白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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はい、バーチェさん回です。
皆さん、お待たせのベルくんとの模擬戦です。

バトルを文で書くのは思ったより、難しい…。


第60話 蠱毒王、見附。

今、私は数ヶ月前に戦ったクノッソスにいる。

メイ…様によってすぐに案内されて、ここにいる。

そして、目の前に【白兎の脚】がいる。

 

「あの、バーチェさん。」

「…何でしょうか、団長。」

「【カーリー・ファミリア】ってどんなところでしょうか?」

「…聞いたことがないのか…いえ、ないのですか?」

「はい、僕はオラリオへ来て半年しかないので…勉強不足ですみません!」

変なやつだ…。

とても、あの大鐘楼の鐘の音を出したやつとは思えない。

第一級冒険者には見えないな…。

 

「…殺し合い…です…。」

「えっ?」

「…小さい頃から殺し合いをしてきて…生き残ったのが戦士として認められるところ…です…。」

そして、私は一昨日までの【カーリー・ファミリア】について話をした。

昨日のことについてはメイ様から口止めされているからな。

 

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「…そうだったのですか。辛いことを聞いてすみません。」

「…いや…気にしてない…。」

「でも、バーチェさんはずっと泣いてきたのではないでしょうか?」

「!?」

何故…何故…わかる!?

今日、初めて会ったばかりだぞ!

 

「バーチェさんが…顔を隠すのは自分の泣き顔を見せたくないだけでなく、相手が自分の手によって死ぬのを見たくないのもあるのではないでしょうか?」

「…何故…わかる…のですか…?」

「だって…バーチェさん、【カーリー・ファミリア】のことを語る時、目が哀しい色をしていましたので。」

!?…私としたことが…。

 

「そして…お姉さんのアルガナさんが怖いと言ってましたが…、お姉さんのことが好きだから殺したくないのではないでしょうか?」

馬鹿な…こいつ、心が読めるのか…?

いや、そんな様子はない…。

 

「だから…ティオナさんとティオネさんが殺し合いを止めてファミリアを出るということを話した時、バーチェさんはホッとしたような寂しいような感じがありました。」

………こいつは…。

 

「バーチェさんは、独りになるのが怖かったではないでそうか?」

………この人は…。

 

「それだけでないです。バーチェさんがティオナさんに英雄譚を語る時、すごく楽しそうな目をしていました。」

………。

 

「それを聞いて、僕は…。不謹慎ですが羨ましいと思いました。」

「……何故…だ…。」

「僕は半年前まで、お祖父ちゃんと一緒に二人だけで暮らしてきました。そしてお祖父ちゃんが死んだ後、僕の世界は僕だけになったという気持ちにかられました。その気持ちから逃げるためにオラリオへ来たんです。」

「……。」

「でも、バーチェさんは殺し合いをしたと言っても、バーチェさんの周りには強いお姉さんがいて…ファミリアの家族がいる…。それが…羨ましいんです。僕はそういう気持ちになったことがない。オラリオへ来る前はただ生きる屍になっていました。

バーチェさんはただ失いたくなく…、独りになりたくなく…【カーリー・ファミリア】の皆を生かすために…強くなりつづけるしかなかった…。それが羨ましいんです。あ!す、すみません。何か勝手なことを言っちゃって。」

「…いえ…それは…当たっています…。私は独りになるのが…怖かったと思います…。」

この人と話していると…、何故だろう。

この血塗られた心が…清められていくようで、清々しく感じる…。

このような気持ちになったのは、生まれて初めてだ。

ティオナと話すのと、また違う気持ちだ。

 

「…団長は…何故…強くなりたいのですか…?」

「最初は、ある人を目標にしてました…でも、このオラリオで多くの人達と話し…戦ったり…自分の無力さに泣いたり…多くの出来事がありました。でも…僕の気持ちは…お祖父ちゃんが居たときからずっと変わらない。全てを救う…英雄になりたい。それだけです。」

 

ああ…この人は私と違う…。

私は怖くて、強くなるしかなかった。

けど、この人は全てを失わないために…救うために、強くなっていっている…。

ティオナがアルゴノゥトというのもわかる…。

 

-------------------------------

 

「坊ちゃま、おまたせいたしました。」

「あ、セバス。」「!?(いつの間に…)」

セバス…メイ様と同格の人…。

?誰だ、この女は。

 

「バーチェ嬢、こちらは【ディアンケヒト・ファミリア】団長のアミッド・テアナサーレといいます。【戦場の聖女】とも呼ばれております。」

「アミッドです…。よろしくお願いします。ベルさん、左腕の調子はどうですか?」

「は、はい。絶好調です!」

………何故、怖がる…?

