医神と思ったのですが、【ミアハ・ファミリア】は回復薬を扱う道具店を営む商業系ファミリアです。
なので、薬神とさせていただきました。
少し重い話になります…。
「……貴様は…儂らを恨んでおるのか…?」「……。」
「いいえ、私は【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】がオラリオを追放された後に、自ら【ゴブニュ・ファミリア】へ封印された身です。恨まれこそはあっても、恨む資格などございません。」
「…ベルは…知っているのか?我らが母親を死なせてしまったことに。」
「いいえ、坊ちゃまは自分の出自を、一昨日までは知りませんでした。なので、メーテリアお嬢様がどのように天へ逝かれたのかも知りません。もちろん、私もです。」
メーテリアの病気は私たちが必死で治療していた。
そう、アルフィアとメーテリアの主治医だったのだ。私たちは。
「お二人にお願いがあります。メーテリアお嬢様はどのようにして逝かれたのかを、お聞かせ願えませんでしょうか?」
そうか…セバスは一昨日まで【ゴブニュ・ファミリア】で封印されていたのだな…。
なら、言わなければならないな。ベルにもな…。
「…儂は、あいつが子供を…ベル・クラネルを産むことに反対だった…。産めば、一気に病状が進んで死へ一直線になるからだ。」
「だが…、メーテリアは自分の命より…ベルを選んだ。あの真っ白な笑みでな…。」
「儂らは…止めることができなかった…。当時オラリオから追放するフレイヤとロキへ直談判して、メーテリアをオラリオで治療させるように、とな。フレイヤとロキは【ディアンケヒト・ファミリア】で入院する形で謹慎ならいい、でまとまったが…あいつはゼウスと共に、自らオラリオをいつの間にか出ていってしまった。」
あの時は本当に焦った。当時のメーテリアは子供を産む体力が足りない。
母子と共に危険な状態で、オラリオを出ていってしまった。
それを知ったフレイヤとロキも、さすがに狼狽していたがな。
「私たちは焦った……メーテリアにはどうしても薬などの治療が必須だ。なので、【ヘルメス・ファミリア】に依頼して探してもらった…。」
「ようやく見つけてもらった時は…すでにベル・クラネルを産んで…病状がもう手遅れになっていた…。」
あの時のメーテリアは私たちを見て、「見つかっちゃった。ごめんなさい。」といつもどおりの笑みで私たちに謝っていた…。
その時の赤ん坊…いやベルは問題なく健康だった。
まさかあの時の赤ん坊がベルとは、思わなかった…。
そしてこのオラリオで会うことも…。
「地獄の苦しみで…気が狂ってもおかしくなかった…。だが、メーテリアはいつもの通りの笑みで…赤ん坊だったベルを見つめながら、苦しみに耐えながら安らかに逝った…。」
「儂らは、今でも…後悔している。オラリオで監禁してでも閉じ込めるべきだった…。そうすれば少しは助かったかもしれなかったからだ!」
「私たちは神だ…。神力を使ってでも治すことはできたかもしれない…。だが、それをすれば、メーテリアと同じく死の病に苦しんでいる人達を別にしてしまう…。それは神としてできなかった!」
…あの時ほど神としてでも無力であることを悔やんだことはなかった。
「…そうでございましたか。お辛いことを語っていただきありがとうございます。先程言いましたが、私はお二人を恨む資格などございません。」
だが、ベルは…。
「坊ちゃまに先程の内容を伝えても、恐らく坊ちゃまはお二人を恨むことは皆無でしょう。神ミアハもご存知ですが、坊ちゃまはメーテリアお嬢様に瓜二つです。」
…そうであったな。ベルはそういう子だった。
この戦争遊戯が終わった後に、ベルへ言わないといけないな。
「…7年前の大抗争で、アルフィア…あの娘が闇派閥となって被害をもたらしたことを、儂は今でも信じられん。レベル7で病状がいくら抑えられたといってもな。」
「私たちは、大抗争の怪我人や被害者を治療するのに精一杯で、アルフィアのことまで気を回すことができなかった。大聖樹の枝を手に入れても死の病の軽減はわずかだ。」
