メーテリアさんが春姫さんのお兄さんとオハナシしている間に…。
私がそのような心配をされていますと、アルフィアお義母様が私へ話しかけました。
恐らくメーテリアお義母様のことでしょうね。
「それで…その…メーテリアに会っただろう?」
「…はい。」
「どうした?大方予想はつくが…。」
「はい…お兄様を連れて、近くのお部屋へ入りました…。」
「そうか…。」
暗い顔をして項垂れました。
お気持ちはすごくわかります…。
メーテリアお義母様がお怒りになられたことで、皆様は取り乱しています。
仕方がありません。
また、あのようなことが起こるのですから。
「ど、どうするのかしら?」
「アリーゼ、【アストレア・ファミリア】の元団長の腕の見せどころです。止めに行って下さいませ。」
「嫌よ!輝夜!貴女こそ、行ってきなさいよ!同郷の人でしょ!?」
「はて?同郷の者でございますか?同郷の者なら、そこに春姫と命がおられますが?」
「「え?」」
「…輝夜。先程で誰もいなかったような発言はやめて下さい…。」
「黙れ、静かにしろ。」
「「「はい」」」
……元【アストレア・ファミリア】の方々はアルフィアお義母様と絡むのが多いですね。
大抗争の件もあるからでしょうか?
命ちゃんが恐る恐るとアルフィアお義母様に話しかけました。
「あの…アルフィア殿。よろしいのでしょうか?その…メーテリア殿と先ほどの者と二人きりにさせても?」
「メーテリアはレベル8だ。しかもあの魔法がある。奴程度ではどうしようもできん。年増ハイエルフ以上の使い手でもない限りな。」
「絶対に無理じゃない!」
「【九魔姫】でも無理と思いますが?」
「深層以降の階層主のルームへたった一人放り込むような感じでしょうね…。」
「お、お兄様は無事で帰ってこられるでしょうか?」
「……恐らく傷つけないだろうが、奴程度では精神は壊れる、確実に。」
「「「ひぃっ!」」」
嗚呼、お兄様…。
輝夜お姉様が、残酷なことを言いました。
「…しかしあの馬鹿狐の精神が壊れたら、多少まともになるのではないでしょうか?」
「輝夜…、貴女ひどいことを言っている自覚はあります?」
「アリーゼ、リオン、お前たちも見ただろう?あの馬鹿狐がこれ見よがしに私達を舐め回すよう見ていたことを。」
「やめて下さい。斬りたくなります。」
「同感ね!燃やしたくなるぐらいだったわ!」
「……まともになったらまだいいかもしれんが、それを行き過ぎるとどうなるかはわからん。」
「「「行き過ぎる!?」」」
あのお兄様が行き過ぎるとどうなるのでしょうか…?
知りたいようで知りたくないような気がします…。
それ以前に、なぜお父様はお兄様を使者として派遣なさったのでしょうか?
お兄様の性格上、使者に合わないということは一目瞭然と思いますが…。
アリーゼ様が話題を変えるように言いました。
「え、えーと?【ヘラ・ファミリア】ではどうだったの?」
「お前たちは大馬鹿か?私達はあのヘラの眷属だぞ?怯えるこそはあっても行き過ぎるようなことになったことはない。…思い出すだけで震えが来たではないか。」
「「「………絶対に怒らせないようにしよう。」」」
「それが正解だ。特にベルのことは気をつけろ。」
「「「はい!」」」
そうですね。
ベル様に関してはメーテリアお義母様の逆鱗そのものですから。
ベル様第一ですから、あの方は。
ルゥ様が思い出したかのように言いました。
「話を戻しますが、どうしましょうか?」
「……終わるのを待とう。巻き添えになるのはゴメンだ。」
「「「同感です…。」」」
「お、お兄様は大丈夫でございましょうか…?」
「……殺しはしないだろう。ベルはそういうのを嫌うからな。……ただ。」
「「「ただ?」」」
「メーテリアはヘラほどの調整技術がないから…、どうなるかはわからん。」
「「「調整技術!?」」」
調整技術とは何ですか!?
怖すぎます!
