白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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今回も続いてプロメテウス回です!
庇護とはどういう意味でしょうか?



第415回 先見神、庇護。

ヘスティアは私の言葉を聞き、うなずいた。

しかし…邪魔が入った。

「そうか、わかった「待つんじゃ、ヘスティア」…ゼウス?」

「何だ?邪魔するのか?ゼウス。」

厄介な好々爺がな。

 

好々爺は私に対して真剣な表情で言った。

…嫌な予感がする。

「いいや。その前に…プロメテウス、聞きたいことがあるんじゃ。」

「何だ。」

「大英雄は、いるんじゃな?」

「!!…ああ。」

やはり聞いてきたな。

この英雄主義の大神め。

 

ヘファイストス達はゼウスの発言を聞いて、首を傾げていた。

「大英雄?」

「オリンピアに神時代以降の大英雄がいたのか?」

「初耳だけど…。」

「………。」

そうだろうな。

私が…奴を、オリンピアにほぼ幽閉したようなものだから。

 

好々爺は続けて言った。

聞いてほしくないことを。

「では…かの大英雄は今、下界を救おうとしとるのか?…または逆なのか?」

「……お前が見た通りだ。ゼウス。」

「では、ベルを派遣するわけにはいかんわい。」

「何故だ?」

貴様の自慢の義孫だからか?

それとも…奴が稀代の大英雄だからか?

 

ヘスティアは首を傾げて好々爺へ聞いた。

「ゼウス?大英雄でもプロメテウスでも無理だから、ベルくんを派遣するしかないんじゃないか?」

「ヘスティア。お主はベルを壊すつもりか?」

「…どういうことだい?」

「待ってくれ、ヘスティア。…貴方、説明をお願いします。」

ヘスティアが微かだが、怒っているな。

自慢の眷属を悪く言われたらいい気がしないだろう。

 

…だが、それは違うような気がする。

なのでヘラが止めて、聞いたのだろう。

 

好々爺は目を閉じながら言った。

「…ベルは英雄譚を全て見とる。儂が見たもの全て記した英雄譚をな。」

「うん、それは知っている…。」

好々爺は目をゆっくりと開きながら、衝撃の事実を言った。

 

その事実は私にとって、いや私達にとって非常に不利な内容だった。

「その中の英雄で一番ベルが尊敬し、憧れた英雄がおる。」

「まさか…。」

「そうじゃ、オリンピアの…下界を滅ぼそうとしてる大英雄エピメテウス。そやつがベルの、尊敬と憧れの英雄じゃ。」

「「「!!」」」

何…だと。

あの少年の憧れの英雄が…奴だと!?

 

私がそう驚いている時に、アルテミスたちが好々爺へ聞いた。

「待て、ゼウス。エピメテウスはヒューマンのはずだな?」

「そうじゃ。」

「エピメテウスは古代の英雄のはずよ?今も生きているはずがないわ。」

そうだな、普通に考えるとそう思うだろうな。

だが…奴は違う。

 

ヘスティアが勘づいたように言った。

「…天の炎かい?ゼウス、プロメテウス。」

「…そうだ、ヘスティア。エピメテウスは天の炎と強く結びついている。…ここにいるレアも天の炎により数百年も生きている。もっとも、エピメテウスは最初に天の炎を受けとった奴だから、天の炎の分身と言っても過言ではないな。」

「それ以上ないほど相性がいいということね…。けど、下界を滅ぼすというのはどういうことなの?」

アストレア、お前の疑問はもっともだ。

だが…奴は。

 

レアが慌てて、アストレアの発言をかき消すかのように言った。

「お、お待ちくださいませ!エトン様…いえ、エピメテウス様は下界を滅ぼそうとはしておりません!」

「嘘はいかんぞ、2児の母レアちゃん☆」

「なっ…!」

ちっ…この好々爺め。

あの時を全部見ていたな?

