白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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メーテリアさんが思ったより強く、思ったより残虐で疲れているお二人です。
そして…。


第381回 静寂、看破。

私達が精神的に疲れていても、メーテリアは元気だった。

……寝込んでいた方がよかったかもしれん。

 

17階層に着いた。

「グオォォォォォッ!」

「かかれー!かかれー!」

騒がしいな、雑音共か。

 

ゴライアス如きで何をさえずっている。

「お!あんたら、手伝ってくれ!……あんた、【白兎の脚】に似ているな?」

「あら?そうかしら?ふふふ、ベルの、実の、母のメーテリアです。」

「お、おう…若すぎないか?それは後だ!あのゴライアスを何とかしてくれ!」

「任せてちょうだい!」

「……いいのか?」

「……様子見る。」

……本当にレベル8なら、ゴライアスを難なく倒せるはずだ。

 

そう思っていた私がいた。

そして、後悔した。

 

凶音(ゴスペル)

【サタナス・ヴェーリオン】

「グオオッ!?…グオオ…。」

 

「…え?短文詠唱!?」

「ば、爆発?」

「いや…中から破裂したぞ…しかも股間。」

「「「ひぃっ!」」」

ミノタウロスと同じか…。

巨大な分当てやすいからな。

だからといって、そこを先にすることはなかろうに。

 

凶音(ゴスペル)

【サタナス・ヴェーリオン】

「グオオオオオッ!?」

 

「今度は両足の親指…。」

「ひでぇ…。」

ピンポイントで嫌なところを破裂しているな。

いや……練習しているのか?

 

「グオオオオオオオオッ!」

「うるさいわね。」

 

凶音(ゴスペル)

【サタナス・ヴェーリオン】

 

「グオッ……!……!」

 

「の、喉も…?」

「んー。やはり義母さんのようにうまく潰せないわね。」

「「「「潰す!?」」」

ヘラめ、何てことをメーテリアへ教えているのだ。

余計な知識を持たせてしまったではないか!

 

ゴライアスがメーテリアへ目掛けて拳を振り下ろした。

丁度いい。先程まではモンスターが弱すぎてわからなかった。

こいつ相手なら、あの魔法の正体がわかる。

「あ、危ねえ!」

「…は?え?遅い…?」

「あれじゃあ、パンも潰せねえぞ…。」

「あらあら、そんな攻撃じゃ私を倒せないわよ?」

……そうか、そういうことか。

そこまで私と似なくてもよかろうに。

嬉しいといえば嬉しいが、それはあまり嬉しくないな。

 

ザルドが答えを教えろという視線を向けた。

あれではすぐに看破できないから、仕方がない。

「……あれは物理の無効化だ。」

「は?お前の魔法とは別なのか?」

「ああ、私のは魔法の無効化だが。メーテリアは物理の無効化だ。」

「………。」

ザルドは絶句していた。

当然だろうな、ほとんどの冒険者の攻撃が効かないと同義だからな。

 

続けて私は言った。

「魔法攻撃に特化していないやつらにとって天敵だな。ザルド、お前もだ。」

「やりあいたくねえ…【レーア・アムブロシア】しかねえじゃねえか。しかもあのえげつない魔法を連発されたら何もできねえぞ!」

「戦士殺しだな。……ヘラとセバスめ、黙っていたな?」

何故、そのようなことを黙っていたのだ!

そういうのは姉である私へ真っ先に報告すべきだろうが!

 

カンカンに怒っている私をよそにメーテリアは、ゴライアスをいたぶっていた。

いや、ゴライアスで練習していた。

 

凶音(ゴスペル)

【サタナス・ヴェーリオン】

「………。………。」

 

「もう…許してあげて下さい…。」

「…いっそ、楽にさせてやって下さい。」

「あの【白兎の脚】に似ているのは容姿だけなのか…。」

容姿だけでなく性格もだが。

 

このような一面はベルには皆無だ。

ない方がいい。

 

セバスの言った通りだ。

両親のいいところだけを凝縮しているのだ、ベルは。

本当に奇跡的な組み合わせだ…。

 

帰ったらベルをナデナデしよう。

うん、そうしよう。

この惨劇を見た私が癒やされたい。

 

凶音(ゴスペル)

【サタナス・ヴェーリオン】

「………っ!」

 

「あれ?破裂しない?」

この音は…、まさか。

 

「いや……体内で破裂しているぞ。」

「「「え?た、体内?」」」

「恐らく…今のは肺の片方だな。」

「「「ひぃっ!」」」

もうそこまで魔力のコントロールをつかんだのか…。

相手の内臓の位置までも。

 

凶音(ゴスペル)

【サタナス・ヴェーリオン】

「…………。」

 

「もう…ピクリとも動かねえぞ。」

「ゴライアスを可哀想と思ったのは初めてだ…。」

異端児ではないが、こんな複雑に思ったのは初めてだ。

 

そしたら、メーテリアが不満そうに言った。

「なるほど、魔石を破壊するだけなら一回だけでいいのね。でも面白くないわね。」

「「「え?お、面白くない?」」」

「………もう【女帝】より怖いぞ。俺は。」

「私もだ。名実と共にメーテリアは【ヘラ・ファミリア】の真の最恐となったな。」

【女帝】でも私でもそこまでやらないぞ。

笑顔で何故そこまでいたぶれるのだ?

ヘラを超えているぞ…。

 

凶音(ゴスペル)

【サタナス・ヴェーリオン】

「………。」

 

「や、やっと死んだな…。」

「見ろよ…ほっとしたような顔だぞ…。」

「安らかに逝けよ…。」

貴様ら、メーテリアを心配しろ!…とは流石に言えない。

ゴライアスのこの様を見せつけられたらな。

ゴライアスに黙祷してもいいぐらいだ。

 

メーテリアは背伸びしながら言った。

「んー!コツはつかんだわ。さぁ、サクサク行くわよ!あ、リヴィラってどんな街かしら?」

(((ビクッ!?)))

……今までのは準備運動だったのか?

我が妹ながら恐ろしく思ったぞ。

 

むさ苦しい奴らから、眼帯した大男が慣れない笑顔をしながら手を揉みながら出てきた。

「あ、あのー?お嬢様、ほ、本日は定休日でして…。」

「あら?そうなの?仕方がないわね。姉さん、18階層を見て回りたいわ。」

「…そうだな。」

リヴィラに定休日ってあったのか?初耳だぞ。

いや、違うな。

メーテリアを恐ろしく思ったんだ。

 

メーテリアのその発言を聞いて、こいつはすぐ先程の集団へ駆け戻って呼びかけた。

『て、てめえら!至急帰って店じまいしろ!』

『『『わかった!』』』

「リヴィラの連中を初対面でこんなに怯えさせるとは…。」

…嬉しいようで全然嬉しくない。

嗚呼…あの儚い妹はどこへ行ったのだろうか…。

 

そんな私達をよそにメーテリアははしゃいでいた。

「あー!楽しかった!」

「…そうだな。」

「次は深層へ行きたいわ。」

「…そうだな。」

私は…疲れた。

ザルドもモンスターの成れの果てを見ながら、胸焼けしたかのようだった。




ゴライアスを嫐り、恐怖に陥っているリヴィラの方々です。

仕方がありませんね。

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