その数時間後、お兄様は解放されました。
数時間前のお兄様とは見る影も微塵もありませんでした…。
「コノタビハ、タイヘンモウシワケアリマセンデシタ。イダイナルヘスティアサマ。」
「「「…………。」」」
『うわぁ…。』
『もう壊れているではありませんか…。』
『あの馬鹿狐の片鱗がこれっぽっちもありませんねえ…。』
メーテリアお義母様は一体何をやったのでしょうか…?
怖くて聞けません。
続いて、お兄様は片言で話していました。
「ワガヤノ、ハルヒメヲケンゾクニ、シテイタダキ、マコトニカンシャノイにタエマセン。」
「「「…………。」」」
『稽古から戻ってみれば…一体に何があったのかしら?』
『メーテリアお義母様の怒りに触れたと聞きましたが…。』
『これはひどい。』
元女神の方々も呆れています。
仕方がありません。
そしてお兄様は大金のヴァリスが詰まった箱を差し出しました。
十億ヴァリスですね。
春姫にそのような価値があるとは思えませんが…。
「ソノオレイトシテ、ジュウオクヴァリスヲ、ケンジョウイタシマス.」
「「「…………。」」」
『金はいくらあっても困りませんから、よかったです!』
『姫、よかったですね!』
『姫、棚からぼたもちですね!』
『姫、【アマテラス・ファミリア】は太っ腹ですね!』
『姫、とりあえず軍資金が増えてよかったですね!儲かりましたね!』
『おいお前ら、現実逃避はやめろ…。気持ちはわかるけどな。』
リリ様方も喜んでいますが、笑顔が引きつっています…。
お兄様のあのような様を見ますと、大体予想してしまいましたね。
現実逃避したがるのもわかります。
ヘスティア様に向けて、深く謝罪しました。
「ブレイヲハタライタドウコウシタカミハ、ニクナリヤクナリスキニシテクダサイ。」
「そ、そうかい。」
『あの人…神様を見捨てたよ。』
『見捨てたのではなく、見捨てさせたのではないですか?』
『私は…それより…ああさせた人が怖い(チラッ)』
『アイズさん…私もです(チラッ)』
同感です。
メーテリアお義母様はベル様と同じく優しいお方なのに、逆鱗に触れますと【ヘスティア・ファミリア】の最恐と化してしまいます。
そして何も知らずニコニコとしているベル様へ挨拶しました。
「イダイナエイユウ、ベルサマ。ワガヤノハルヒメヲ、ナニトゾスエナガクオネガイイタシマス。」
「あ、はい。わかりました!春姫さんは僕たちが守ります!」
『本来なら両手を上げて嬉しいのですが…、お兄様がこうなっては大変複雑でございます…。』
『春姫殿…わかります。』
ベル様のそのお言葉を聞いて、本来の私なら赤面し尻尾を激しく動かしていたでしょう。
ですが、お兄様のあの様子を見ますと…。
おいたわしや…お兄様。
アルフィアお義母様が、メーテリアお義母様を軽く叱っていました。
『メーテリア…、やりすぎだ。』
『うーん?調整を間違えたかしら?あとで調整し直さないといけないわね。義母さんに教えてもらわないと。』
『あ、ああ(知らなくてもいいことなのだが…、いや、こうなるのがこれからどんどん起こるかもしれないから一応教えておくか…。【女帝】の次に教えるのがメーテリアとは思わなかったぞ)。』
『『『………【ヘラ・ファミリア】、怖い。』』』
同感でございます。
ベル様がまだ生まれていなかったとはいえ、メーテリアお義母様の逆鱗に触れるのが多かった【ヘラ・ファミリア】は凄いでございます。
あのお怒りに耐えるというのが。
ヘスティア様はヘラ様へ確認なさいました。
恐らく、使者に同行していた神のことでしょうね。
「それで、ヘラ。彼は?」
「待ってくれ。情報を全て吐かせていないんだ(じっくりたっぷりと痛めてからな)。」
「そ、そうかい(楽にさせるな、と言うんじゃなかったかな)。」
……。
本当に【ヘラ・ファミリア】は怖いでございます!
はい、メーテリアさんのオハナシはこうかばつぐんです!
その間での、アルフィアさんと元【アストレア・ファミリア】の掛け合いはいいですね!
大抗争もそうですが、意外と相性がいいかもしれません。
そして【ヘラ・ファミリア】の恐ろしさを改めて思い知らされた一同です。
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