悪趣味な覗き大神め。

 

わたしはレアを庇い、話をそらすかのように言った。

「やめろ、レア。……それは事実なのか?ゼウス。」

「うむ。ベルは全ての英雄譚を全て読ませた。その中で、エピメテウスが一番じゃ。屈せず立ち上がった英雄の姿にベルは憧れたんじゃ。…他にも英雄はたくさんおるんじゃが、ベルはエピメテウスを選んだんじゃ。儂はアルゴノゥトを勧めたんじゃがなぁ…。」

アルゴノゥト…喜劇の英雄か。

 

私はオリンピアへ降臨した時と同じ気持ちを好々爺へ言った。

「………奴は私が抑える。その間に天の炎を浄化すればいい。」

「お主…死ぬ気か?」

「神時代が始まった時、私はすぐにオリンピアへ下りた。その時に既に覚悟しているさ。天の炎を落としたのは私だ。そして、奴がああなったのも私だ。責任はとる。」

「プロメテウス様…。」

そうだ。天の炎を落としたのは私だ。

奴へ天の炎とアレを託したのは私だ。

天の炎がああ穢されたのも私だ。

そして奴が堕ちたのも……私だ。

 

責任はとらねばならないのだ。

 

私がそう言ったところ、小癪な神…ヘルメスが言った。

「…大英雄までになった子が、どうして下界を滅ぼそうとするんだい?」

「…エピメテウスの物語は知っているな?」

「ああ、もちろん知っているとも、プロメテウス。けど、あれはほとんどが脚色されたものだろ?俺ら神々は知っているぜ?」

「ああ、私達はな。だが…下界の子どもたちは残酷だ。些細な失敗でも尾ひれをつけて面白おかしくあいつの悪評を広められた。」

「…ひどいわね。」

そうだ、奴の些細な失敗でさえも下界の子供たちはそこを突いたのだ。

…大英雄となり多くの命を救った奴に対して嫉妬したのだろう。

いや、失望したと言ったほうが正しいな。

 

漆黒のモンスターを…討てないのは仕方がないのだ。

天の炎の特性なのだから。

 

そして私は懺悔するかのように言った。

「それだけならまだいい。だから私はエピメテウスを休ませるために外界との関わりを断たせて、オリンピアを守らせた。…それがいけなかった。」

「…天の炎の暴走ね。」

「あれは仕方がなかろう。それにあやつの豹変は天の炎の暴走だけではないじゃろう?(チラッ)」

「…(ビクッ!)」

「ゼウス、全ては私の先見のなさが原因だ。」

……やはり気づいているな。

奴が堕ちたきっかけを。

 

ヘルメスがそれを確かめるかのように言った。

ちっ…この2柱が関わると面倒くさい。

「…彼がそうなったのは何故だい?」

「あいつは…世界を憎んでいる。私達神々をもだ。自分を見下した連中を見返す…いや見下すためにだ。」

「そこまでか…。エピメテウスの強さはどうなのだ?」

奴は……強い。

三千年も天の炎とつながりがあり、生き延びたのもあるが…、厄介なのはその想いだ。

それが奴を強くさせている。

恩恵がなくても、な。

 

好々爺はかつての…最強の【ゼウス・ファミリア】主神として言った。

「下界からずっと見とったが、それでもあやつは大英雄じゃ。この儂が認めるぐらいな。」

「「「!!」」」

「恩恵を受けておらんでも…天の炎のつながりを含めると、恐らくレベル9…いや10はあるじゃろう。」

「「「なっ!?」」」

「それに…あやつは自分が誹りを受けるのは承知しとったはずじゃ。だが…あやつは許せなかったのだろう、自分以外の者が貶されるのを。自分以外の者がただの駒扱いにされたのを。」

「………。」

そうだ…。奴は自分が悪く言われてもいい、石を投げられてもいい。

そういう…不器用な奴だからこそ、私は天の炎とアレと…オリンピアを託したのだ。

 

だからこそ…奴は世界を許せなかったのだ。

 

しかし、それでは奴は堕ちなかった。

あの時が起こる…いや、かつての伴侶の言葉を聞くまではな。

「それだけではなかろう。天の炎の暴走がきっかけで変わったのじゃろう?のう、レアちゃん?」

「…っ!」

「やめろ!ゼウス!私だ!私に全責任がある!」

そうだ、天の炎の暴走を防げなかった私にあるのだ。

オリンピアの…特にお前達の愛娘たちの命を見殺しにしたことの、な。




はい、ゼウスはベルの派遣に反対していますね。
ベルが尊敬しているのがエピメテウスなのを知っているからです。
尊敬していた大英雄が下界を滅ぼそうと知ったら、精神的なダメージは計り知れませんね。

ダンメモ4周年で、エピメテウスとレアの絡みが非常に少なかったのが残念です。
エピメテウスの豹変でレアの発言がキーになったのは確かですから…。

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