白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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アリィとフレイヤ様が再会し、談話中です。
そう、暴喰ラーメンの丼の山を背景にして。


第405回 砂女王、呆然。

私はフレイヤと久しぶりに会った。

あの時のフレイヤから何か険がとれて、さばさばとしていた。

【白兎の脚】という伴侶が見つかり、そばにいることになったからなのか?

 

……嫉妬してしまうな。

フレイヤをここまでさせた【白兎の脚】に。

私が何もできなかったフレイヤを。

 

そしてフレイヤはあの日から、今日までのことを聞いた。

【白兎の脚】との出会い…彼の偉業…そして【フレイヤ・ファミリア】の戦争遊戯…。

ほぼ惚気話だった。

途中で激辛ラーメンの残り湯を飲まないと、聞いていられないぐらいだった。

 

フレイヤがヒューマンになったのを聞いた時は驚いた。

あのメイドがトップシークレットと言った理由がよくわかった…。

神をヒューマンにするのが、彼の血?

もはや、神じゃないか…。

「………その【白兎の脚】が貴女の伴侶なのか。」

「ええ、そうよ。」

「彼の血によって…ヒューマンに?」

「ええ、そうよ。」

「彼は…ヒューマンなのか?神ではなく?」

「間違いなくヒューマンよ?…まあ、神と崇められてもおかしくないわね。」

「そ、そうか。」

フレイヤがそこまで言うとはな。

ますます興味を持った。

 

そしてフレイヤから話を切り出された。

「それでアリィ?詳しくはメイから聞いたわ。」

「ああ、これで私の肩の荷が下りた。安心して帰れる。」

「そう…それならいいわ。…ねえさっきから気になってたけど、何で丼から手を離さないの?それに横の丼の数は何?食べ過ぎよ。」

「いや…『暴喰ラーメン』にハマってしまってな…。なぁ、ここの支店をシャルザード王国へ出さないか?家賃や税金は無料にしよう!」

うむ!これほどならシャルザードで流行るだろう!

いや、絶対に流行る!

 

ザルドという大男はそれを聞いて呆れた。

「あんたなぁ…。」

「はぁ…まあ、気持ちはわかるわ。デタイン砂漠のモンスターを討伐してからにしなさい?」

「ううむ。ここの大使に立候補するか…。」

「…貴女、女王でしょ?」

「仕方がないな……。」

…しばらくの間滞在期間を長くするか。

あいつらは当分胃を痛めてもらうが、ここのラーメンを食えばわかるだろう。

うむ。

 

フレイヤは心配するかのように言った。

「それでアリィ?王国はどう?」

「何とかつつがなく治まっている、とりあえずはな。あ、神ラシャプがオラリオに潜んだという情報があった。気をつけろよ?」

「もう送還したわよ?」

「そうか…え?送還?もう?」

「ええ。」

…早くないか?

 

まあ、いい。

ざまーみろ、ラシャプ!

 

さて、そろそろ切り上げるか。

その前に…。

「それはよかった…。ところで、その【白兎の脚】に会ってみたいのだが。」

「ダメよ。」

「え?」

「ダメよ。」

…あのフレイヤが開口一番で「ダメ」というのは珍しいな。

 

疑問に思った私は聞いた。

「いや…何故だ?」

「ダメったらダメ。さあ、帰りなさい。部下が待っているでしょう?」

「……そう頑なにすると会いたくなるな。私の性格を忘れたのか?」

「力ずくでも帰らせ「ただいま!」………。」

「(ニマァ)なるほど、今の声が彼なのか。」

苦虫をつぶしたフレイヤのこの顔は、初めて見るな。

…フレイヤに勝ったと思うのは、この場が初めてかもしれん。

 

さて、どんな奴なのだろうか?

あの屈強なオッタルたちを伏れさせ、

傲慢な美の女王フレイヤを見惚れさせ、

世界最強となった男は一体どんなやつなのだろうか?

 

え?

その場に現れたのは…どこでもいる少年だった。

いや…、白い髪に赤い目…兎みたいだな。

…この子が?

 

冒険者になって半年あまりで、レベル6となった?

【フレイヤ・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】を敗北にまみれさせた?

