春姫追放の背景を知って驚いている一同です。
まさか、春姫殿が追放された背景にそのようなことがあったとは…。
タケミカヅチ様が【アマテラス・ファミリア】主神アマテラスの側近であることも知りませんでした。
そして、私達をオラリオへ連れてきた目的が、ヤマタノオロチを討つためとは知りませんでした。
…なら、期待に応えなければいけません!
タケミカヅチ様は孤児であった私達を拾い育てた目的が、そのためであったとしても。
家族同然で育てていただいた恩は絶対に忘れません。
ただ、どうしても気になるのです。
「あの…輝夜殿。」
「何でしょうか?」
「先程の話ですが、何故サンジョウノ当主は春姫殿をそのような形で追い出したのでしょうか?」
「…わからん。ただ、今日までお前たちの話を聞いて疑問があった。」
「疑問…ですか?」
そういえば、輝夜殿は私達の馴れ初めを聞いて唖然としていましたね。
それと関係があるのでしょうか?
「そうだ。春姫は世間知らずで大事に育てられたそうだな?」
「ああ、そうだ。」
「は、はい!」
「……それはジョウノ家にとって、絶対にあり得ないのだ。あってはならないことだ。」
「「「え?」」」
あり得…ない…?
ど、どういうことでしょうか?
輝夜殿は苦虫を噛み潰しように話してくれた。
「私の家…ゴジョウノは物心ついた時…いや、つく前から暗殺まがいのを無理やりやらされた。」
「「「!!」」」
輝夜殿が…暗殺まがい?
「他のジョウノ家も同じだ。サンジョウノもまた例外ではない。」
「……。」
そんな…あのサンジョウノ家が。
とてもそんな素振りには見えなかったのに。
輝夜殿は更に語ってくれた。
「聞いた話だが…サンジョウノ家は、物心ついた時から呪具や魔道具などの危険物の扱い方を無理やり体で覚えさせるそうだ。1つの部屋に閉じ込めて、数多くの魔道具・呪具などを使いこなさせるのが当たり前、と聞いている。…だが、春姫からでもお前達からの話でもそれがない。」
「……。」
そんなことを春姫殿はされていない!
あの家に魔道具や呪具などはありませんでした!
…いや、あの家がサンジョウノ家ではなくあの家そのものが春姫殿のための家だとしたら…?
そうだと思えば、うなずけます。
輝夜殿は首を傾げながら、腕を組みました。
「サンジョウノ当主は、かなり春姫を大事に育てて甘やかしていたということがわかる。だが、それはジョウノ家にとっても…『朝廷』から見ても、怠慢なのだ。」
怠…慢?
あれが怠慢というのですか!
じ、じゃあ何故!あの方は春姫殿を大切にした上でどうして!
「……な、何故!春姫ちゃんに罪を負わせて追放したのですか!」
「わからん。」
「わからん、とはどういうことだ…?」
わからん?
ジョウノ家の考えていることが…いえ、サンジョウノ家当主の考えていることがますます分からなくなってきました…。
輝夜殿は自嘲するかのように話してくれた。
「サンジョウノは…ジョウノ家の中で狡猾で冷酷無比としても有名なのだ。」
「「「!!」」」
「我が子であろうともな。…だからこそ、春姫の扱いがわからんのだ。」
…あの方は一体、何を考えていたのでしょうか?
「ゴジョウノは残虐無比と言われているがな、ふふふっ。」
「「「……。」」」
輝夜殿…。ゴジョウノ家が忌まわしいと言っていたのはそういう意味でしたか。
いや…他にも何かありそうな気がします。
かぶりを振りながら輝夜殿は言った。
「だからこそ、理解できんのだ!何故そこまで大事に育てて、『朝廷』の命令から逃れさせるためにわざと罪を負わせて追放したのかを!」
「何だ。お前でもわからんのか?」
……いつの間にそこにいたのですか、アルフィア殿…。
「…貴女にはその理由がわかるのでしょうか?」
「ああ、わかるとも。…その当主にはいたのだろう、愛していた人が。」
「…どういう意味でしょうか?」
愛していた人?
それとこれがどう結びつくのでしょうか?
「…私はベルを見て、メーテリアと見間違えたのだ。愛する妹と生き写しのあの子をな。」
「「「!!」」」
「おそらく…そいつがかつて愛していた人の生き写しが春姫だったのだろう。だからサンジョウノの運命とやらを押し付けなかったかもしれん。」
「そういえば…私達が春姫と関わるのをよしとしていませんでした。」
あの時の当主の顔は春姫にではなく、私達に威嚇しているようでした…。
「近寄るな!」という感じで…。
「相当箱入り娘と育てられたのだろうな。そこへ貴様らのような虫が「虫!?」紛れ込んできたらいい顔しないだろう。私ならそうする、うむ(あの狒々爺はでっかい害虫だがな)。」
「は?つまり…ただの親馬鹿ということでございますか?」
「そうなるな。」
「「「………。」」」
いつもしかめっ面しているあの当主が…親馬鹿ですか?
輝夜殿は腹を抱えて、笑いをこらえていました。
「くくっ…あのサンジョウノが親馬鹿でございますか。くくくっ…。」
「おい、お前の標的からそいつは外せ。メーテリアが直々にオハナシしたいそうだ。」
「なっ…!わかりました、喜んで外しましょう。ええ、本当に。」
「うわぁ…。今からその方が哀れに思えてきました…。」
「「???」」
あの方…ベル殿の母上のメーテリアさんの怒りに触れましたか…。
…強く生きて下さい…。
めちゃくちゃです…。
【アマテラス・ファミリア】に、ヤマタノオロチに、生贄、ジョウノ家、そしてサンジョウノ家。
……貴族に産まれず、タケミカヅチ様に拾われたことが私達にとって幸運でした。
ええ、本当に!
サンジョウノ当主は春姫を大事に思い、ジョウノ家の宿命を押し付けなかったでしょう。
ヤマタノオロチの生贄から逃れるには、罪を犯し追放するしかないと苦渋の決断をしたと思います。
何故、そんなことをしたのかというと、サンジョウノが愛していた女性が春姫と生き写しだったからかもしれません。
極東のドロドロとした事情を知って、辟易としている【タケミカヅチ・ファミリア】です。
タケミカヅチとツクヨミに拾われてよかったですね!
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