アイズがあんなことを言うとはね…。
僕らが長年アイズを見てきて教えてきたけど、あのような反応は全くなかった。
ベル・クラネルと相部屋にしてくれ、と言ってきたけど、意味はわかっているのかな?
いや、わかってないだろうね。
だがこれまでにない、いい傾向だ。
「うわぁ…あのアイズが…。」
「相部屋って…意味わかってんのかよ!あいつは!」
「なになに、ベート?やきもち?アイズに対して?またはアルゴノゥトくんに?」
「何で、俺がアイズに対してやきもち焼くんだ!クラネルは男だ!ふざけんじゃねえ!」
「あー、そっかぁ。ベートはレナ一筋だものねえ。」
「ふざけんなぁぁぁ!この貧乳バカゾネスがぁぁぁ!」
「むっかー!頭きた!今度こそ、狼の輪切りにしてやるー!」
「上等だ!表へ出やがれ!」
ティオナ、ベートがいがみ合って外へ出た。
ロキはまだショックから抜けきってないな。
あ、戻ってきたか。
「……はっ、…フィン!?何で認めたんや!というか、アイズたんもアイズたんや!」
「ロキ、落ち着いてくれ。リヴェリアがそれを認めるわけないだろう…多分。それ以前に、恐らくこの戦争遊戯で僕らは負けるだろう、勘だけどね。」
ティオネが、むっと眉間に皺よせている。「あり得ない」と言いたいんだろうね。
しかし、親指がずっとうずいている。「無理だ。」と。
「リヴェリアが認めないならいいんやけど…。戦争遊戯でうちらだけでなくフレイヤんとこも負けるんか?まじかー…。ほんに、うちへ入って欲しかったわー、マジで。ああー、もったいないわー。」
ロキは残念そうに、そう呟いてた。
「はっ!ならドチビんとこへ賭ければ大儲けできるんやないんか?いや…でも…。」
しかし、ベル・クラネルがうちへ入ったとしても今のような成長は望めただろうか?
否だ。
過酷な環境だからこそ、あそこまで上り詰めて光り輝いたのではないだろうか?
うちは【フレイヤ・ファミリア】と違い、堅実に進んでいく方針にある。
ベル・クラネルのような無茶で無謀な冒険へ挑むのは、絶対に認めない。
それに…、彼の容姿や性格から見るとリヴェリアやレフィーヤあたりが構う…いや甘やかしそうだな。うん、間違いない。
アイズが違う意味で嫉妬しそうだな。ははっ…。
ベル・クラネルと同じことをやれ、と言われたら無理だな。
少なくともベル・クラネルとあの黒いミノタウロスとの戦いまでの自分では絶対にできない。
「ベル・クラネルの真似事は君達には荷が重いか?」
『精霊の分身』との戦闘前に僕はアイズ達に鼓舞するため言ったが、やはり自分には無理だ。
荷が重いというより、できない。
ああ…だから、僕たちは『神工の英雄』という枠から抜け出せないんだな…。
彼等彼女等が僕たちを見たら、嗤うだろうな…。
「…団長?」
いけないな…つい感傷に浸ってしまった。
「何だい、ティオネ。」
「団長、質問があるのですが、【ヘスティア・ファミリア】の団長のベル・クラネルはレベル4。我々が負ける要素が全くないのですが…。」
わかってないな、ティオネは。
「ティオネ。彼はただのレベル4じゃない。常に格上の敵と単独で戦い、勝ち上がってきた"強者"だ。ただのレベル4で見るな、レベル5,いや6と思ったほうがいい。」
そう、彼は常に格上の敵と単独で戦ってきた。アイズを除き、僕らのように共同で戦ってきたわけじゃない。
…いや、一人いたな。ずっと負け続けてレベル7になった彼が。
果たして、ベル・クラネルは彼に勝てるのだろうか?もし、勝てたら…。
席を立って、ホームの窓で英雄橋の方向を見て眼を細めた。
「世界は英雄を求めている…か…」
さて、ロキと一緒に【ヘスティア・ファミリア】へ行くか。
「ロキ、準備をしてくれ。【ヘスティア・ファミリア】のホームへ行くよ。」
「了解やー。ヒヒヒ、ドチビの吠え面見たるわー。」
ロキはスキップして部屋を出ていった。遊びじゃないんだけどな…。
「団長、私も行きます。」
「ティオネは僕の留守を守ってくれ。ベートとティオナを抑えるのもね。」
「わかりました!!お任せください!」
ティオネは僕を熱烈な視線で見ながら、敬礼してた。
ふぅ…ベル・クラネルに会ってから半年か…。本当に休ませてくれないよ。
今回は何を起こしてくれるのかな?。
せめて、無難なものであってくれ…あ、親指が「無理だ」と言ってるか。
はぁ…やれやれだ。
だが、ワクワクしている自分がいることは否定しない。
今回の戦争遊戯は、ベル・クラネルが『最後の英雄』に値するか否かを試す、いいきっかけになるな。
楽しみになってきたよ。
本当は、フィンのこの回は出す予定はありませんでした。
ですが、出したほうが何か面白そうだと思い、作成しました。
ピコーン!と来た、感じです。
更新頻度ですが、土日はそれぞれ1回以上は出す予定です。
平日は18時あたりで1話出していきます。
よろしくお願いします。
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