 

嘘だろ…。

しかし…何となくだが、どっかに惹かれるな。

いや…見るだけで心が洗われるような感じがする。

 

その少年は大男を見て声を出した。

「あ、ザルド叔父さん!こっちにいたんだ。店しまっていたから。」

「ああ、ちょっと野暮用でな。」

「ちょうどよかった!いつもの『暴喰ちゃんぽん』をちょうだい!人参多めで!」

「ああ、いいぞ。待ってろ。」

……ふむ。そんなに悪いような人間ではないな。

人参多め?ふふふ、つい微笑んでしまったぞ。

 

その少年は私に気づき、挨拶してきた。

「あ、お客様ですか?初めまして!【ヘスティア・ファミリア】団長のベル・クラネルです。」

「あ、ああ。シャルザード王国の女王である、アラム・ラザ・シャルザードだ。」

「ええっ!じ、女王様!?あわわわ…た、大変失礼なことを。」

ふむふむ。礼儀正しいな。

言っては悪いが、冒険者に合ってないような子だな。

…いや、だからこそ合ってないから【英雄】に合っているかもしれん。

 

気に入った。

国へ連れて帰りたい、と思うぐらいだ。

 

そして私はその少年に急接近した。

「いやいや、気にしないでくれ。無礼講と思ってくれ。さあさあ、横に座ってくれ!」

「あ、はい(近い近い近い!何か当たっている!)。」

「…………(惚れたわね、アリィ)。」

「ほらよ。」

「ありがとう!ザルド叔父さん!し、失礼します。」

「いやいや、麺が伸びない内に食べなさい。」

「はい!いただきます!(ズルズルズル!)」

ふふふ、可愛いな。

 

『また…増えたか。しかも女王サマだぞ?マジで、ベルを世界の王にするつもりじゃないだろうな?あいつらは…。いや、俺は何も見てねえ何も知らねえ。強く生きろよ…ベル。』

何故、その大男は涙ぐんでいるのだろうか?

 

フレイヤがしびれを切らしたように言った。

『アリィ…、もういいでしょ?ほら、帰りなさい。』

『なるほど、彼か。…若いな(それに…私好みだ)。』

『アリィ?』

『頼みがあるのだが…』

『ダメよ。』

『まだ何も言ってないぞ。』

『言わなくてもわかるわ。ダメったらダメ。』

ははーん。

この少年に私が惚れたということに気づいたようだな。

 

いいではないか。

そもそも私をこんなにしたのはお前なのだぞ?

『……私を無理やり抱いたくせに。彼も奪っただろう?』

『…まだよ。』

『は?まだ?』

『……ベルはまだ未精通なのよ?』

『何…だと?』

『どうせ、子種が欲しいとか言うんでしょ?ダメよ。』

『ううむ、私に男児がいないからな…。よ、予約はできないだろうか?』

『ダメ。』

ううむ、シャルザード王家の血に【英雄】の血が入れば今後のシャルザードは益々栄えるというのにな。

 

私がそう思っていると、先程のメイドが気配を出さずに現れた。

「失礼します。それはいいのでしょうか?王家の血が薄れても?」

「うわっ!」

「メイ…。」

フレイヤがこうまで警戒するのは初めて見たな。

 

メイドの質問に私は答えた。

「今更だ。それに…『英雄』の血なら誰も文句は言わないだろう?」

「それでしたら、しばらくお待ちくださいませ。予約は受け付けますよ?」

「そうか!」

「ちょっと!メイ!」

やった!予約できてよかった!

フレイヤが今まで見たことないほど、慌てているな。

 

メイドはすました顔で言った。

「いいではありませんか。その代わり産まれたらその子を徹底的に守りなさい。そうしないと…」

「そ、そうしないと?」

「シャルザード王国を砂塵にします。」

「……覚悟の上だ。」

あの子と出来た子なら、私が全身全霊をかけて守って育てよう。

 

そう覚悟した私を見て、メイドは満足したかのように言った。

「そうですか。では予約しておきましょう。」

「むー!」

「そうか!うむ!来てよかった!」

「稽古から早く帰るべきだったわ…。」

家臣の目をくらまして来た甲斐があったな!

 

さて、これで帰るか。

少年はまだ食っているか。ならシメに…。

「では、最後に…『暴食激辛マシマシ味噌ラーメン』を食って帰るか。」

「貴女…ハマリすぎよ。」

仕方がないだろう。

美味いのだから。




案の定、アリィはベルに惚れてしまいました。
アリィを帰そうとするフレイヤ様も可愛いですね!

そして、ベルの子種予約をするアリィさんです。

感想・評価をいただけますと、嬉しいです!

余談ですが、ペースを取り戻しつつあるので3日に1回で載せていきます。
次回は12月18日です。
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