 

「では、模擬戦を始めますか。坊ちゃま、バーチェ嬢。準備はよろしいでしょうか?」

いけない、集中しなくては。

「はい。」「ああ。」

「…では…、始め!」

-------------------------------

 

強い。

この人は強い。

そして、速い!

「はああああああっ!」

レベル5になったばかりなのに、レベル6の私と同格だと!?

この半年でどんな戦いをしてきたんだ!?

 

くっ!このままでは…。

【食い殺せ】

【ヴェルグス】

「なっ!付与魔法?ぐっ!ど、毒!?ぐうぅぅっ!」

これで近づけまい…。

「ファイアボルト!」

なっ!無詠唱魔法だと!

だが…このヴェルグスまでは貫けまい。

このまま押させてもらう!

 

「…なら!」

な、何だと!そのまま、私のヴェルグスの中に突っ込んでくるだと!

「わ、わかっているのか!毒だぞ!」

「それが…どうしたんですか!そのくらい…受け止めてやらなくて、何が団長なんですか!その程度もできずに、英雄なんて…なれないっ!」

「!」

「これなら…届く!」

なっ!更に毒の中に突っ込んで…直接私に…

 

「ファイアボルト!」

「がっ!?」

…ああ、この人は…この方は私と違う…。

心も…強いんだ…。

だがっ!

 

「私…私は、あの闘国で生き抜いてレベル6になったんだ!…団長、本気で行かせてもらう!」

「はいっ!」

そして私と団長は…私のヴェルグスの、毒の中で殴り合った。

 

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拳、蹴り、肘、膝…武器を使わず、

私のヴェルグスの中でお互い殴り合った。

ただ、団長は私の毒に蝕まれたままでダメージを負い続けている。

そして…、

「はぁぁぁぁっ!」

「がふっ!…まだだ!」

耐えれた!これで!終わりだ!

 

「ファイアボルトぉぉぉぉ!」

「がはぁぁぁぁっ!」

そのままの体勢で…、ゼロ距離で無詠唱魔法だと!

そんなことをしたら、団長の手も…。

 

「はあはあはあ、うっ…。」

焼け焦げてボロボロじゃないですか…。

体のあちこちが、私の毒で焼け爛れているんじゃないですか…。

 

ああ、でも闘国と違い清々しい気持ちだ。

もっと、この方と戦いたい。

自分の目指すものの何かが見つかりそうだ。

 

「…っ…まだ、まだです。団長…。」

「はあはあ…、はい。やりましょう。」

「そこま…「失礼しました。どうぞ、続けてください。」…。」

なんだ?あの女!邪魔をするな!

私も…団長も!まだ!やれる!

 

【食い殺せ】

【ヴェルグス】

「団長…これが私の最大出力です。」

 

リン リン

何だ?この音は…だが、心地いい。

 

「…なら、僕もです。」

リン リン

 

溜めているのか…?

だが、そうはさせない!

「はあああああっ!」

私のヴェルグスを団長の腹へ叩きこんだ!

とった!

 

リン リン

…ああ、やはり耐えたか…。

 

「あああああっ!」

カウンターの要領で貯めた右腕を、先程やられた箇所と同じところへ打ち込まれた。

「がっ!…………」

ああ、痛いなあ。

だが、不思議な気持ちだ。

強い…。

貴方の近くにいれば何かわかるのだろうか?

いや、もうわかっていた。

あの大鐘楼の音を聞いた時点で。

 

私は求めていた。

カーリーでもなく、アルガナでもなく、闘国でもなく、そしてティオナでもない。

私が寄り添うことができる、強い雄に。

アルガナの気持ちが、今になってよくわかる。

 

メイ様に感謝しなければならない。

あの人は、恐らくあの晩私の気持ちに気づいていた。

 

改宗してよかった。

ヘスティア様もカーリーよりまともで、いい神だ。

団長…貴方とヘスティア様に、死ぬまでずっと仕えます。

 

あちらから駆けつける、銀髪の女が見える。

もう少しこの痛みに浸りたいが…仕方がない。

早く癒やして、団長と戦い…語り合いたい。




はい、バーチェさんさんもハーレム入り確定です。
バーチェさんにベルくんのことについての説明はこれからです。

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