に彼もいたのか?

ベートは…彼がいるのを分かっててあの暴言を?

何てことを…。

 

…ベートの言葉に応える気かい?

甘いね、彼は本当に。

だが、それが皆を惹きつけるだろうね。

 

…思い知らされるな、自分が未だ『神工の英雄』であることに。

 

「む…溜めおったぞ。あやつ。」

「真っ向からぶつかる気か?」

「困るね…ここが吹き飛ばされるけど?」

「ちょ、ちょっと!止めないとまずいわよ!?」

「やめてーや!せっかくローンが終わったのにぃぃぃぃ!」

リン リン

 

…吹き飛ばされるのは確定だけど、邪魔はしたくないね。

彼らの魂のぶつかり合いなのだから。

……ローンは苦しいけど、また建てればいいだけの話だし。

 

「…それでいい。俺もただでは喰われてやれねえ!」

「…あの時、貴方のおかげで僕は奮起しました。」

「!」

「あの時までは適当に頑張ればいい、と思っていました。…でもあの時、貴方の言葉で目が覚めました。強くなりたいと。」

「………へっ、それでいい。」

リン リン

 

皮肉な話だね。

当時最強派閥の僕らが弱小派閥の彼を罵倒したきっかけが、彼を『英雄』の道へ歩ませることになったということに。

そして、アイズも…。

 

「え?あの時って?」

「……リヴェリア。あの時のベートの暴言吐いた場で、彼もいたのかい?」

「ああ、言ってなかったか?」

「聞いておらんぞ…。アイズがあの時凹んでいたのは、あの若造に聞かれてしまったからか…。」

「それはいくらでも謝るから、ここでやらんといてー!」

「「「手遅れだ、ロキ。」」」

「そんなー!」

リン リン

 

ベートは…彼のように弱者から這い上がってくるのを待っていたのか。

全員がベルのようにはいかないだろうに。

あのミノタウロスの戦いは、ベートに自ら吐いた言葉を逆にぶつけられたか。

そして…彼の立ち上がった姿にベートは待ち焦がれていただだろうね。

 

「ふむ…頃合いですね。」

「え?メ、メイさん?コインを…?」

ピンッ…………カラン

 

「「!」」

「正面激突!?」

「がははは!あやつららしいのう。」

ああ、そうだね。

そうでなくては困る。

 

「があああああああっ!」

「うあああああああっ!」

相打ち…いや。

 

ドゴォォォォォン!

「「「うわぁぁぁぁぁぁ!」」」

 

「うん、やはり吹き飛んだね。」

「やれやれだ。」

「あ…。」

「やはり、あやつが勝ったか。」

ベルも多少タメージを受けたけど、それほどじゃないね。

はぁ…ベートの言う通り差がどんどん開いていくよ。

 

「はぁ…はぁ…。」

「お見事です、坊ちゃま。【凶狼】を…あの時のお礼を返しましたね。」

「うん…。べ、ベートさんは!?」

「大丈夫ですよ、彼女が介抱してくれるでしょう。」

「あ…リーネさん。そうだね…って!あわわわ、鍛錬場が吹き飛んじゃった…。べ、弁償しなくっちゃ…。」

「リヴェリアさんから誘ったのですから、こちらには非はありません。」

「ええー…。」

それはそうだけど…。

また資金を貯めないといけないね。

 

ベートは……彼女がいるから大丈夫か。

随分と積極的になったね。

「大丈夫ですか?ベートさん?」

「俺は…負けたのか?」

「はい、【白兎の脚】の渾身の一撃がベートさんの魔法を吹き飛ばし、そのままベートさんを殴り飛ばしました。」

「ちっ…何があいつに勝てる方法だ。嘘こくんじゃねえ…。」

「でも、【白兎の脚】も無傷ではありませんでした。多少の火傷を負っているようですが。」

「多少の火傷じゃ、意味ねえだろ…。俺と同じレベル6だぞ?」

「レベル8の【猛者】に勝った彼でもですか?」

「………ちっ。あの女の言う通り、【ハティ】を使いこなさねえと…。」

「私も手伝いますね?」

「…勝手にしろ。」

……ベートにも春が来たか。

レナ・タリーもいるけど、どっちを選ぶのかな?

 

……人のことを心配している場合じゃないね。

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

「母様、父様、これでベルくんの実力はわかりましたでしょうか?」

「よくわかった。十分に理解した。これ以上なく理解した。」

「エイナ。」

「あ、はい?」

「彼を逃したらダメよ?絶対に捕まえておきなさい!(あのファミリアの系譜は確かに問題だけど、今のを見れば些細な問題ね。これ以上ない娘婿だわ。しかも私好みだし…ふふふ、理想の義息子そのものね!)」

「はい!もちろんです!」

「何とかしてでも、【ヘスティア・ファミリア】に入らなくっちゃ…。ベル様にお仕えしたい…。」

「(チラッ)…………本気であいつが心配になってきた。」

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

ベルが【最強侍従】を連れてこっちへ来たか。

案の定謝ってきたね。

 

本当に彼は【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】の系譜を持っているのかい?

彼らなら、至極当然のように去っていくというのにね。

「す、すみません!こんな有様になってしまって。」

「いや、私から誘ったからな。気にするな。といっても、これはさすがにな…。」

「そうじゃな。だがのう…。」

「そうだね。吹き飛んだのが一部だけヨシとするけど、その跡はどうするか…。」

「では、提案がありますが聞きますか?」

「「「え?」」

提案?何だろう…。

いい予感もいやな予感もするんだけど?




あの時、豊穣の女主人でのベートさんの暴言は、ベルくんがいて吐いたものと思います。
(コミカライズでは、ベートさんがベルくんが逃げ出すのを見てましたからね。)
ですが、そこまで早く強くなるのは予想外だったでしょう。

そして鍛錬場が吹き飛び、どうしようかと呆れている三首領です。
そこへメイか提案が来ました。
何でしょうか?

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