プロメテウスの話を聞いて…。
坊ちゃまの派遣先が決まってて良かったです。
アンタレス、ベヒーモス、ヤマタノオロチ、[オシリス・ファミリア】が相手でも今の坊ちゃまがほぼ勝つでしょう。
ですが、それでは駄目なのです。
坊ちゃまはもっと困難な壁を超えてもらわないといけません。
それが、あの大英雄エピメテウスです。
クソバカ主神の言うことが本当なら、レベル10以上で三千年も生き、神造兵器の【炎鷲の剣】を持っている。
そして、坊ちゃまの尊敬と憧れの英雄…。
相手にとっては不足どころが上々ですね。
もし、彼を倒すことができれば坊ちゃまはより強くさらなる頂きへ届きます。
ですが、彼を倒したとしても穢れた天の炎が相手では厳しいですね。
ここは、オリンポス一の鍛冶神へ依頼しましょう。
「ヘファイストス様。」
「…何かしら?メイ。」
「代金は払います。坊ちゃまのあの炎を増幅できる剣の作製をお願いします。」
「……そうね。ヘスティア・ナイフだけではあの天の炎を消滅させるのは無理だわ。貴女が言うように増幅できるものが必要ね。」
「ご明察でございます。」
ご理解が早くて非常に助かります。
いえ…同郷のしでかしたことをぼっちゃまへ押し付けることに対して、何か思うところがあるのでしょうね。
神ヘファイストスはヘスティア様へ顔を向けて言った。
「わかったわ。報酬は1億ヴァリスよ?ヘスティア・ナイフとは別よ。」
「ふぇっ!?」
「当然でしょう。あのナイフは貴女だけが払うべきよ。例え、ベル・クラネルがその数倍を払ったとしても私は受け付けない。これでも結構割り引いたのよ?」
「そ、そんな~。」
「働きなさい。キビキビと。」
「では、早速1億ヴァリスをお支払いいたします。」
あのナイフはヘスティア様と神ヘファイストスの契約上で作られたナイフです。
それは仕方がありませんね。
神ヘラがホッとしたかのように言った。
「…オリンピアも解決できそうだな。ベルとヘスティア次第だがな。」
…神ヘラらしかぬ失言ですね。
ここに、クソバカ主神や油断ならない神ヘルメス、神プロメテウスもおられるのですから。
クソバカ主神はそれに反応して言いました。
「も、じゃと?」
「ちっ……口が滑ったか。おい、メイ。この人を元に戻せ。」
「了解しました。」
「ちょ!今の詳しく聞かせるんじゃあああ!」
「後で言います。それまで待って下さい。」
ええ、あとで神ヘラと共に説明いたします。
…大人しくそこで待っていろ、クソバカ爺め。
クソバカ主神を早々と壁に塗り込んだ後、引き返しました。
神ヘラが神プロメテウスへこれまでのことを説明していました。
神プロメテウスは呆れているようですね。
「プロメテウス、お前もオラリオ連合へ入ってもらうぞ?」
「わかった…。そこまでお膳立てをしているようではな。しかも私の正体もバレたことだし。やむを得ん。レア、いいな?」
「はい…。…お願いです!あの人を…救って下さい!あの人の命はお助け下さい!」
あの人?まさか、この方は…。
私の疑念をヘスティア様が聞いてくれました。
「レアくん…キミはまさか。」
「そうだ…エピメテウスと結ばれた娘だ。…離婚はしたがな。」
「ゼウス様が仰った通り、私のせいなんです!あの人がああなったのは!「やめろと言っただろう。それは私の罪だ」プロメテウス様…。」
……クソバカ主神がこの方をチラチラと見ていたのはそれが理由でしたか。
大英雄エピメテウスが堕ちたというきっかけは一体何なのでしょうか?
私がそう思っているところに、神ヘラが神威を放ってその方へ話しかけました。
「待て、聞き捨てならないことを言ったな?」
「ヘラ…。」
「レアとか言ったな?私は結婚を司る神だ。何故、お前がエピメテウスと離婚しなければならなかったのかを言え。」
「ヘラ!それは私の…」
「黙れ!未婚のやつは。別れる痛みは別れる者しか知らない。それを聞く権利は結婚を司る私にある。」
そうですね、それは神ヘラしかできませんね。
プロメテウスは観念したかのように言いました。
「…わかった。天の炎は一回暴発し、オリンピアを包んだ。」
「そして私とあの人の娘…シオン、シアテは炎に包まれ…死なれ、囚われました。」
「囚われた…?」
まさか!?天の炎は!
私の危惧の通り、ヘスティア様はそれを察して言いました。
「まさか…天の炎は死んだ者の魂を還さず、彼らの魂を縛っているのかい?」
「そうだ…。オリンピアの国民ほぼ全員がな。」
「何てことなの…。そこまで天の炎は…。」
…縛っている?
……これはもしかしたら…。
私があることを考えている最中に、神ヘラが催促しました。
「…話がそれたな?言え。」
「娘達を燃やされ囚われ、娘達を助けられなかった私はあの人に言ったんです。…あの人の苦しみを痛みをわかっているはずなのに、決して言ってはいけない言葉を。」
「それは?」
「『英雄のくせに!』と…。言った後あの人は…豹変しました。そしてすぐに後悔し、撤回しましたがダメでした…。」
……エピメテウスが三千年も生き、闘い、苦しんでいたのを知っている上で愛妻からそれを言われると変貌するのも仕方がありません。
いえ、そこで自分が壊れてしまったのでしょうね。
自分の名を地に落とされ、故郷を自らの炎によって焼かれ、愛娘を焼死させ魂を束縛され、愛妻から自分の存在そのものを否定された…。
よく耐えてこられて…今を生きてきたものです。
……いえ、ある意味あの時…ウィーネさんを失った坊ちゃまの成れの果てかもしれません。
ベルくんの派遣先が決まって安堵しているメイさんです。
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