おや…ラシャプに手を差し伸べる方が?
物陰から見覚えのある神が覗き込んできた。
あっ!あいつは!
「何だ…。聞き覚えのある声が聞こえたと思ったら…。」
「あら?セト様とセティさん?」
「…シノスさんか。どうしたんだ?」
「ところで、セト。この神はどこの神かしらないか?」
「この神…?…お前、ラシャプか!」
「セ、セト!助けて!」
気に食わない神だけど、この際仕方がない!
自称神と言った茶髪の娘がセトへ話しかけた。
「あら、セトの知り合い?」
「ああ、同郷のどうしようもないやつだ。……周りのやつらが気絶しているようだが、こいつが何かしたのか?」
どうしようもないやつで悪かったな!
だから、こいつは嫌いなんだ!
「ああ、こいつらを使って私達を襲おうとしたぞ?」
「な!?お、お前は大馬鹿か!下界で…いや天界でも絶対にやってはいけないことを!何てことをしたんだ!」
「な、何だよ!セト、助けてくれよ!」
ど、どういうことだよ?
下界だけでなく天界までも…。
こいつらが自ら神と言ったことと関係があるのか?
セトは可哀想な子を見る目で僕を見つめた。
「……そうか、お前は知らなかったんだな。この人たちは…元神だ。何故か知らんがヒューマンとなっているんだ(オラリオの不思議がまた増えたんだ…どうなっているんだ…。)。」
「は?」
「ええ、そうですよ?ラシャプ様?いえ、ラシャプ……1年前はよくも私の持ち物を汚してくれたわね?」
「(あ、終わったな…。)」
は?1年前?
ふ、雰囲気が何か変わった?
まるで、神のように。
え?マジで神?
いやいや、そんなことより今の発言だよ。
確かその頃は、僕ら【ラシャプ・ファミリア】の最盛期だった頃だ。
「1年前…?その時はシャルザードを玩具にしてた時だから、お前なんか知ら………。ま、さ、か、フレイヤ…様じゃないよね?」
「ふふふ、当たりです。」
「ひ、ひぃぃぃぃっ!」
そ、そんな!
な、何でヒューマンになっているんだよぉぉぉぉ!
そしたらフレイヤ…様はニッコリと笑った。
「ですが、私は貴方を送還しませんよ?プロに任せます。」
「ほっ………プロ?」
「なっ!お、お前!知らないのか!今の【ヘスティア・ファミリア】には…」
「セト。」
「ハイ。」
「ちょっと黙りましょうね?」
「ハイ。」
(セト様…、何と不憫な。すみません…未熟な私では助けられません。)
プロって…何?
さっきから言ってたけど、どういう意味だい?
しかもあのセトが怯えるなんて…。
茶髪の娘が飽きたかのようにフレイヤ…様へ言っていた。
こいつは…まさかアストレア?
「シノス、ちゃちゃっとやって。早く帰ってベルに会いたいわ。」
「そうですね。セト様、私はコマンドサンボを習得しています。ラシャプ様はなにかを?」
「同郷ではクラヴマガがあるが。こいつは怠け者だから全然やっていないぞ?…おい、まさか。」
そんな面倒なことはしないよ!
だって神だから。
そう思っていた時があった。
そして学ぶべきだったと深く後悔した。
「そうですか。手加減はしないといけませんね。気をしっかり持って下さいね?」
「ひ…ま、待って…こ、来ないで…グハッ!ガハッ!ぎゃああああ!腕がぁ…・!」
そして、僕はボコボコにされ手足をへし折られた。
フレイヤ…様は一仕事したかのようだった。
「ふぅ…、スッキリしました。」
「……あ…う…。」
「セト様…。」
「セティ、言うな、何も言うな。」
セトは見ていられないと目を伏せていた。
そんな僕を無視するかのように、水色の髪の娘…いやアルテミスが言った。
「さて、あいつに引き渡すか。」
「そうね。」
「そうですね。」
「………セ…ト、た…すけて…。」
貶されてもいいから…、同郷のよしみで助けて…。
お願い…。
「あの……もう言ってもよろしいでしょうか?同郷として、せめてものの情けをかけたいんです…。」
「…仕方がないわね。」
「まあ、これだけやれば十分だろう。」
「いいですよ?ふふふ。」
何だよ…。
送還するならいっそやってくれよ…。
そしてセトは優しそうな声で言った。
絶望の事実を。
「ラシャプ…。今の【ヘスティア・ファミリア】には…天界最恐のヘラがいるぞ?」
「……ゑ?」
「そのヘラの義孫が…【ヘスティア・ファミリア】団長の【白兎の脚】だ。お前、この前の戦争遊戯を見てなかったのか?」
「………見てない。」
「ラシャプ…同郷として、せめて楽に逝けることを祈っているぞ。(ポンポン)じゃあな。行くぞ、セティ。」
「あ、ハイ!」
終わった……。
一年前の時に…【フレイヤ・ファミリア】に囚われて還るべきだったんだ。
あの戦争遊戯を、隅から隅まで見るべきだったんだ。
くだらないと無視して寝るんじゃなかった。
そうすれば、こんな痛い目にも…これからの地獄を味わうこともなかったのに…。
嗚呼…先へ逝ったシール、お前らが羨ましいよ…。
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「………。」
「あらあら、気絶したわ。」
「手応えのないやつだな。」
「引きずって帰りましょう。」
「…で?こいつか?何で私がお前の尻拭いをしなければいけないんだ?」
「神ラシャプは、義孫さんのベルさんのことをインチキ・ルーキーと言ってました。」
「よし、死刑だ。セバス、連れて行け。」
「かしこまりました。」
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ダンまちの皆さんは覚えておいででしょうか?
ベルくんの【未完の英雄】とつけられた神会での命名式のトップバッターを。
【セト・ファミリア】のセティ・セルティ【暁の聖竜騎士】です。
ラシャプはエジプト神話の神なので、セトと同郷と思いました。
なので、ここで出しました。
そして…ヘラ様へ引き渡されました。
合掌。
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