まだまだヘルメス回です。
ちょっと長めです。
皆さんのお待ちかねの、ヘルメスへの尋問タイムです。
オレたちは、首筋にナイフを突きつけられている。
ヘスティアと共に【ヘスティア・ファミリア】のホームへ入ったら、いきなり拘束させられた。
何だ何だ!と思い、メイの顔を見たら一気に血の気が足の指先まで引いた。
あのような体感、ヘラからの折檻もとい拷問以来だよ…。
現状を説明しよう。
オレの首筋にメイのホウキ仕込刀が、アスフィの首筋にセバスのステッキ仕込剣が突きつけられて正座させられている。
レベル4のアスフィは抵抗しようとしたが、当然レベル7上位相当のセバスにかなうわけがない。
この二人が手を組んだら、【猛者】いや【ゼウス・ファミリア】団長の【傑物】でも勝てるかわからないくらいなのに。
………詰んだ。
「何だ何だ!…また、ヘルメス様かよ。今度は何をやったのですか?」
「わかりません。メイ殿とセバス殿がいきなりヘルメス様を…。」
「どうせ、ろくでもない事でしょうね。」
「ちょ、ちょっと!メイくん、セバスくん!何しているんだい!ヘルメスは戦争遊戯について…」
「ヘスティア、いやヘスティア様ぁぁぁ!助けてぇぇぇぇ!何でもするからぁぁぁぁ!」
「うわぁ…、ヘルメスのその必死な表情…天界でのヘラのお仕置き以来だよ…。」
そうだよ!それに相当するくらいなんだよ!
助けて!お願い!
「ヘスティア様、これは尋問なのです。」
「そうです。坊ちゃまへ仕出かした悪行の数々について、この糞神に色々とお聞きしたいことがあるのですから。」
「ベル君に対する悪行だと…!?よし!許可する!」
ヘスティアぁぁぁぁ!
「悪行の数々って…異端児の件だけじゃないんですか!?」
「ふふふ、神ヘルメス。お久しぶりですね、15年ぶりでしょうか。」
「ははは、どうしましたか?海国の姫である貴方が結構震えていますよ、寒いのですか?おかしいですね、室温がそんなに低いはずはないのですがね。」
何で、ナンデ…いるんだぁぁぁ!
震えているのはあんたらのせいだよ!
アスフィ、アスフィー!大丈夫か?
あ、俺を涙目でめっちゃ睨んでいる。
『だから、止めましょうと言ったでしょうが。この馬鹿神が。』
と思ってるんだろうなぁ。
「あー、うん。ひ、久しぶりだね。メイ、セバス。な、何故君たちが封印から解放されているのかな?」
「言わなくてもわかるでしょう。唯一無二の最後の生き残りである坊ちゃまに決まってるでしょう。」
「わかりきったことを聞くのが貴方の悪い癖ですな。」
やっぱりかー!
彼らを解放できるのはベルくんしかいないからなぁ…。
もっと先と思ったんだが…想定外だよ…。
「そ、そうかい。俺はベルくんに何もしてないぜ?本当だよ。」
(というか、ベルくんはどこにいるんだぁぁ!助けてくれぇぇぇ!)
「ああ、神ヘルメス。坊ちゃまなら我らの訓練で疲れ果てて既に床についておられます。」
「これまでの坊ちゃまは睡眠時間が足りません。十分に睡眠をとっていただき英気を養っていただけないと。」
!?
読まれてる!だから、こいつらは苦手なんだ!
「あれ?春姫くんはどうしたんだい?」
「ヘスティア様。春姫さんは私がお願いした所用により、今夜は不在です。ご心配なく。」
「…はい、そうです(まさか、ベル様の安眠のためにベル様の添い寝をしている、と言えないじゃないですか!き、今日は春姫様ですが、明日はリリです!早く新品の下着を買っておかないと…)。」
「さて…尋問を始めましょうか。ああ、答えるのは【万能者】だけでいいです。ヘスティア様は、嘘かどうか判断をお願いします。」
「あ、うん(ヘルメス…、信用されてないな…)。」
「メイ、神ヘルメスに猿轡をしておきなさい。または声帯をつぶすかに…」
「猿轡でお願いします!」
「「「うわぁ…扱いに慣れている…。」」」
彼らは本気でやる。マジでやる。絶対にやる。
なにせ、やられたのは1,2回じゃないからな。
「まず第一の罪です。五ヶ月前に、坊ちゃまが【タケミカヅチ・ファミリア】による怪物贈呈で18階層へ避難した時です。」
「ぐはぁっ!」
「お、おい!命、俺たちはもう気にしてないから!」
「そ、そうです!」
「モルド・ラトロー にぼっちゃまへの冒険者によるリンチを依頼したのは、貴方たちですね?モルド・ラトローが使用したものは【万能者】、貴方の魔道具ですね?」
何で知って…あー、ベル君の記憶を見たわけか…。
白を切るより正直に言ったほうがいいか。
アスフィー、俺らの負けだ。正直に言ってくれー。
『覚えていてくださいよ…。』
恨みがましい目でオレを睨んだ。
説教なら後でいくらでも受けるさ。
こいつらのお仕置きに比べたら…雲泥の差さ。
「えっ!あれはヘルメス、君の仕業だったのか!」
「「「な、何だってー!」」」
「……………はい、そうです。」
「嘘は言ってないっ!よくもやってくれたなっ!ヘルメスっ!」
「んんーんんんんーん!(ベルくんのためなんだ!)」
「その後の黒いゴライアスは、ヘスティア様の神威が引き金になったとはいえ、よく勝てたものです…。まあ、そのおかげで、リヴィラのならず者共は坊ちゃまを見下すようなことをしなくなったのは、非常によいことです。しかし、冒険者のリンチは見逃せません。」
「それは後で精算しましょう。次は、第二の罪です。」
「「「え?せ、精算?」」」
ひいいいっ!
