白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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今回は、カサンドラ回です。

第60話で、バーチェさんが堕ちたという感想が多いようですが、まだ堕ちていません。
ベルくんは、バーチェさんの心の闇を晴らしただけです。
そこから、バーチェさんはやっとスタートラインに立つことができたのです。
まあ、ベルくんへのフラグが立ったのは確定ですが、完堕ちするのはまだまだ先です…。
時間の問題ですが。


第61話 悲観者、蒼白。

命ちゃんがセバスさんと別れて、【タケミカヅチ・ファミリア】へ稽古に行ってしばらくしてミアハ様が戻った。

「む、店にいるのはカサンドラか。」

「は、はい。そうです。あの……どうしたのでしょうか?」

「?ああ、いや、ちょっとな。他の者はまだ戻っていないか。」

団長のナァーザさんとダフネちゃんは、ポーションの素材を買いにいくためあちこち買い物へでかけている。

 

「ああ、カサンドラ。今更だが、ベルのことをもっと気にかけてやってくれないか?」

へ?えええええっ!な、何でベベベルさんのことが?

「いや、ちょっとな…うん。ベルも苦労しているみたいでな、少し…いやかなり甘やかしてやってくれ。」

「あの……何でそのような事を?」

「………」「ひぃっ!?」

怖い!今のミアハ様、初めて見る!怖い!

「あ、すまん……。【ディアンケヒト・ファミリア】で知ったばかりなのでな。…このくらいならいいか。」

「????」

「…ベルは半年前、ゼ…お祖父さんを失ったことは知っているか?」

「え、ええ。以前、ベルさんから聞いたことがあります。」

うん、聞いてる。

話しているベルさんは悲しそうだった。

 

「その…お祖父さんはな両親を失ったベルを14年間育ててきたのだが、それがひどい!」

ひぃっ!

「碌なものしか食わせず!碌なことしか教えず!その上、半年前にわざと死んだふりをしてベルの育児放棄をしたんだ!」

「え、ええええっ!そんなの…ひどすぎますっ!」

「ああ、ひどいだろう?だから……ベルを甘やかしてやってくれないか?」

はいっ!わかりましたっ!甘やかしますっ!

あの時のリヴィラのように…ふふふっ。

 

そして、またしばらくして。セバスさんがやってきた。

「申し訳ございません。神ミアハ様、カサンドラ嬢を貸していただけませんでしょうか?」

「む、セバスか。どうしたのだ?」

「思ったより、特訓が激しすぎてアミッド嬢の回復が追いつかなくなっています。」

「…………何をやっておるのだ。ああ、いやそうだったな。わかった。店番は私がしよう。カサンドラ、セバスについてあげてくれ。ベルの治療のためだ。」

「べ、ベルさんの治療?」

そして、私はセバスさんへついていって、身を隠したままクノッソスへ入っていった。

 

---------

 

な、なななな何ですか…。

目の前の、心臓に悪い戦いは。

ひぃっ!血がこんなにこっちまで!

 

「セバスさん!これ以上はやりすぎです!死にます!」

「まだです。せいぜい死の十歩手前ですな。」

…この人、何を言っているの…?

そ、それよりベルさんがあんなに焼け爛れて…。

 

ジュワッ…。

 

え?えええええ?ととと溶けた…。

え…これ…毒?

は、はやく癒やさないと…

 

「カサンドラ嬢、しばらくお待ちを。あの方々はまだ語り合いたいようですよ。」

………お互い、無口なんですが…。

…それに、あの女の人……誰ですか…?

「あちらの方は、バーチェ・カリフ様です。【カーリー・ファミリア】から我が【ヘスティア・ファミリア】へ改宗した方です。レベルは6です。」

 

「…………………。」

 

ごめんなさい。言っていることがわかりません…。

それに、ベルさんはレベル4では?

「ああ、坊ちゃまは昨日ランクアップして、レベル5になりました。」

 

え?えええええええっ!

わ、私とダフネちゃんはあの深層からの帰還で、やっとレベル3になったというのに。

ま、また差を開かれちゃった……。

え?坊ちゃま?

 

「大丈夫ですよ。坊ちゃまはそのような事を気になさるお方ではありません。」

「…あの……さっきから気になっているのですが、【悲観者】はずっと無口です…。何故わかるのでしょうか?」

 

!?

そ、そそそそそそそうだ。

私の考えていることが…何でわかるの?

それに…何で【戦場の聖女】がここにいるんですか?

 

「執事の嗜みでございます。お二方、気になさらないで下さい。アミッド嬢はカサンドラ嬢と同じく坊ちゃまたちの治療のためでございます。」

「…私の知っている執事と全然違うような気がします……。あ、よろしくお願いします。【ディアンケヒト・ファミリア】団長のアミッド・テアサナーレです。」

「同感です……。よ、よろしくお願いします。【ミアハ・ファミリア】団員のカサンドラ・イリオンです。」

セバスさんって…ベルさんを坊ちゃまと呼ぶし…何者なの?

 

そして、ベルさんとバーチェ…さんがお互い蹴りを顔に入れた後に…お互い倒れた。

「ふむ…そこまでですな。では、アミッド嬢はバーチェ嬢を、カサンドラ嬢は坊ちゃまをお願いします。」

「ああ、もう!カサンドラさん、ベルさんをできるだけ治してください!後で私がおっつけ治します!」

「は、はははい!わかりました!」

ベルさんを治療しようとしたが…、うっ…これはひどい。

内臓まで毒に侵されている…。

な、治してみせます!まずは解毒魔法を…。

 

【……………………(詠唱中)……………】

【キュア・エフィアルティス】!」

よ、よし。毒は何とか…。そ、そして

 

【一度は拒みし天の光。浅ましき我が身を救う慈悲の腕(かいな)。届かぬ我が言の葉の代わりに、哀れな輩を救え。陽光よ、願わくば破滅を退けよ】

【ソール・ライト】

 

ううっ…だめ…追いつかないっ!

「カサンドラさん!すみません、遅くなりました!…これは半分くらい治療されている!毒もほぼ解毒されている…。けど…バーチェさんより状況がひどい!」

 

【癒しの滴、光の涙、永久の聖域。薬奏(やくそう)をここに。三百と六十と五の調べ。癒しの暦は万物を救う。そして至れ、破邪となれ。傷の埋葬、病の操斂。呪いは彼方に、光の枢機へ。聖想の名をもって私が癒す】

【ディア・フラーテル】

 

うわぁ…凄い。

私の魔法より強力…。

うう…それに比べて…。

 

「カサンドラ嬢。気落ちすることはございません。カサンドラ嬢も優秀なヒーラーでございます。自信をお持ちなさってください。」

「…ふぅ…、何とか凌げました…。セバスさんの言う通りです。これほどの回復魔法は【ディアンケヒト・ファミリア】で私以外はそうそういません。自信をお持ちなさってください。」

 

……うん。

【戦場の聖女】にそう言われるなら…。

頑張ろう、ベルさんのために!




【キュア・エフィアルティス】の詠唱文、調べてもわからないのでとりあえず【…(詠唱中)…】とします。

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