その日の夕方、メーテリアがベルと散歩するために席を外した後に奴らへ注意した。
「…ということだ。いいな?メーテリアを絶対に怒らせるな。木端微塵になりたくなければな。」
「物理無効……ずるくありません!?」
だろうな、魔法が使えない冒険者にとっては天敵だ。
「私はそれより、一番目の魔法が怖いでございます(ぶるぶる)。」
「内部から破裂するなんて…アルフィアと違って防御も回避も全くできないじゃない!」
「心臓を破裂させたら、終わりでございますねえ。」
そうだ。正に即死攻撃だ。
私の魔法は単に音をぶつけるだけだ。
なので貴様らでも魔道具とかで防げるだろう。
しかし、メーテリアは体内の魔力や音を増幅させて破裂するのだ。
いかなる魔道具でも防げないし、効かない。
私の【静寂の園】ぐらいでなければな。
ルゥというエルフが顔面蒼白していた。
「接近戦をしようにしても物理攻撃を無効させられ、超短文詠唱で内部から破裂される?対処するには超遠距離で魔法しかないのですが、レベル8なのであっという間に間合いを詰められますね…。どうしろと?」
「無理ね。」
「弓でも無理だな。」
「組技なら…あ、無理ですね。掴む前にやられますね。」
どうもしない。大人しくやられるだけだ。
だから、メーテリアを敵にするべきではないと言っているのだ。
「はいはい!質問です!」
褐色の貧乳娘…ティオナと言ったか。
「何だ。」
「リヴィラのあのごうつく連中を震え上がせるなんて…。どんなふうにゴライアスを殺ったの?。」
「……股間、両足親指、喉、両目、左腕、肺、腎臓、小腸、胃、心臓、そして脳の順に破裂させた。ゴライアスを哀れに思ったのは初めてだったぞ…この私が、だ。」
「「「ひぃぃぃぃっ!」」」
そう怯えるのも道理だ。
リヴィラのならず者共が震え上がるくらいなのだ。
「あの怒りの上に、その魔法ですか…。幸いなのは戦闘経験が乏しいことでしょうか?」
「そうだね、でも…敵にしたくない。ベルくんの実のお母さんだもの。」
「うん……、ベルに嫌われるのはもっと嫌…メーテリアさんに嫌われるのも嫌…仲良くするしかない。」
「「「同感です!」」」
よし、これでいい。
メーテリアは私と違い、見た目がああだから舐められやすいからな。
ある程度の畏怖を持ったほうがいいのだ。
……不本意だが、味方で犠牲者を増やすわけにはいかない。
ベルが悲しむからな。
特に、ベルにそのことはは絶対に知られてはならん!
「いいな?ベルはそのことを知らない。もし…知ればベルはメーテリアに近づかないかもしれん。そうなったら、メーテリアは…」
「「「そ、そうなったら?」」」
「全てを血へ沈める権化となるだろう…。」
「「「ひぃぃぃぃっ!」」」
冗談を抜きにしてもあり得る話だ。
「でも、ベルさんはメーテリアさんがどんな人であっても慕うと思いますが…?」
「そうだ、ベルはそんなメーテリアでも母と慕うだろう。だから念のためだ。」
「「「ホッ……。」」」
「いいか?メーテリアを怒らせるんじゃないぞ?ここにいるやつらならいいが、他のボンクラ共が何するかわからん。そこを気をつけろといっているのだ。」
「「「了解しました!」」」
ふぅ…これでよし。
私のガラではないが、これもベルのためだ。
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「叔父貴…さっきの件、本当ですか?」
「ああ、そうだ。俺でも怖かったぐらいだぞ?ヴェルフの魔剣やヘディン以外はほぼ即殺じゃないか?」
「「「即殺!?」」」
「魔剣は無限じゃないんだぞ!しかも、あっちのレベルが圧倒的じゃねえか!俺が木端微塵になるのがオチだ!」
「私は嬉しくないです…。それにあの怒りを目の前にしたら詠唱を唱える自信がないです。躊躇している間に死にます、絶対に。」
「友は…恐ろしい母たちを持ったな。」
「「「オイバカヤメロ!」」」
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「ただいまー!」
(((ビクゥゥゥッ!)))
「オラリオの日暮れの散歩っていいでしょ?ベルと手を繋いで歩いてみたかったの!」
「僕もだよ、ママ!只今、戻りました。あれ?みんな、どうしたの?」
ふむ、ベルは聞いてないな。よかった。
「なんでもないぞ?そろそろ、夕飯の時間ではないのか?ザルド。」
「ああ、そうだ。今日は店を早めに切り上げたからな。俺が料理する。」
「あら!ザルドさんが料理してくれるのね!今日は何かしら?ミネストローネがいいわね。」
「え(あの惨劇を目にしたのにか!?さすが…【ヘラ・ファミリア】だ。)」
「メーテリア…お前、あれを見たのにミネストローネなのか?」
「?ああ、単に敵を倒しただけでしょ?義母さんも姉さんもいつも言ってるじゃない、やられる前にやれと。」
「間違ってはいないだろう?…おい貴様ら、何だその目は。」
「「「何でもありません。」」」
当たり前のことだろうが。
「…今日は八宝菜定食とオニオンスープにする。」
「「「わーい!」」」
「えー?」
よし、いいチョイスだ。ザルド。
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「ヘラ…。」
「ヘスティア、仕方がないだろう。あの時のメーテリアは本当にか弱かったのだ。まさか、病が治ってここまで回復し、そこまで強くなるとは思わなかったのだ。」
「いや、それはいいんだよ。むしろ、喜ばしいよ。ただ、「やられる前にやれ」というのはちょっと…。」
「間違っていないだろう。そもそも、ヘスティア。お前が優しすぎるんだ。だから、アポロンのような変態に好きなようにされるのだ。」
「むー、それを言われるとなー。…そういえばアポロンはどうしているんだい?」
「まだまだしぶとい。厄介な変態だな、全く…。」
「そ、そうかい(すごいなー、アポロンは。ヘラの折檻に耐え、屈しないとは…。)。」
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メーテリアさんはベルと夕方の散歩をしてご機嫌です。
微笑ましいですね。…その影で怯えている皆さんを知らずに。
そしてアポロンはまだ耐えています。
すごいですね!
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