「第二の罪は、【イシュタル・ファミリア】の壊滅で坊ちゃまを利用したことです。」
「「「な、何だってー!」」」
「【イシュタル・ファミリア】へ坊ちゃまを放り込み、坊ちゃまに執着していた神フレイヤを怒らせて【フレイヤ・ファミリア】をぶつけましたね?」
あー…、お見通しかぁ…。
「……………はい、そうです。ただ、ベル・クラネルがあそこまでの行動に及んだのは想定外でした…。」
「…嘘は言ってない…。何で…そんなことを…したんだい?なぁ~ヘルメス。」
あ、怒ってらっしゃる。
「ちょ、ちょっとお待ち下さい!じゃあ、春姫殿の件もヘルメス様が…?」
「いえ、【絶†影】。サンジョウノ・春姫については全く計算外でした。それは確かです。」
命ちゃんはヘスティアを見て、嘘ではないことを確認したけど…、こりゃあ怒っているな。
タケミカヅチに殴られるのを覚悟しておこう…。
「まあ、大体は予想できます。恐らく、闇派閥の資金源を絶つためでしょうな。」
「!?………………はい、その通りです。」
「「「(この二人、有能すぎる…!)」」」
「続いて第三の罪ですが、これは皆さんご存知の『異端児』の件ですね。第一、坊ちゃまをそんなハリボテの英雄の座へ行かせても、数日はもたないでしょう。」
まあ、そうだけど何とかなると思ったんだよ。
「『異端児』の件でも許さないと思ったんだけど…そもそも何でベルくんにそういうことをしたんだい?」
「恐らく、坊ちゃまを【最後の英雄】に押し上げるために、試練のようなものを課したでしょうね。」
「まあ、おかげで坊ちゃまが心身と共に急成長したのはいいのですが、急すぎませんか?」
冒険者のリンチやイシュタルの件は確かに認めるよ!
『異端児』の件は、本当にベルくんを関わらせる予定はなかったんだよ!
「多分、神ヘルメスとしては『異端児』で坊ちゃまを関わらせる予定はなかったでしょう。」
「坊ちゃまの、オラリオでの信用が下がった時に、考えたのでしょう。」
…はい、そのとおりでございます。
「…はぁぁぁぁ。ヘルメス…ボクらが英雄を造ったって意味がないんだよ。英雄とは人々が、世界が求められて、その場に上がった者が英雄になるんじゃないのか?それはわかっているんじゃなかったのか?」
…わかっているさ。けど、時間がないんだよ!
ダンジョンは待っちゃくれないんだ。
「ダンジョンでしょうね。」「ダンジョンですね。」
「…!?そう、もう限界なんだね…。うーん。」
わかってくれてうれしいよ。
なので、そろそろ解放してくれないかな?
「第四の罪に進みましょうか?」
「「「うそだろ!?まだあるの!?」」」
そんなバカな!もうないはずだぞ!
「坊ちゃまを不埒な道へ引きずり込もうとしたことです。」
「「「あっ‥。」」」
あーあー、忘れていたよ。ハハハ…。
「皆さんもご存知のように、坊ちゃまが神ヘルメスによって18階層の覗き騒動や夜の街へ幾度か連れて行こうとしたのも、非常にいけません。特にイシュタル騒動で、歓楽街で坊ちゃまに渡した精力剤は、貴方のですね?」
「「アレはお前のかっ!」」
「ちょ、ちょっと待って下さい。それ、私初耳なのですが…。」
「神イシュタルへ『殺生石』を配達した日に坊ちゃまと会い、餞別と言いながら精力剤を渡したのです。」
「………うちの主神が重ね重ね、本当に申し訳ございません…!」
『ホームへ帰ったら折檻しますからね!』
あー、うん。
いくらでもしてくれよ…。
「第五の罪で最後ですので、ご安心ください。神ヘルメス。」
ええー…今度は何だよ…。
「アスフィ姫、【ヘルメス・ファミリア】でルルネ・ルーイという【泥犬】の犬人がいますね?」
「あの…姫はやめていただけますと…。え、ハイ。ルルネは確かにいます。またあの駄犬が何かしましたでしょうか?(あの駄犬、本当にお仕置きしましょうか!ええ!します!)」
「姫は姫ですので…。うちの坊ちゃまが半年前に【ヘルメス・ファミリア】へ入団しようとしたのはご存知でしょうか?」
「え?」(え?)
「その様子ではご存知なかったようですね。まあ、【泥犬】に感謝した方がいいかもしれません。坊ちゃまが【ヘルメス・ファミリア】に入団してましたら、我々が神ヘルメスを送還させたのは確実ですから。」
(初耳だぞ!けど、ルルネ、ナイス!)
「…そ、そうですか。聞いておりませんでした。…あの、何故それが罪なのでしょうか?」
「【泥犬】が坊ちゃまを才能ナシとこき下ろし、今も見下しているからです。」
「…うちのルルネが大変申し訳ありませんでした!私の教育不足です!」
「「「うわぁ…(敵に回しちゃいけない!)」」」
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