「アルフィアは…大馬鹿だ。オラリオに来るならまず儂らのところへ来るべきだったのだ!」
7年前の大抗争で、アルフィアが私たちの前に姿を現れなかったのはメーテリアのこともあったかもしれない。
せめて、会って話をして止めたかった…。
いや、それでもあの娘は絶対に聞かなかっただろうな。
「……アルフィアは…ベル、いや自分の甥のことを知っていたのか…?」
「坊ちゃまの記憶を見る限り、生まれた時にアルフィアお嬢様がいることを 確認しましたので、知ってはいたようです。」
「なら!…何故!会ってやらなかったのだ!?甥だぞ!?あれ程愛していた妹の子だぞ!」
「恐らくアルフィアお嬢様は、坊ちゃまのために坊ちゃまが剣をとらぬ世界にするために、この地オラリオへ自分の命を捧げることを決心したのでしょう。そのため、自分が坊ちゃまに会う資格がないと思ったからでしょう。」
「ふざけるな!たった1人の肉親だぞ!資格とか云々とか問題ではない!」
「…ディアンケヒト。やめよう…。我々は彼女たちをどっちみち救えなかったのだ。死の病を治せなかった我々の責任だ…。」
「…何が神だ!何が医神だ!くそがっ!」
…ディアンケヒト…お前も、私と同じく神であることに苦しんでるのだな。
「アルフィアお嬢様とメーテリアお嬢様を苦しませ死なせた死の病ですが…、もしかすると光明が見えたかもしれません。」
「な、何っ!?」「…それは本当か!?」
死の病への!?
もし、あれば…多くの苦しんでいる人が助かる!
「大聖樹の枝は、死の病を軽減します。それは確かですね?」
「ああ、間違いない。僅かだがな。」
「ただ、材料が足りない。大聖樹の枝…カドモスの泉…あと1つの何かが必要なのだ。」
そう…大聖樹の枝は大抗争で多く手に入れた…カドモスの泉は51階層へ行けば手に入れる…。
そして、アミッドの神秘持ちで製作できる。
しかし…、それでも足りなかった。後1つ…何かがあれば治せる可能性が高くなる!
「お二人にお聞きしますが、メーテリアお嬢様の死を看取った日に、坊ちゃまを診断いたしましたでしょうか?」
「ああ…。」「うむ…至って健康だったぞ。」
「それはようございました。気づきませんか?アルフィアお嬢様とメーテリアお嬢様のお母様も死の病にかかって亡くなれたとのことです。死の病は遺伝する場合、坊ちゃまにもかかってもおかしくはありませんでしょうか。」
「「!?」」
「憶測ですが…、坊ちゃまは死の病の抗体を持っているのではないでしょうか?」
「っ!?……Lv2の時18階層から帰還した時も、死の病の前兆はなかった…。」
「…深層から帰還した時もなかった…。」
ベルは…死の病にかからない!?
なら、最後の素材…死の病の抗体があの子の体にあるということになる!
「こ、こうしてはいられん!セ、セバス!今すぐ、ベル・クラネルを…【白兎の脚】をここへ連れてこい!」
「申し訳ありませんが、お断りいたします。戦争遊戯後にお願いいたします。」
「だーっ!?わかった!【ディアンケヒト・ファミリア】はベル・クラネル…いや【ヘスティア・ファミリア】に味方する!報酬はベル・クラネルの血だ!」
「承知しました。お引き受けいたします。」
「…ディアンケヒト。我らも【ミアハ・ファミリア】も手伝おう。」
「当たり前だ!あいつらの…敵討ちだ!少しでも治せる可能性があるなら、突き詰めるのが我らの務めだろうが!」
ようやく…光明が見えてきた!
ダンメモの「爛花・夏恋奇祭」の最後でアミッドの話で、ディアンケヒトとミアハの目の前で大切にしていた人物を亡くしてしまった過去があるらしく、そのことを自分のせいだとして、今も悔いててやけ酒したのを見た、ということからその人物をベルの母、メーテリアという設定にしています。
死の病は、アルフィア・メーテリア・二人の母にもかかっています。
遺伝的なものであれば、ベルにもかかっているはずです。
ところが、ベルは元気です。
なら、死の病の抗体を持っているのでは?と思いました。
本作品ではそういう設定にさせていただきます。
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