引き続き、勇者サマです!
もし彼らを復活させるとしたら、ベルが絶対に必要だ。
なのに、なぜ彼はここにいないんだ?
「ベルはどこにいる?」
「所用で外しています。終わるころですので、今から迎えにいきます。ああ、アミッド嬢少し来ていただけませんでしょうか?」
「私に?わかりました。失礼します。」
「それまでご歓談をお楽しみ下さいませ。」
歓談…?
今までいがみ会っていた彼らと?
歓談の回数より小競り合いした回数が多いぐらいなのに?
何故わざわざ彼がいない時に?
【最強侍従】と【最恐執事】は一体何を考えているんだ…?
いや、やめとこう。
彼らの思考を読むのは無駄だとわかりきっているだろうに。
何故ならその裏をかかれ、すごく痛い目にあったのだからね。
いいだろう、ならこの流れは僕らがいただこう。
少しでも【ロキ・ファミリア】の優位はもらっておかないとね。
待ちに待った情報が手に入ったからそれを使わせてもらうよ。
「ああ、そうだ。あの時の門番たち、見つかったよ。…というより分かったというのが正しいね。」
「やっとか。誰だ?」
「どこのどいつやねん!連れてくるんや!」
残念だけど、ロキ。
それはできない相談なんだ。
連れてこられないんだよ、本当に。
「無理だよ。ロキ、リヴェリア。彼らは…第一次クノッソス侵攻戦で死んだよ、闇派閥側としてね。」
「「「は?」」」
うん、そう反応するよね。
僕もそうだったよ、本当にあの時はミスった。
彼らの本質を見抜けなかったことに。
リヴェリアもガレスも同じ気持ちだろうね。
「そこまでの外道だったか…。不合格にした時点で【ガネーシャ・ファミリア】へ連れて行くべきだったな。」
「自業自得と言ったらいいのか、哀れと言ったらいいのかわからんのう…。」
そうだね。
でも一番大きいのは、ベルを【ロキ・ファミリア】へ取り込むことができなかったことだ。
「彼らのせいでベルを取り逃がしてしまったね…。本当に惜しいことをしたよ。」
非常に惜しいことをしてしまった…。
英雄を…いや無限の可能性を秘めている英雄の卵を。
「くそーっ!ウチらの大損やんか!あの時の門番シバいたかったで!」
ロキが地団太踏んでいるね。まあ、同意するよ。
彼がいれば…防げたこともあったに違いないから。
「その門番さんに感謝したいですね。ロキ様のところではベルさんの教育に悪いです。」
「は?何言うとんねん、お前んとこもやないか!」
「ふふふ、ロキ様よりはマシです。」
「ああん?」「ふふふ。」
……いつものことが始まったか。
ただ違うのはベルのことに関して、だな。
特に神フレイヤにとっては最優先事項だからね。
まあ、ロキの近くは教育に悪いのは確かだ。
そのあたりは、アイズやレフィーヤを中心にフォローしてくれるから問題ない…はずだ。
多分。
旧最強と旧最恐はベルに対して何もしなかった…いやできなかった。
それは7年前の大抗争が証明している。
だからこそだ。
悪いけど、今は引っ込んでもらおうか。
しかし、それはかつてのオラリオ最恐の女神によって阻まれた。
「何を言っている?貴様らは。もしベルが貴様らのところへ入団していたら、私自ら乗り込んでベルを取り返し、貴様らを送還した上で眷属共は皆殺しにし、本拠を焼き滅ぼしていたぞ?【ヘスティア・ファミリア】に入ったことを…いやベルがヘスティアに拾われたことを、泣いて喜んで土下座して感謝しろ。」
「ひっ。」「…。」
それ以前に、貴女は半年前まで正気に返れなかったのではないかな?
それを言うと、矛先がこっちへ向けられるから絶対に言わないけどね。
そう思っていたら、かつての最強の主神が鋼鉄の棺桶に入ったままで話しかけてきた。
「本当にやるぞ?ヘラは。ヘスティアに感謝するんじゃな、ロキ、フレイヤ。」
「…貴方がそれを言いますか?その原因を作ったのは貴方でしょう?ベルを育児放棄した貴方が。はぁ…まだ懲りてないようですね?」
「ぬおっ!?そ、それはもう終わったことじゃぞ。過去より未来じゃ、そう…未来じゃ!」
「何をほざいているんや…この助平爺は。一番の戦犯やろ、この助平爺が。」
「本当ですね。」
そうだね。
でも、かの大神が半年前にベルの前からいなくなっていなかったら、ベルがオラリオへ来ることはなかった。
もしかしたら、今のオラリオはなかったかもしれない。
それを見通していた…わけがないか。
そもそもそれができていたら、黒竜討伐での全滅を回避できたはずだからね。
しかし彼を育児放棄したことは、彼女たちの怒りをまた買うということを理解しているのかな?
「私はまだ許してないぞ、この狒々爺を。特にベルに悪影響を与えたことは絶対に許さん。」
「はぁ…懲りてないわね、お爺ちゃんは。母さん、手を抜いているんじゃない?」
「…そうだな、私が甘かったようだ。強度を上げよう。」
「もうやめとくれ!これ以上やられたら、マジで送還されるんじゃ!」
…一体、何をされているんだ。
いや、やめよう。
【ヘラ・ファミリア】…特に神ヘラに対してはアンタッチャブルと決まっているからね。
下手に首を突っ込むと、こちらにも火が飛んできかねない。
「爺、諦めろ。もう詰んでいるんだ(別の意味でベルもな…)。」
「ザルド!お前もか!お主は儂の眷属じゃろ!?助けようと思わんのか!」
「思わん。」
「即答!?何たる親不孝者じゃ!儂はそんなふうに育てた覚えはないゾ!」
「ああ?てめえは俺等を放置していただろうが!それにてめえがそんなんだから、俺がこうなったんだろうが!この糞爺!」
このやりとり…懐かしいな。
【ゼウス・ファミリア】と同席するといつもこうだ。
神ゼウスと団長の【傑物】…マキシムまたはザルドが怒鳴り合っていて、話が一向に進まなかったのがよくあった。
そしてそのまま酒盛りに直行して、僕ら全員撃沈させられたんだ。
その中で、あのガレスがザルドに飲み比べで負けたのが印象に残っている。
ロキの額に肉と書かれていたを見て、思わず吹いてしまったぐらいだ。
「相変わらずやなぁ…、あそこんとこは。」
「全くだね。」
「懐かしいのう…。」
「再び見れるとは思わなかったな。」
そうだね。
本来なら絶対に見ることができないはずなんだが、彼の想いが引き寄せた光景なんだ。
……神は不変というけど、少しは変わっていいんじゃないかな?
特に神ゼウスは。
「ベルさんと14年間過ごしたというのに、変わりませんね。ゼウス様は。」
「…そうですね。」
同感だよ。
まだまだ歓談は続きます!
次は…初登場のあの方です。
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